【質問事項】
在宅医療・介護連携推進事業について

【質問要旨】
●本市における現状と課題について
●今後の対応策について

【白石たづ子】
本市の65歳以上高齢者人口は、令和3年8月1日現在で21,861人。高齢化率は26.9%となっています。
 

急速に少子高齢化が進む中、我が国では、2025(令和7)年までにいわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上となり、超高齢社会を迎えます。こうした中で、国民一人一人が、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続し、その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していくことは喫緊の課題となっています。
 

医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることが出来るように、地域において様々な医療・介護の関係機関が連携して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護を提供する事が重要です。
 

現下のコロナ禍においても、病床がひっ迫し、在宅の要介護高齢者が感染した場合についても、やむを得ず自宅療養となる場合が想定されますが、主治医の指示の下に、訪問看護を利用することや、訪問系の介護サービス事業所が、必要に応じてケアマネ等と連携しながら、看護師等の専門職の同行訪問による支援を受けること等、多職種が連携して、要介護高齢者への対応にあたることが考えられます。
 

国においては、平成26年に介護保険法が改正され、「在宅医療・介護連携推進事業」が、平成27年度から市町村が行う事業として位置づけられています。
 

昨年度には、 “切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築”という、住民や地域の医療・介護関係者と地域のめざすべき姿(地域の理想像)を共有し、医療機関と介護事業所等の関係者の連携を推進するために、PDCAサイクルに沿った取り組みへと、事業の在り方が見直しされたとお聞きしました。
 

また、乙訓地域では、行政をはじめ乙訓医師会や介護事業所などの関係機関が連携をされ、様々な取り組みをされていることは承知しているところであります。

そこで、在宅医療と介護の一体的な提供の実現に向けて、本市における現状と課題についてお伺いします。
また、今後の対応策について、本市ではどのようにお考えか、お伺いします。

【市長答弁】

「本市における現状と課題について」
 

医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ高齢者を地域で支えていくためには、在宅医療・介護連携は地域包括ケアシステムの不可欠な構成要素と考えております。
 

在宅医療・介護連携の推進にあたり、国は、市区町村が中心となって、地域における関係機関の連携体制の構築を推進することを介護保険法の中で制度化し、昨年度には事業全体の目的を明確化しつつ、PDCAサイクルに沿った取組を実施しやすくする観点から、また、地域の実情に応じてより柔軟な運用を可能とする観点から見直しが行われました。

 

本市を含む乙訓地域ににおきましては、介護保険制度がスタートする前の平成8年に、乙訓医師会の先生方を中心に、医療・介護・福祉関係者の方々のご尽力により、在宅医・訪問看護師・ケアマネージャーなどが、在宅療養者の病状の変化や看取りに向けた情報共有を行い、本人が望む療養生活の継続を支援するツールとして「在宅療養手帳」が創られました。
 

また、現場で活動するメンバーによる」在宅療養手帳委員会」を設置し、以来、現在に至るまで手帳事業にとどまらず、時々の地域医療・福祉事業に関わることならなんでも議題にして様々な情報交換を行いながら、多職種間の顔が見える連携が築かれてきたという経過があります。
 

その中で本市としては、地域の医療・介護事業者の情報マップ作製、包括ケア会議や啓発講座の開催、各介護サービス事業所連絡協議会の開催支援のほか、乙訓地域包括ケアシステム推進交流会や在宅療養手帳委員会、シンポジウム等の乙訓医師会主催事業に対して積極的に参画、連携を行ってきておりますが、本市の在宅医療・介護連携推進事業においては、乙訓医師会が大きな役割を果たしていただいているというのが現状です。そうした中で、課題としては、これまで乙訓医師会が築いてこられた在宅療養手帳等の事業について、乙訓2市1町の行政事業としてどのように移行していくのかという点であります。

 

また在宅医療・介護連携に関する相談支援につきましては、介護関係者からの相談は地域包括支援センターが対応する体制としておりますが、地域の医療関係者や地域包括支援センター等からの相談を受ける相談窓口の設置やコーディネーターの配置等について更なる充実が必要と考えております。

「今後の対応について」
従前から、在宅医療・介護連携推進事業の主体的な役割を担っていただいており、また地域で在宅医療に取り組んでおられる乙訓医師会の先生方の豊富なご経験が乙訓圏域における事業展開にとって大変貴重であることから、引き続き協力を得られるような体制を確保することが望ましいと考えております。

 

その中で、コーディネーターを配置した在宅医療介護連携支援センターを設置して、在宅医療・介護連携推進事業を乙訓医師会に委託する方向で、2市1町と医師会で協議を重ねているところであります。

 

乙訓医師会事務局が新しい済生会京都府病院の敷地内に移転される時期に合わせて具体化できるよう鋭意、調整を行ってまいりたいと考えています。