【白石たづ子】

 肺炎は近年増加傾向にあり、日本人の死亡原因の第3位を占め、肺炎で亡くなる方の9割以上が、65歳以上の高齢者となっています。肺炎の予防や重症化を防ぐためには、肺炎球菌ワクチン接種による効果が期待され、平成26年10月1日より、高齢者肺炎球菌ワクチンが予防接種法に基づく定期接種となっています。定期接種の対象者は、経過措置として、平成26年度から平成30年度までは各年度内に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方で、1人に1回、定期接種の機会が設けられ長岡京市では自己負担3,000円で接種することができます。経過措置終了後の平成31年度からは、65歳の方のみが接種対象になる予定となっています。

 

 

【質問1】 

5歳刻みを対象として始まったこの予防接種、この経過措置による助成制度について周知をどのように図られているのか、お尋ねいたします。

 

【健康福祉部長答弁1】
このワクチンは65歳の方への1回接種として平成26年度から予防接種法による定期接種になったもので、平成30年度までは経過措置として65歳以上の5歳刻みの年齢が対象となっており、毎年ド対象者全員に個人通知で「接種券」と説明文を送り、周知をしています。また、広報やホームページに掲載するなど機会をとらえて周知に努めております。

 

【質問2】

平成26年と平成27年、28年度の高齢者肺炎球菌ワクチン定期接種対象者は何名でしょうか?接種率をお聞かせください。また今年度の見込みをお聞かせください。

【健康福祉部長答弁2】
平成26年度は対象者4565人で接種率48.0% 平成27年度は4296人で42.5% 平成28年度は4783人で45.6% 29年度も同等の接種率を見込んでいます。

【白石たづ子】
平成23年3月11日、国の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会ワクチン評価に関する小委員会の報告書において、ワクチンの医療経済的評価について、言及されています。その内容は、「保健医療費のみ評価する費用比較分析を行った場合、ワクチン接種に要する費用よりも、ワクチン接種によって削減が見込まれる肺炎球菌性肺炎関連の医療費が上回る。」というものです。「一例として、毎年65歳の方全員へのワクチン接種を行い、ワクチン接種の効果が5年間持続するとした場合、1年当たり約5,115億円の保健医療費が削減されるものと推計された。」というものです。


2025年問題に象徴される高齢者人口の急増より, 医療費低減の視点からも,肺炎への対処が重要であることが理解できます。さらに,季節性インフルエンザに罹患すると、高齢者ほど細菌性肺炎を併発しやすくなります。肺炎球菌につきましては、80種類以上の型があると言われております。肺炎球菌ワクチンの接種によりまして、そのうち23種類に対しての免疫をつけることができるといわれています。これによりまして、肺炎球菌の肺炎、8割ぐらいに有効であると言われております。また、高齢の慢性肺炎疾患患者に、インフルエンザと肺炎両方のワクチンを接種いたしますと、入院を63%、死亡を81%減らすことができるという報告もあり、2011年の厚生労働省予防接種部会ワクチン評価に関する小委員会の「医療費の大幅な削減を図ることが可能」という試算の根拠の1つとなりました。

 

海外では,この2つのワクチンの併用接種が有用であるとする報告は多数あり、例えば、高齢者で増加する慢性呼吸器疾患を有する患者では,それぞれのワクチン単独でもインフルエンザや肺炎による入院および死亡を有意に減少させ得るが、2つのワクチンの併用では入院と死亡がさらに減少するという報告などがあります。

 

【質問3】

この高齢者肺炎球菌ワクチン接種の効果をどのように捉えておられるのか、市民の健康と医療費削減効果についての認識をお聞かせください。

 

【健康福祉部長答弁3】
ワクチン接種者と非接種者の比較ではないためなんとも言えませんが、国保データベースシステムの肺炎のレセプト件数で分析をした結果、顕著な変化は認められませんでした。また、医療費を市全体でとらえると、ワクチンで肺炎による死亡率を下げることができる一方で、高齢になるほど他の疾患を持つリスクは高くなり医療費が増えます。今後とも肺炎予防に限らず高齢になっても自立して生活できる期間である「健康寿命」を延伸させられるよう、健康づくり事業等に取り組んで参ります。