要旨「男女共同参画の推進について」

 「男女共同参画推進計画(第7次計画)の進捗状況」についてお伺いいたします。

 本年、7月に経済分野世界経済フォーラム(ダボス会議)が「ジェンダー・ギャップ指数2022」を公表し、その中で、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数が発表されました。この指数は「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野のデータから作成され、総合評価で日本は146か国中116位(前回は156か国中120位)で、前回と比べ、ほぼ横ばいとなっており、先進国の中では最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国よりも低い結果となり、改めて男女共同参画の遅れを顕在化させました。

しかし、「教育」の順位は146か国中1位(前回は92位)、「健康」の順位は63位(前回は65位)と世界でも上位にあります。一方、「経済」や「政治」における順位の低さが、総合評価の低さに反映されています。

そうしたことから、日本は、世界経済フォーラムが主導する「ジェンダー平等加速プログラム」への参加を決定し、多くの企業と連携しながら、官民一体となって、特に経済分野におけるジェンダー平等の取組の加速化を図っていこうとされています。また、本年6月に政府決定した「女性版骨太の方針2022」において、政府全体として今後重点的に取り組むべき事項を定めています。

私も性別にとらわれず誰もが、意欲に応じて、あらゆる分野で活躍できる社会が望ましい社会だと考えています。1999年施行の男女共同参画社会基本法では、「男女共同参画社会とは、男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ共に責任を担うべき社会」と規定されていますが、我が国の男女共同参画の現状は、諸外国に比べ、未だ道半ばということだと思います。

世界的には1975年に国際婦人年世界会議において、「世界行動計画」が採択され、その後も国連やG7などで男女共同参画を推進するための行動計画やその戦略などが議論されながら、その歩みを進めていますが、先進国と発展途上国とでは大きな格差が生じていることも否めません。

国内の動きとしては、1977年に「国内行動計画」が策定され、1986年に「男女雇用機会均等法」が施行されて以降、「育児休業法」や「パートタイム労働法」の施行、介護休業制度の法制化などがあり、その後「男女共同参画社会基本法」が施行されました。その後も、「ストーカー行為規制法」、「DV防止法」の施行や「男女共同参画基本計画」策定など様々な取組みが行われてきました。

本市におきましても、1985年に「婦人行動計画(第一次計画)」を策定後、2010年10月に「長岡京市男女共同参画推進条例」を制定され、2021年から2025年までを計画期間とする「男女共同参画計画(第7次計画)」に至るまで、様々な取組みを進めてこられたと認識しております。

そうした中で、2019年に女性交流支援センターと男女共同参画推進課を組織統合し、男女共同参画センターとして改編され、その後も様々な取組みを進めておられますが、

現計画に掲げる5つの基本目標の令和3年度の活動指標の結果から、見えてきた課題と成果についてお伺いします。

また、この計画の基本目標3については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」に定める「長岡京市女性活躍推進計画」として位置付けられていると思いますが、現段階ではどのようにその進捗状況について評価されておられるのかお伺いします。

 

私も仕事柄、多くの事業者の研修や相談を受けますが、民間企業においては、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組み、多様な人材が活躍できる職場環境づくりに取り組む企業も増えています。本市においても、重点施策に性の多様性への理解に取り組むこととされていますが、「パートナーシップ制度」の導入をはじめ、企業や事業者への理解促進策の検討を進めていかれると聞いておりますが、現在の進捗状況についてお伺いします。

 

また、労働環境の法整備がなされ、働く女性は増加していますが、出産による離職や家庭生活との両立を理由にキャリアアップをためらう傾向も未だあります。

人生100年時代を迎え、女性の人生と家族の姿は多様化しており、昭和の時代に形作られた制度や、労働慣行、固定的な性別役割分担意識など構造的な問題が男女共同参画の現状が、諸外国に比べて遅れている要因と思われます。

 国は第5次男女共同参画基本計画の中間年にあたる令和5年度に向けて、具体的な取組を着実に実施するとともに、新たに、「女性の経済的自立」「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現」「男性の家庭・地域社会における活躍」「女性の登用目標達成」を重点的に取り組むべき事項として定めています。

「男性の家庭・地域社会における活躍」の中では、男性の育児休業取得の推進と働き方改革がその取組としてあがっていますが、本市のおいても男性職員の育児休業取得者数を活動指標にあげておられますが、

本市における男性職員の育児休業の取得者数はこれまで何人おられるのかお伺いします。また、女性職員の育児休業取得率は100%ですか。育児休業を取得する際に代替要員の確保が必要となってきますが、その点についてはどのように対応されているのかお聞かせください。

 

2点目として、前の質問とも関連しますが、「女性の社会進出を前提とした少子化対策」についてお伺いします。

令和3年の9月議会で、子育てと仕事を両立できる環境づくりで放課後児童クラブについて一般質問させていただきました。市が女性の社会進出を応援するためには、子育てと仕事を両立できる環境づくりに取り組み、待機児童を出さないことが重要であります。そのため、子供の預け先がないために、仕事を辞めたり、働き方を変えたりせざるを得なくなるようなことにならないようお願いしたところです。

中小路市長におかれましては、「安心・安全なまちづくり」「ゼロカーボンシティに向けた環境の取組」「少子化対策」をまちづくりの柱として掲げておられますが、

市として、少子化対策に取り組む上では、子育てしやすい環境整備が重要になってくると考えています。

出生率の低下をいかにすればくい止められるのかについては、様々な要因があり、簡単にはその対応策としての答えを導き出すのは難しいと思いますが、出産年齢にある女性が人生の中で、子供を産む産まないという選択権を持ち、また自己実現のための選択肢もあり、かつ生活のために経済的自立を果たしていきたいと考えれば、前提条件として就労し続けられる環境整備が必要となってきます。また、産み育てる過程の中で、いかに安心して、充実した子育て環境を得られるか、またそうした生活を楽しみながら生活できるかが必要ではないでしょうか。「女性年齢層別労働力率の推移」では、かつては女性の出産年齢層で大きく下降するエム字曲線を描いていましたが、現在はそうした現象は解消されつつあります。しかし、それは出産による離職は減少しているが、出産年齢層での出産自体が減少しているとも考えられます。また、24歳までの就労は20年前とあまり変化がないのに対し、30代以降の就労は大きく増加していることから、女性の就労形態の変化によるものと考えられるのではないでしょうか。地方自治体として、少子化対策を考える時、やはり仕事か子育てのどちらかを選択しなければならないと感じるのではなく、仕事も子育てもしたいという思いをかなえられる長岡京市であって欲しいと考えています。この点についてどのようにお考えか、お聞かせください。

 

【市長答弁】

 女性の社会進出が進み結婚後も仕事を続ける女性の割合は大きく増加してきました。そのような中で女性が仕事と子育てを両立するには労働環境の整備や保育サービスの充実、男性の育児参加など、まさに社会全体で支える仕組みづくりが重要だと考えます。そのため、「第2期長岡京市子ども・子育て支援事業計画」に基づく、子育てと仕事を両立できる環境づくりとして、保育サービスの充実や放課後児童対策の充実を推進し、量としての確保は一定できたものと考えております。

 また、子育て中も働きやすい職場の環境づくり、男性が育児休業を取得しやすいような職場の雰囲気作りが進むよう、市内事業所に対して、育児・介護休業法の一部改正等のチラシを配布するなどの啓発を行うとともに、働く女性のネットワークづくりにも取り組みました。市役所においても、女性の育児休業の取得だけでなく、男性の取得についても積極的に支援してきたところですが、さらなる取り組みが必要と考えております。

 

 昨年京都府が行った地域子育て環境「見える化」ツールの調査によりますと、本市の特徴としては14歳から49歳の女性有配偶率(全国49.3%、市53.6%)は全国を上回っているものの、有配偶女性、千人あたりの出生率である有配偶出生率(全国76.63%、市75.7%)は全国を若干下回っております。明確な原因が示されているわけではありませんが、今後、分析研究し必要な対策を検討する必要があると思います。また、国や府を含め既に制度化されている様々な子育て支援制度を出産してから初めて知るのではなく、それぞれのライフサイクルの中で、例えば結婚を意識した時に知っておくことで、子どもを出産しても仕事を続けることのできる人生設計の後押しに繋がることもあると思いますので、しっかりと発信することも大切だと感じています。

 いずれにしましても、子育て環境日本一を謳う京都府、国とも連携しながら、「第2期子ども・子育て支援事業計画」や「男女共同参画計画」を着実に推進し、「仕事」か「子育て」かとの選択を迫られる社会ではなく、その両立を望む方には、その願いがかなえられる長岡京市となるよう取り組みをすすめてまいりたいと考えております。