何かに打ちこんでいるときのオットは機嫌が良い。地域の用事や、自分が打ちこんでることやらに集中して、ちょくちょく小出しに小爆発はあるものの、割とノーマルな生活を送れていた。
知り合いに頼んでいろいろ繰り返し、ワタシにも相談をしてきたんだけど、ワタシはまだそれを現実化する段階まで行ってるとは思ってなかった。
だからずるずる日が経ってしまったんだけど、オットの中では構想がどんどん膨らんでいたようだ。
そして10月に入って半ばのこと。オットが険しい顔をして「いい加減に連絡を取ってくれ」と言った。これまでわりと上機嫌で、前日などはいとこが友だちを連れて寄ってくれたのに、愛想良く応対していたのだが。
その連絡とは…。ワタシの古い知人に、今回オットが考えていることにちょっと関連する仕事をしている人がいて、その話をオットにしていた。オットは、「そのうち連絡を取ってくれ」と言っていたのだが、忙しかったりいろいろあって、延び延びだったのだ。
が、この日はちょっと怪しい雲行きだったので、104で番号を調べて連絡すると、幸いその人は家にいらっしゃった。でもやはり、勤め先の事務所はずっと前に退職していて、現在はそういうことに関わっていないとのこと。だからとりあえず、「関係団体がやっている無料相談会に行ってみたら」と言われた。
調べてみると、たまたまこの日は相談日だった。だからその旨をオットに言って1時半の予約を取り、行ってもらった。オットはすでにこの時点で「はぁ~頭が痛い」と大きくため息をつき、今にも爆発しそうだった。でも、とりあえず予約したから・・・と、伝えて、ずっと前から約束していた友だちとの昼食に出かけたワタシ。
そして夕方の4時前に戻ると、オットは真っ暗な顔をして台所に腰かけ、ビールを飲んでいた。
雰囲気、険悪。やばっ。
「案の定、糞の役にも立たなかった」と、テーブルを叩いて荒れているオット。まだ早い時間からに飲みだし、いったん2階へ上がったワタシが1時間後ぐらいに下へ降りると、日本酒の瓶が置いてあった。減り具合は3合ぐらいってとこ。目は完全に座っている。
見事に、調子の悪い状態に逆戻りだ。
ワタシに文句を言い、それに口答えすると「じゃあ何か、オレが悪いって言うのか」と、まだ堂々巡りになりそうなことを言うので、もう面倒になって「はい。それじゃワタシが悪かったです」と、解っていながら火に油を注ぐような答をするワタシ。
オットはふらふらと2階へ上がり、布団に潜り込んですぐさまイビキをかき出した。