【白石質問】

 本市の生涯学習プログラムを拝見しておりますと、主に地域活動や趣味、教養といったものが多く見受けられます。しかし、これからはさらに仕事上のキャリア構築に関係する専門性の高い職業能力や知識の習得といった、社会人教育への関心も高まってくるのではないかと考えます。

 マルチステージとは、2つ3つのキャリアを持ち、生涯で「仕事」「教育」「引退」を繰り返すことで、人生の選択肢を広げることです。すなわち、人生の進む道が多様化するという事であります。

それは労働や就労に関していうと、一人ひとりの専門性や職種は会社が決め、育成も会社が行うというこれまでの終身雇用を前提としたシステムから、個人が自ら主体的にキャリア選択を行うという形に変わっていくことになります。

そして仕事の在り方自体も、AI(人工知能)やロボテックプロセスオートメーションといった新技術により、大規模かつ急速に変化することが予測されます。

何よりスマートフォンがわずか10年余りの間に世界中を席巻し、人々のライフスタイルに大きな変化をもたらしました。ウェブ会議やクラウド・コンピューティングの存在も、このコロナ禍において随分と働き方が変わってきました。

 私たちはこれからも大きな技術革新に遭遇する事でしょう。そのような背景から、リカレント教育についてお伺いします。

【白石質問3】
 リカレント教育とは、変化する社会に適応していくため、誰でも必要な時に教育機関に戻って、職業的スキルや知識を学べる仕組みのことであります。

社会人が一時、仕事をやめ、大学院などに進みキャリアを構築することなどは、労働市場の流動性が高い欧米では社会の仕組みとして定着しています。また日本においても近年、専門職大学などが普及してきました。

今日では、多くの海外の有名大学の公開講座がインターネット上で無料で受けられる環境でもあります。リカレント教育が身近な自治体の生涯学習に広がることで、これからマルチステージのキャリアを求める人たちの支援につながると考えますが、教育長のご所見をお伺いします。

【教育長答弁】
 人生100年時代には、教育・雇用・退職後というこれまでの伝統的な3つのステージの人生モデルから、マルチステージの人生モデルに大きく変わりゆく新たなフェーズを迎えることになります。

社会情勢は、コロナ禍により大きく変化しておりますが、Sciety5.0時代の到来による新しい経済社会の展開も視野に入れておく必要があります。

 こうした背景のもと、リカレント教育は、就職に有利なように実務能力の向上を図るもの、また自己実現のために人格を陶冶するものなど、各個人が社会的にステップアップするために不可欠な自己啓発活動であると認識いたしております。まさに人生10年時代が謳われ、高齢者も若者も学びの姿勢の中から、新しい時代で其々に相応しい健康的な活動ができる社会こそ生涯学習社会であると考えます。

 現在、本市の「第二期教育振興基本計画案」を作成中ですが、「生涯を通じた多様な学び」の項目につきまして、策定作業の中で、ライフステージに応じた学びの在り方を議論しております。

 学びなおし機会の創出や学びを生かす教育の循環を目指した施策として、中央公民館の市民企画講座や生涯学習団体交流室での講座を実施しておりますが、リカレント教育の情報提供の方策を検討するとともに、誰もがいくつになっても学びなおし、活躍できる社会の実現に向け本市のメニューの見直しや充実、学びの見える化など、多様な視点での仕掛けや仕組みの工夫を重ねてまいりたいと存じております。