平成29年6月定例会における白石たづ子の一般質問ならびに答弁要約を掲載します。ぜひご一読いただければ幸いです。

2015年の医療保険制度の改正法案が成立したことによって2018(平成30)年度をめどに、国民健康保険制度が大きく変えられようとしています。国保の保険者は市町村から、都道府県と市町村の共同運営に変わっていくということになるでしょう。
この事に関して、以下の4点についてお伺いしました。


【質問1】
この国保事業の検討状況と今後のスケジュールについて。

【答弁要約】
国民健康保険は平成30年度から都道府県が保険者に加わるとともに財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的な役割を担う。一方市町村は
引き続き資格管理、保険給付、保険料の決定、保健事業等、地域におけるきめ細かい事業を担うことになる。

平成28年4月に国から納付金算定方法や国保運営方針策定のガイドラインが示されたことを受けて以降、京都府と市町村との協議の場(京都府市町村国保広域化等に関する協議会)において、市町村の国保運営の現状認識を共有するとともに、納付金や標準保険料率の算定方法・激変緩和の考え方、赤字の解消・削減の取組、事務処理等の標準化等について検討を重ねてきた。

平成28年度末までに納付金等については、市町村の医療費水準を考慮して算定する。標準的な保険料の算定方式は3方式にする、標準的な収納率は市町村の過去3年間で最も低い現年度収納率とする、などの基本的な事項について取りまとめが済んでいる。

間もなく国から平成30年度から新たに投入される1,700億円の国費充当分の配分方法について提示がされると聞いている。京都府ではそれを受けて納付金等の試算を行い、その結果を見ながら秋頃まで医療費水準の反映割合や保険料水準の激変のあり方など実質的な調整について、引き続き府と市町村で検討・協議を行うこととなっている。

その後12月をめどに(京都府)知事が運営方針を決定し、平成30年1月に納付金等が市町村に通知される予定となっている。本市ではこれら国や京都府の決定内容を基に平成30年度以降の
保険料等について本市の国民健康保険運営協議会に諮問し答申を受けて3月議会で予算をご審議いただく予定としている。

【質問2】
京都府との協議での合意形成の内容について。

【答弁要約】
納付料の算定には医療費と所得の水準が反映されることとなっている。本市はいずれの水準も京都府内で高位に位置しており、保険料への影響が懸念される。納付金等の算定ルールは京都府と市町村がそれぞれの立場で意見を出し合い、協議の中から合意形成を図っていくが市町村間の利害に直結するものでもある。

保険者である市としては、国保を持続可能な制度とするために、どうあるべきかという視点を持ちつつも、一方では被保険者にとって、保険料等の負担が過大にならないようにとの立場から、納付金等の算定方法の制度設計については現状を踏まえるように、また公費については地域の事情に応じて配分するように市町村間の協議の場(京都府市町村国保広域化等に関する協議会)や京都府に対し、本市の意見として申し上げている。今後も本市の立場を主張していく。


【質問3】
収納率が低下した場合の京都府の対応について。

【答弁要約】
京都府が各市長村に示す標準保険料率は、標準的な収納率を達成すれば、当該市町村が負担することとなる国保事業費納付金等の財源を確保することができることを前提に算定される。仮に実際の収納率が標準的な収納率を下回った場合は、その財源が不足することになる。

京都府では、平成27年度から、国費の措置による「財政安定化基金」を創設・積み増しをしており、給付増や保険料収納不足により財源不足となった場合に備えて、市町村に対し貸付や交付を行うことができる体制を確保している。当該基金から財源不足額の貸付を受けた場合は、翌年度から原則3年間で無利子償還することになる。また災害や景気変動等の特別な事情に該当する場合には、財源不足額のうち、保険料収納不足額の2分の1以内の交付を受けることができる。交付により減額となる基金は国と京都府、交付を受けた市町村を基本に3分の1ずつ負担し補填することになっている。

【質問4】
今後の国保運営に対する本市の取組について。

【答弁要約】
平成30年度から医療費の適正化に向けた取組等、保険者としての努力を行う自治体に、財政的インセンティブを与えるため、適正かつ客観的な指標に基づく財政支援として「保険者努力支援制度」を創設し、700から1,000億円規模の予算が措置されることとなっている。

評価指標とされるのは、保険者の法定義務である特定健診・保健指導の実施に加え、糖尿病等の重症化予防や、後発医薬品の利用、交通事故等の第三者求償の取組み等。平成28年度から国の
特別調整交付金の財源を活用し、その趣旨を反映する仕組みが始まっている。

医療費適正化への取組を強化することにより、財源確保や疾病の早期発見や生活習慣病の重症化予防、健康寿命の延伸が期待できる。被保険者の保険料負担の伸びの抑制や負担軽減にもつながることから、今後積極的に取り組んでいきたい。