【質問事項】
放課後児童クラブについて

【質問要旨】
●児童一人あたりの面積について
●「学校の敷地内に設置」と「待機児童をださない」の方針について

【白石たづ子】
子どもの健やかな成長と保護者が安心して働けるための放課後児童クラブのあり方についてご質問いたします。
 

「未来に向けて、安心して子どもを生み、健やかに育てる、夢のあるまち 長岡京市」これが、令和2年3月に策定された「第2期長岡京市子ども・子育て支援事業計画」が掲げている基本理念であり、「1.子どもが健やかに育つ環境づくり」、「2.子育て家庭を支える環境づくり」、「3.子育てと仕事を両立できる環境づくり」、「4.子育てを社会で支える環境づくり」の4つの基本目標が定められています。
 

また、国の「子育て安心プラン」では、女性の就業率80%に対応できる保育の受け皿の整備を目指すこととされ、平成30年9月に策定した「新・放課後児童子ども総合プラン」では、次代を担う人材を育成するため、放課後に多様な体験・活動などを計画的に整備することで、受け皿としての量の確保だけでなく、より子どもたちの健やかな育ちを大切にすることが求められています。
 

さて、子ども・子育て支援事業計画の基本目標でもある「子育てと仕事を両立できる環境づくり」を推進し、女性の社会進出を応援するためには、待機児童を出さないことが重要であります。共働きの夫婦などが小学生になった子どもの預け先がないために、今までの仕事を辞めたり働き方を変えたりせざるを得なくなる、いわゆる「小1の壁」に悩まされることなく、本市の放課後児童クラブを利用されている多くの保護者の方には待機児童の心配がありません。しかし、学校には幼稚園や保育園のような延長保育はありません。さらに、低学年のうちは早く下校する日が多くあります。


共働き家庭にとって、今までのような延長保育の代わりとなるのが「放課後子ども教室」や「学童保育」であります。
 

令和元年9月議会の一般質問において私から直営の放課後児童クラブにおける閉所時間の30分延長を求めたところ、令和2年度から延長を実施していただくなど、子育てと仕事を両立できる環境づくりに取り組み、女性の社会進出を応援していただいていることに感謝もうしあげます。


このような状況で、新1年生の放課後児童クラブへの本年度入会率は、44.9%と5年前よりも11.5ポイント上昇し、ますます放課後児童クラブへのニーズが高まってきていますが、今後も待機児童を出さないように工夫すべきと考えています。
 

次に、基本目標のうち「子どもが健やかに育つ環境づくり」、「子育て家庭を支える環境づくり」を実施するために、児童の安全の確保、よりきめの細かい対応をするための学校や家庭との連携が行える体制を整えるためにも、学校と放課後児童クラブの距離の近さが重要だと考えています。保護者の安心は、本市の放課後児童クラブの特徴として、小学校の敷地の中にあるということです。
 

小学校の敷地にあることで、運動場を元気に駆け回る、この広い空間を活用できることがメリットとしてあります。保護者の1番の願いは、「わが子が、放課後や長期休みを、楽しくお友だちと仲良く遊びながら、学童保育を自分の居場所と実感しながら過ごしていくこと」でありましょう。小学校の児童は、まさに健康な体作りの大切な時期でもあり、運動場を利用した遊びから体づくりだけでなく、楽しい時間を過ごすことで、健やかな成長に大きく寄与していると思います。


また、学校から放課後児童クラブへの安全な移動や学校との緊密な連携も可能であり、学校の敷地内に放課後児童クラブがあることは、物理的な距離だけでなく、しっかりと連携することで、児童と放課後児童クラブの指導員、学校の先生そして保護者との心の距離も縮めることにつながります。
 

一方で、学校の敷地内にあることは、建物の建築スペースが限られており、待機児童を出さずに児童一人あたりおおむね1.65㎡を確保するという難しい課題があります。
 

放課後児童クラブにおいては、施設の面積のみを考えるのではなく、学校の敷地内に建築することの意義や、待機児童を出さないことの保護者の願いを考えながら、施設の狭隘化の課題とのバランスをどのように調整するかが大切だと考えます。
 

そこで、質問をいたします。

1.児童一人あたりの面積についての考え方ですが、これまで全ての在籍児童数を分母として計算されていますが、学校とは違い児童の出席率は100%ではないと思いますが、今年度の児童の出席率はどの程度でしょうか
 

厚生労働省の「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準について」においては、毎日利用する児童の人数に一時的に利用する児童の平均人数を加えるとされており、より実態に近い数字で算出することになっていますが、算出方法に関して見直しを行う必要があると思いますがお考えをお聞かせください。

2.本市の放課後児童クラブにおいては、「第2期長岡京市子ども・子育て支援事業計画」が掲げている基本理念や基本目標を踏まえ、「学校の敷地内に設置」と「待機児童をださない」の方針を守りながら、放課後児童クラブを運営していくには、市としてどのような取り組みが有効だとお考えでしょうか。

【教育長答弁】

まず、児童の今年度の平日の出席率は4月79.2%、5月79.3%、6月78.9%、7月81.2%とほぼ8割程度になっています。
 

「長岡京市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例」の専用区画面積の規定が適用される施設ごとに、この8割の児童数で計算すると1人当たりの面積は最小でも1.84㎡となります。
 

「児童一人当たりの面積についての考え方」ですが、厚生労働省の「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準について」においては、事前に利用日の調査を行うことで、在籍児童ではなく実際に利用している児童数により算出することになっており、より実態に近い状況で把握する必要があります。

 

本市の実際の利用率が8割である現状や、限られた学校敷地スペースや財源での施設整備を考慮した場合に、厚生労働省の基準に従い、より正確な数値の把握に努め運用してまいりたいと存じます。

「現在の方針を守りながら、運営していくには市としてどのような取り組みが有効か」


議員のご指摘通り、「児童が健やかに育つ環境づくり」に必要な学校施設の利用と学校との連携、「子育てと仕事を両立できる環境づくり」を実現するために待機児童を出さない視点は、本市の放課後児童クラブにおいて、運営の柱であり、この方針を守るべくこれまでも努力を重ねてまいりました。

 

施設の老朽化や狭隘化などの課題に対し、学校敷地内において、これまでも順次建て替えを実施しており、来年度は長九小児童クラブ、令和6年度には、長四小児童クラブにおいて、新しい施設での運営を行う予定としております。

 

新施設の使用開始までの間や敷地の確保が難しい施設の対応につきましては、学校と連携し、会議室などを保育スペースとして活用し、また専用スペースを確保できない場合でも、臨時に多目的室などを使って保育を行っております。

 

運営面でも、複数の学年で構成している特性を生かして、平日では学校から児童クラブへ登所する時間が異なるために、宿題、おやつ、外遊びの時間差をうまく組み合わせる対応をしております。

 

ここでも、施設の内外の組み合わせが可能となる学校のグラウンドを利用できることは大きなメリットとなります。

 

また雨の日においては、体育館をお借りすることもあり放課後児童クラブの施設内のみで過ごす日はほとんどありません。

 

このように、施設面積のみにこだわった視点で放課後児童クラブの保育を見るのではなく、児童にとって、保護者にとって真に必要な保育をどのように提供するかを大きな視点で考えることが重要であり、そのために「学校の敷地内に設置」と「待機児童を出さない」の方針を守るためにも可能な限り学校と連携しながら、引き続き放課後児童クラブの運営をしてまいる所存であります。