【不登校の実態と対応について】

文部科学省の発表によると不登校の児童生徒数は年々増加しており、令和2年度は過去最高の人数となった。その傾向として増加していたところに、新型コロナウイルス感染症の拡大により学校が休業となった期間が発生し、不登校気味だった生徒が完全に不登校になるなど、新型コロナウイルスが不登校を増加させる原因にもなったようです

本市もまた例外ではなく、不登校の児童生徒の数は増加しているとお聞きしておりますが、昨年度の本市における不登校児童・生徒の人数と増減、そして、現在取り組んでいる不登校の対応、今後検討している未然防止の取り組みについてもお伺いします
 

【質問1】本市では不登校の児童生徒の実態をどのようにとらえており、その解消に向けた基本的な考え方はどのようなものでしょうか?
【質問2】不登校の予兆の把握についてはどのように行っておられるのでしょうか?
【質問3】不登校になる原因の把握をどのように行っているのかお伺いします

 

 

 

【教育長】まず、「不登校の実態をどのようにとらえ、その解消の基本的な考え方はどうか」についてであります。本市の不登校の状況も全国と同じ傾向にあり、平成23年度以降年々増加し、令和2年度、3年度は大幅に増加しております。その背景には発達的な課題や病気、昼夜逆転などの生活環境等がありますが、コロナ禍ではコロナに起因するものや生活習慣の乱れによるものが増加していると考えております。その解消に向け、どの児童生徒も安心して登校できるよう、いじめのない学級づくりや相談しやすい雰囲気づくりに取り組んでおります。

 また学級担任を中心に教職員全体で子どもの変容の把握に努め、予兆がみられる際には、家庭はもとよりスクールカウンセラー、まなび生活アドバイザー等の関係者や、教育支援センター等の関係機関と連携しながら適切に対応しております。再登校に向けても同様の対抗となります。


 次に「不登校の予兆の把握はどうしているか」については、学校では学級担任が児童生徒の表情や態度の変化、友人関係等に目を配るとともに同学年の担当や養護教諭など関係教職員、保護者らからの情報をもとに把握に努めているところです。また遅刻や欠席が続く際には保護者から家庭での様子をお聴きするなどをしています。
 また、市教委では1か月に3日以上の欠席があった児童生徒について学校と情報を共有しながら予兆の把握に努めているところです。

 
 

 次に「不登校になる原因の把握をどのように行っているのか」については、校内でケース会議を開催し、様々な視点からの情報収集を行いその把握に努めています。

 

【質問4】調査など行われている場合、調査項目や数値があれば教えてください。

【教育長】「調査項目や数値」でありますが。年間30日以上欠席した児童生徒について不登校児童生徒として、「人数」や「その要因」等を調査しており、本市における令和3年度の人数は132人(小:42人、中:90人)であり、令和2年度の94人(小:27人、中67人)に比べて38人の増加(小:15人増、中23人増)となっています。その要因は「無気力・不安」「人間関係のトラブル」「学業不振」「家庭環境」等と多様化しております。また、新型コロナウイルス感染拡大から、学級閉鎖や臨時休校も影響しているものと考えられます。
 
【白石】児童生徒が不登校になる要因として、家庭環境や対人関係、学力不振などが複合する場合もあり、学校以外の関係機関とも連携を密にして個々の状況を把握する中でその状況に応じた個別的、継続的な支援を効果的に行うことが重要であると考えております

 

【質問5】不登校になる原因は多岐にわたると思いますが、原因を踏まえたうえでの改善方法はどのようなものでしょうか?

【教育長】「不登校の改善方法」についてであります。各行とも校内で刑す会議を開催し、様々な視点からの情報収集を行ったうえで、その要因を探り、それを踏まえた対応を行っています。例えば、「家庭環境」が要因であれば福祉機関に相談するなど、スクールカウンセラーや、スクールソーシャルワーカーの力を借りながら適切な支援ができるよう努めております。さらに状況に応じて、別室登校や放課後登校等の対応を含め、教育支援センターや専門機関とも連携しながら対応しております。


【白石】不登校が長期化すれば引きこもりとなる可能性があり、さらに、引きこもりが長期化すれば、80代の親が50代の引きこもりの子どもの生活を支えるという、8050問題に発展する可能性もあります。こうしたことは、本人や家族、社会にとっても決して望ましいものではありません。

 

【質問6】不登校から長期の引きこもりにつながる事態を防ぐ取り組みについて
【教育長】「不登校からの長期の引きこもりにつながる事態を防ぐ取り組み」については、京都府の児童相談所や脱ひきこもりセンターと連携し、不登校から長期の引きこもりにつながらないよう、「家庭児童相談室」などを窓口に多様な相談に対応しながら支援を行なっております。また、今年度から健康福祉部で検討している重層的支援体制整備において、教育支援センター機能も含め、福祉と教育の両面から中学校卒業以降の支援体制の在り方を検討しているところです。

【白石】不登校を巡っては「教育機会確保法」が成立し、2017年3月に策定された同法の基本指針では、同法とその付帯決議を根拠に「学校復帰のみ」にこだわらない新しい不登校対応が必要であることが明示されました。

学校復帰を大前提とした従来の対策を見直し、学校を休む必要性や学校以外の学び場を設けることの重要性を認めています。学校教育の目指すところは「学校復帰のみ」ではなく「社会的自立」をめざし、社会的自立のための手段の一つが学校に行くことであり、文科省は「学校以外の場での多様な学習活動の重要性」も認めています。

【質問7】学校に行けない・行かない子どもたちが教育を受ける機会を確保するための取り組みについてはどのようにお考えでしょうか
【教育長】「学校に行けない、行かない子どもたちが教育を受ける機会を確保するための取組」でありますが、不登校の指導に当たっては学校復帰にとらわれることなく、当該児童生徒の社会的自立という目標に向けて最善を尽くすことが求められています。本市においては児童生徒の状況に合わせて、保護者に教育支援センターに設置の「アゼリアひろば」(令和3年度10人、うち小:2人、中:8人)や学校外の公的民間施設、いわゆるフリースクール(令和3年度5人、ホームスクーリング1人)を紹介するなどしており、アゼリア広場やフリースクールで相談・指導を受けている場合も出席扱いとするなど、児童生徒や保護者が安心できるよう柔軟に対応しているところです。

 

【白石】当事者の子どもとともに様々な不安を抱えるのが保護者です。焦らない、せかさない、待つという事が親として子どもの未来を考える中で非常に難しい対応である事は容易に想像できますが、本人が力を蓄え次のステップに行くためには、周囲はじっと待つという事が必要とされます。保護者の方は非常に苦しい思いをされているのだと思います。未然防止や、予防は大切であるけれども「不登校」になっても本人や保護者の今を支える支援体制づくりにも注力するべきだと考えます。保護者の方へ現在はどのような対応を取っているのか。保護者の方々が相談できる場所はどのようなところがあるのかお聞かせください

【質問8】保護者への支援について
【教育長】「保護者への支援」としては、担任を中心に保護者の悩みを聞いたり、スクールカウンセラーへつないだりするなど、保護者へ寄り添いながら対応しております。また状況に応じて教育支援センターの教育相談や、「アゼリアひろば」への入級などの支援を行なっております。義務教育終了後の相談についても継続して相談できる体制について検討しているところです。いずれにせよ学校と保護者が連携しながら児童生徒を支援できるような環境づくりに今後も務めてまいります。

Note:教育長からの答弁をお聴きして、まずは、不登校児童生徒に対して、これが正解だという対処法などない中において、現場の教職員は日々悩みながら試行錯誤してくださっていることに感謝したい。保護者に対する支援については不登校となった我が子を自分の子育ての失敗だと自分を責めることがないように寄り添いながら支援してほしい。無理に学校に行かなくてもよい、それならばその先にしっかりと居場所を作ってあげることが大切ではないか、本人が否定されずに温かく迎え入れられる居場所があることが大切。学校教育の中で躓いてしまった子供たちが何度でもやり直せることができるように、子どもたちが自分らしくそれぞれの夢を実現できるように、これまでの教育の在り方にとらわれない「学びのカタチ」をしっかりと作っていかなくてなならないことを共通認識としていただいて質問を終えました。