オットはどうやら、自分の思い通りに行かなかった間、私がのんきに昼ご飯を食べていたのが気にいらないようであった。
この日、ワタシは打ち合わせのあと、別の友だちと久しぶりに会う約束があったのだ。一緒に美術館へ行って帰りに食事をしようと楽しみにしていた。でも、こんな状態では家を空けておくのは無理そう。犬の世話だってあるし。
実は彼女もパートナーとの関係に悩んでいて、本当はもっと前に合う約束をしていたのだが、彼女は彼女でパートナーといろいろあって延期になっていた。だからワタシが「ごめん、こういう事情で今日はちょっと寄り道できそうにないの。またにしてもらえるかな?」とメールしたときは、「この間は私の事情で延期したんですから、大丈夫ですよ」と快く理解してくれた。
悪いなぁ。でも、お互い苦労するよね
とりあえず仕事の用事を済ませ、「今日は予定をキャンセルして、打ち合わせを済ませばすぐ帰ります。バイクで出て行ったので、大丈夫か心配なので」とオットにメールをしたが返事はなし。
昼食も食べないで午後3時前に戻ると、バイクは置いてあった。が、今度は車がない。
「朝、10時ごろに戻ってきて少し昼寝をして、また車で出て行ったよ」と、ハハ。ハハも、何やら不穏な雲行きであることを察知しているようだ。
それからワタシはまたやらねばならない仕事をして、午後8時ごろに犬の散歩に出た。
するとメールの着信が。オットからだ。
「散歩行ってやって」
と一言だけ。どう書いて良いやら、腫れ物に触るような気分。だもんで、ごく事務的な文章を入力する。
「今している最中です。わざわざ車に乗り換えて出て行ったので、今日は帰らないような気がしたので。では気をつけてください」
そう返信して散歩を続けたが、結局この日はもう音沙汰がなかった。
当然ながら、帰っても来なかった。
こうしてオットは、翌日もその翌日も帰らなかった。