「児童虐待の未然防止」の取組について

中小路市長は、安心して子どもを産み育てられる環境が充実し、すべての子どもがその子らしく健やかに育つことも重要課題に掲げ、結婚、出産、育児、そして子どもの自立と、広範な切れ目のない子育て支援策を打ち出しておられます、そのことについて私も大いに賛同するところであります。同時に、生まれてきた大切な命が虐待にあい奪われる、もしくは虐待を受けた人が大人になって、また、自分の子どもに虐待してしまうという、そうした負の連鎖、これを何としても止めなくてはいけない、このことに対して長岡京市はこれまでも強い危機感を持ち、虐待を許さない、絶対に虐待を起こさせないんだという強い、メッセージを発してきたと認識しております。

 

親が虐待に走ってしまう理由は様々であります。なぜに?と人間性を疑いたくなる事例から、誰にも相談できずに悩み苦しんだ結果、そのようなことに至ってしまうという様々な事例があると思います。これを防止するには、市町村、いろいろな民間団体、地域のつながり様々なものがネットワークを構築して、広範な施策が求められるものと思いますが、今回の質問は、女性の心身の健康の保持と児童虐待未然防止を図る取り組みについて伺います。厚生労働省の調べによると、虐待に至るおそれのある要因として、第一に、母親の発達障害傾向、産後鬱症状、低年齢、妊娠時の状況など、第二に、子供側のリスク、第三に、配偶者からの暴力等、養育環境の要因が挙げられています。

 

 先日、児童虐待の発生と重症化に関連する個人的要因と社会的要因についての研究を発表された国立成育医療研究センター研究所の藤原武男医師のお話をお伺いする機会がありました。虐待対策を効果的に進めるには、保健機関の妊娠期からのシステム的支援や児童相談所及び区市町村虐待事例報告システムの改善、また虐待対策の地域アセスメントが重要であり、虐待は防ぐことができるという認識に立って、行政側は最新の情報を学び続けなくてはいけない、子供は声を出せないので、行政がきちんと子供を守るべきだと述べられています。核家族化や地域の人間関係の希薄化などから、ますます行政が担う役割が求められています。

一つ一つの小さな兆候も、関係機関の情報を一元化すれば重大な事例の発見につながります。助けてという子供の心の声を受けとめ、犠牲になる子供をなくさなくてはなりません

さきの「子育てコンシェルジュ」事業でも、妊娠期から出産、子育て期にわたる切れ目のない支援に取り組んでいただいているところではありますが、児童虐待を防止するためには、さらなる拡充と新たな対策が必要であるとかんがえます。

【質問①】本市の児童虐待の未然防止についての取組状況についてお伺いします。

【健康福祉部長答弁】児童虐待は子どもの心身の発達に深刻な影響を与えることから市をはじめとした関係機関は保護者の生い立ちや仕事や暮らし、住まいの状況、友人や隣人との人間関係、子育てのストレス、心身の問題などの親側の背景要因と子どもの障がいや疾病等の育児負担の問題、また望んだ妊娠であったのかどうかという受容の問題など様々な要因により起こるという認識を持つことが重要であると考えております。平成27年度に全国の児童相談所が児童虐待として対応した件数は統計を取り始めて以来、初めて10万件を突破しました。本市におきましても児童虐待の新規受理件数は、平成17年度の18件に対し平成27年度は110件と約6倍にも増えております。こうしたことからも児童虐待を未然に防止することは大変重要であり喫緊の課題であると認識しております。本市では今年度から健康医療推進部に配置した「子育てコンシェルジュ」が妊娠や子育ての不安、孤立等に対応する総合相談、情報提供、新生児訪問及び適切な社会資源への「つなぎ」の役割を果たしております。また出産直後の母子の心身をケアする産後ケア事業や養育支援が必要な家庭に対して家事・育児援助サービスを提供する養育支援訪問事業を行うとともに子育て中の親子が交流を深め、不安や悩みの相談ができる場として地域子育て支援センターやつどいの広場を設けており、これらの事業等が子育てに対する不安感・負担感の軽減につながっているものと考えております。また児童相談所や保健所、警察、市の関係部局等を構成員とする要保護児童対策地域協議会とのネットワークを活かして児童虐待につながる情報等を早期に把握し共有することにより、児童虐待の未然防止に努めているところでございます。

 

【質問②】育て難さに対しての子育て支援などの取組状況についてもお伺いします。

【健康福祉部長答弁】児童虐待が起こる原因は様々でありますが、その中でも「子育ての仕方がわからない」ことによる児童虐待が多く発生しております。このため本市では今年度、児童虐待の未然防止策として学童期の保護者を対象にした「前向き子育てプログラム・トリプルP」を実施いたしました。トリプルPは子どもの行動・情緒問題の予防と治療を目的に作られたプログラムで親の子育ての知識、技能及び自信を向上させること、子どもの社会性や情緒などを伸ばすこと、家庭・学校・地域で子どもの問題が発生する前に予防することなどを目的としています。今回10名の保護者に参加いただき11月10日から12月22日にかけて電話セッションを含め計7セッションを行いました。参加者のトリプルP実施前後の評価についてでありますが、親としてのふるまい方、不安、ストレス、子どもの問題行動など計11項目の指標を用いて評価した結果、参加者全員の平均値が全ての項目で改善しました。(実施前に正常範囲を下回っていた8項目については、実施後4項目が正常範囲に収まりました。)親の前向きな子育て技術の習得は家庭内の調和の促進や親子間の衝突を減少させるなど、児童虐待の未然防止に非常に有用であると考えております。

 

【質問③】また今後の未然防止の取組についてはどのようにお考えでしょうか?お伺いします。

【健康福祉部長答弁】児童虐待の未然防止には、より早い段階から支援を行うことや、対象者を限定しないポピュレーションアプローチの観点が重要であると認識しております。