年末年始のバタバタとブログネタやご挨拶ですっかり離れていた、我が家の現状。
遡って、家出したあとのことから。
帰ってきた翌々日は、朝から出かけていった。
たぶん久しぶりに、趣味のサークルへ行ったんだろう。
でも、知人の荷物も車に積んであったんだけど、夕方帰ってきたときにはそれがなかったから、出たついでに届けたようだ。
無言で、とある洋菓子店のオマケを置くので、ここでケーキを買って知人の見舞いへ行ったのかもしれない。
ワタシは一日家にいたけれど、たまたま最近知り合った人が来てくれたので接客し、少なからぬ売上を渡した。オットはぽそっと「ありがと」とつぶやいたけれど、お金を仕舞いもせず机に置いたまま。それ以外は無言。
何を聞いても、返事がないから分からない。
そのままわかしておいた風呂へ入り、用意した夕食の席についたが、機嫌はめちゃくちゃ悪いままだ。
「オレが作ったオムレツはこれか?」と、グラタンを指差すので「そう」と答えれば「はぁ~~」と大きなため息をつく。
リンゴとベーコンのオムレツ、あんまりおいしくなかったから、あのとき食べなかったナスのソテーと合わせてソースをかけ、チーズをのせてグラタンにしておいたのだ。でも、そうやって手を加えたのが気に入らないらしい。
そして辛そうに不味そうに少し手をつけただけで酒をあおり、残った物をワタシの皿の上に手づかみでどさっと盛り上げた。そのまま立ち上がり、歯を磨いて2階へ上がる。
ワタシはぼんやりテレビを見ながら残り物を片付けていたんだけれど、しばらくすると2階で物音がする。
ドシン、バコン
家のあちこちを、どつく音である。
「くそっ」という声も聞こえてくる。
荒れているらしい。
「何をしているの」と、2階へ上がれば
「この家はお前の家じゃ。こんな家なんか壊してやるっ」
「やめてよ。それ、どういうこと」
手を抑え、ついでに頭を2、3発たたいてから聞くと
「オレは一生懸命やっているのに。もうイヤだ、死にたい」
「またそんなことを言う。いったい、何がイヤなの」
「どうしてお前に、そんなことを説明しなきゃいけないんだよっ」
「いってくれなきゃ、わかんないじゃん。でも、この家じゃなく、ワタシが気に入らないんでしょ」
「あーもうイヤだ。死にたい」
全く、会話にならない。
そして台所へ降りていく。降りてから、階段の手すりを持って思いっきりガタガタするので、また背中をどついてやめさせる。
するとオットは、流しから包丁を取り出し、柄にタオルを巻いて腹に突き刺そうとした。
前にもあったなぁ、こういうこと。
なんだか妙に冷めちゃってるから
「ねぇ、そんなのでお腹を刺したら痛いよ。自転車で転んだだけでも、あんなにウンウン言ってたのに、あのぐらいの痛さじゃ済まないよ。血もいっぱい出るし」
そう言って包丁を取り上げると、力なくゆだねる。でも、また別の包丁を取り出し、カッターを取り出し、家中の刃物を順に取り出しては腹に当てる。ワタシも無言で、それを取り上げていった。
「ほっといてくれ、オレは荒れてるんだ。もう何もかもイヤになったんだよ。どうして何をするにも、お前の許しを得なきゃならないんだよ」
と、泣きながら、家出前の話を蒸し返すようなことを言う。
ほどなく起きあがったので、やれやれ2階へ上がってくれるのかと思ったら、階段の下でへたりこんで泣きじゃくる。
うつ状態が一番ひどかった頃に戻っている。
ひとしきり泣いたあと、やっと2階へ行ってくれるのかと思ったのに台所へもどってストーブを点け、床に寝転がる。
うへぇ。こりゃたまらん。
ゆすり起こして、非常時用に置いてあったイライラ止めを出し、多めに飲ませた。この際、多少多くてもかまわないわ。
しばらくすると薬が効いてきたのか、寝息が聞こえてきた。
ワタシは取り上げた刃物を全てタオルでくるんで2階へ持って上がり、とりあえず隠した。
いったい、今日なにがあったというのだ。今日なにがあったと言うより、数日前のことを根に持っているのは明らかだが。
ワタシだって、もうイヤだーーーー
どっと疲れが出てしまった。