【白石たづ子】

 本市の小・中学生の学力についてお伺いします。
 



 本市の小・中学生の学力については、令和3年度からスタートした第4次総合計画第2期基本計画において、全国学力学習調査の正答数分布状況で、平均正答数1/2以下の割合を前年度より減少させることを指標として、学力向上に取り組まれています。
 

 本年度の全国学力学習調査の結果については、市民の皆様に広く知っていただくため、ホームページで公表されております。その内容をみてみますと、小学6年生の国語・算数、中学3年生の国語・数学と全ての教科において、平均正答数が全国や京都府平均を上回っていることがわかります。また、第1期基本計画の行政評価をみても、平成28年度以降の京都府学力診断テストの結果は、京都府平均を上回っており、本市の学力が高い水準で推移していることが見て取れます。
 

【白石たづこ 質問 1 】

 

 そこで、お伺いしますが、これらのことを含めて教育委員会では、本市の学力について、どのように分析されていますか。また、このように高いレベルを維持している要因や取組みはどのようなことがあるとお考えでしょうか。そしてもし、本市の学力について、課題があるとすれば、どのようなことでしょうか。

 

【教育長 答弁1】

 

本市の小・中学生の学力についてどのように分析しているか


 全国学力・学習状況調査の結果を見ると、今年度だけでなく過去の結果からも、小学校・中学校ともに全国や京都府と比較して、正答数の多い児童生徒の割合が多くなっており、本市の小中学生の学力は高いレベルにあることがわかります。これは、子供たちの頑張りはもちろんではありますが、家庭や地域の高い教育意識、学校・地域の連携、教職員の努力などによるものと考えております。


高いレベルを維持している要因や取組み

 

 本市では第4次総合計画第2期基本計画においても保護者や地域の教育ニーズに応えるため、「学びの充実」の施策を掲げ、教師力・学力の向上や、外国語活動の推進、学校ICTの活用などに取り組んでいるところです。様々な取り組みが功を奏しているとは思いますが、例えば、学力に課題がある子どもへの学習支援を行なう学力向上サポーターや、特別支援教育の支援員、外国語活動指導員、学校図書館司書、いじめ対策指導員等の積極的な人員配置により学習環境の確保を図っております。また、各学校では専門的な視点から指導助言を得るため、大学教授などを講師とした教職員研修を実施するなど、教師力向上の取り組みを続けていること等も高い学力レベルを維持している要因の一つと考えております。


本市の学力の課題について

 

 全国や京都府と比較すると、学力定位層の児童生徒の割合は少ないものではありますが、配慮が必要であったり、基礎基本の学力が定着していない児童生徒への支援を引き続き行い、学力の維持・向上に取り組んでまいります。

 

【白石たづこ】
 さて、令和4年度当初予算では、学力向上関係予算として非認知能力の向上による学力向上実践研究にかかる経費が計上されております。

 OECD(経済協力開発機構)においては、非認知能力は社会情動的スキルと言い表され、意欲、忍耐力、社会性、協調性、創造性、思いやり、自尊心、自制心など、読み書きや計算能力といった数値で表せないものであるといわれております。この社会情動的スキルを、いかにして伸ばすか、世界的にも研究が進み、その重要性が認められているところであります。
 

 ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンによる3~4歳の子どもを対象にした研究では、40年にわたる追跡調査の結果から、非認知能力を育成する「ペリー就学前プログラム」を受けた子どもと、受けなかった子どもでは、受けた子どもの方が、学習成績も高く、大人になってからも雇用や経済状況が安定し、より豊かな生活を送れることが明らかになっております。すでに他の自治体でも、非認知能力を高めることで学力の維持向上を図る取り組みを実践しているところもあると聞いております。
 

【白石たづこ 質問 2 】

 

 以上のことからも、非認知能力を高めることは必要であると考えるところではありますが、本市では、どのように学力の向上につなげていこうとされているのか、お考えをお聞かせください。

【教育長 答弁2】

 

 次年度から、市の学力向上指定研究事業として「非認知能力の向上による学力向上実践研究」を実施してまいります。これは、非認知能力を高めることを意識した質の高い取り組みや授業を行うことで、目標や意欲を持って粘り強く取り組むといった「学びに向かう力」を高め、さらなる学力向上を目指すものであります。この実践を通して、子どもたちの生活が将来を含めより豊かなものになると考えております。

【白石たづこ 質問 3】


 非認知能力の育成は、「ペリー就学前プログラム」のように、幼児期の育成が効果的でありますが、他の研究においては年齢に関係なく育成することも十分可能であるとも考えられております。非認知能力を伸ばすためには、家庭の子どもへの関わり方が大きな影響を及ぼすとも思いますが、学校では、具体的にどのような取り組みをされるのでしょうか。そして、その実践研究の結果をどのように、評価し、活用していこうとお考えなのでしょうか、お聞かせください。
 

【教育長 答弁3】

 

学校での具体的な取り組みについて

 

 次年度から、長岡第二中学校区の小・中学校において専門家の招聘や先進地への視察など、どのような授業つくりが非認知能力を高め、学力向上につながるかを実践研究してまいります。また、ご案内いただいた研究事例からも就学前の保護者に、子どもへの接し方や教育意識、普段の行動の変容を促すことも学力を高めることにつながるといったことから、関係機関と連携し、保幼小連携の充実を図ってまいります。


実践研究の結果をどのように評価し、活用するのか

 

 検討体制として「非認知能力の向上による学力向上実践研究チーム」を立ち上げ、方向性や進捗状況の確認をしながら定期的なテストの実施や、非認知能力に関する質問紙調査の活用、また学力の伸びと相関関係の検証など、ここで得られた研究結果を他の中学校区へも展開していく予定としております。