【白石たづ子】
健康寿命の延伸についてお伺いいたします。
日本では急速に高齢化が進んでおり、総人口に占める 65歳以上の高齢者の割合が世界 1 位となっています。日本人の平均寿命は女性87.74歳、男性81.64歳で、いずれも過去最長(2021.7.30)です。自立して日常生活を送ることができる健康寿命も延びていますが、平均寿命との差は、男性で約9年、女性は約12年程度短いのが現状であります。



令和2年版の高齢社会白書によりますと、介護保険制度における要介護又は要支援の認定を受けた人(以下「要介護者等」という。)は、平成30年度末で645.3万人となっており、平成21年度末(469.6万人)から175.6万人増加しています。また65~74歳と75歳以上の被保険者について、それぞれ要支援、要介護の認定を受けた人の割合を見ると、65~74歳で要支援の認定を受けた人は1.4%、要介護の認定を受けた人が2.9%であるのに対して、75歳以上では要支援の認定を受けた人は8.8%、要介護の認定を受けた人は23.0%となっており、75歳以上になると要介護の認定を受ける人の割合が約7倍と大きく上昇しています。

【白石たづこ 質問 1 】
本市において、65歳から 74歳の前期高齢者と、75歳以上の後期高齢者で、要支援・要介護と認定された人の割合をお聞かせください。

【健康福祉部参事答弁】
10月末時点の前期高齢者の第1号被保険者は10.334人でありそのうち、要支援認定を受けた方の割合は1.7%(172人)、要介護認定を受けた方の割合は3.3%(337人)となっております(全体で4.9%)。
 

後期高齢者の第1号被保険者は11.577人であり、そのうち、要支援認定を受けた方の割合は11.3%(1.307人)、要介護認定を受けた方の割合は23.7%(2.745人)です(全体で35%)。
 

議員ご案内のとおり、本市におきましても75歳以上の後期高齢者になりますと、要支援・要介護認定を受けておられる方の割合が前期高齢者に比べて高くなっているところであります。

75 歳以上になると介護認定率が大きくなっているという現実がありますが、現在、65 歳以上の高齢者の 11.5% が、加齢に伴い、筋力や心身の活力が衰え、介護が必要になる一歩手前のフレイル、虚弱状態であると言われております。適切な治療や予防を行うことで、要介護状態に進まずに済む可能性はあり、健康寿命の延伸を図るため、介護予防、フレイル対策の重要性が注目されております。 

 

後期高齢者医療制度の健診については、平成20年の制度発足当時より40歳から74歳が対象の特定健診の項目に準じて実施されており、質問票についても特定健診に準じて「標準的な質問票」が活用されてきました。 「標準的な質問票」はメタボリックシンドローム対策に着目した質問項目が設定されており、フレイルなどの高齢者の特性を把握するものとしては十分なものとはいえないことが課題に挙げられていました。そこで令和3年度より、厚生労働省は加齢に伴い、筋力や心身の活力が衰え、介護が必要になる一歩手前のフレイル、虚弱の人を把握するため、75歳以上の 後期高齢者を対象にした新たな健診を導入いたしました。

【白石たづこ 質問2】
今年度、本市において後期高齢者医療制度の健診の対象者は何人で、そのうち何人の方が受診されたのでしょうか?

【健康福祉部参事答弁】
本市では、後期高齢者医療制度の健診を長寿健診としておりますが、この長寿健診につきましては、今年度の実施期間が7月から12月めでであり、現在実施中であります。そのため受診者数については10月末の時点になりますが、対象者数10.364人に対して受診者数3.141人(受診率30.3%)であります。なお、参考までに申し上げますと例年の受診率は57%程度と府下でも高い受診率となっております。

まだ始まったばかりの事業でありますが、介護が必要となる前に、フレイル状態になる高齢者、特に75歳以上に多いことを考えれば、フレイルに特化した質問票は、健康寿命の延伸にとても意義があると考えます。 

【白石たづこ 質問3】
フレイルの人を把握するとともに、健診後の取り組みが重要であると考えますが、この健診結果をどのように活用して、どのような支援に繋げていくのかお伺いします。

【健康福祉部参事答弁】
今年度の長寿健診から導入されたフレイルに着目した問診票の内容は、健康結果のデータとともに国保データベース(KDB)に蓄積されます。蓄積されたデータにより、健診を受診された後期高齢者のフレイルの傾向を分析することができるため、次年度以降のフレイル予防のための市民啓発を含めた介護予防事業に役立てることが可能となると考えております。また、経年変化を追えるため、介護予防の取組みを評価することも可能となり、PDCAサイクルによる事業展開ができると考えております。

 

長寿健診は75歳以上の全市民を対象とし、また受診率も高いため、健診データを活用することで、本市における高齢者の全体像を、より総合的に把握することができることから、健診結果を積極的に活用してまいりたいと考えております。

 

同時に問診票は介護予防サロンなどの通いの場での活用も推奨されています。年1回の健診の時だけでなく、定期的にセルフチェックすることも可能であるので、通いの場でも積極的に活用し、チェックの結果、個別の支援が必要な方には地域包括支援センターや医療機関等へのつなぎを行ってまいります。
 

このように長寿健診の問診票を含めた健診データを活用することにより、フレイル状況を把握し、フレイル予防の取組みを行うことによって、高齢者の方が、できるだけs見慣れた地域で自立した生活が送れるよう支援してまいりたいと考えております。

【白石たづこ NOTE】
現在、高齢者保健事業は後期高齢者医療広域連合が主体となって実施し、介護予防の取組みは市町村が主体となって実施しているため、健康状況や生活機能の課題に一体的に対応できないという課題がありました。そこで令和元年に医療保険制度の適正かつ効率的な運用を図るための健康保険の保健事業及び介護保険制度の地域支援事業を一体的に実施することが盛り込まれました。

 

国保データベース(KDB)を利用する中で健診結果や医療介護の受診データを分析することによって、地域の課題や高齢者の健康課題を把握し、関係機関と連携を図っていただいて、健康に課題を抱える高齢者の支援をおこないながら、必要な医療・介護サービスに繋げていただきますよう要望しました。