ワタシが戻ると、オットはとりあえず落ち着いていた。
しかし、このバタバタの間に寝ていたとは。まだパニクってるよりはマシだけどね。
なんだかなぁという思いで汚れ物をビニール袋に入れ、着替えを揃えて待つ。
時間は、いつのまにか10時を回っていた。
途中で、渡された連絡先へ電話をすると、自転車を最寄りの交番に預かっているから今日中に取りに行くよう言われる。
その間も、病院にはひっきりなしに急患が入ってくる。
人の生死の瀬戸際を目の当たりにして、とりあえず大事ではなかったと自分を落ち着かせる。
待合室でコーヒーを飲みながら、「良かった探し」をしてみた。
家に帰ったとき、ライターを持ってこなかったことはミスったが。
大事には至らなかったし、日帰りだ(それはそれで困ったものだが)
とりあえず、連絡が来たとき偶然家にいたからすぐ駆けつけられた。
夕方帰ってきて先に入浴を済まし、汗をさっぱり流していた。
誰かを傷つけたんじゃなかった。
大金を落としたり、貴重品を落としたりはしなかった。
・・・・・そんなところ、か。
しかし、何ともやりきれない気持ちは晴れない。
しばらくして、医師にこれからのことを尋ね、荷物をまとめてオットを起こす。
一応は目を覚ましたが、。まだ朦朧としている。頭もまだ痛いらしい。
コルセットを装着してもらい、「今日は帰るよ」というと、わりと素直にうなずいた。
だから服を着替えさせて待合室までそろそろ歩き、とりあえず自販機でお茶を買って飲ませる。
それから痛み止めと湿布をもらって支払いを済ませ、表でタクシーを拾った。
オットにあまり体を動かさないように言って、運転手さんにはゆっくり運転してもらう。
家に着くとオットは
「腹が減った」
ワタシだって午後から何も食べてないんだけど。打ち上げに、行けなかったしね。
たまたま昼間もらったおにぎりが2個あったので、冷蔵庫から取り出してチンし、オットに渡すともぐもぐ食べてしまった。
お茶をいれてテーブルに置き、今日はもうすぐに寝るように言う。
ワタシは・・・・まだ用事がある。
犬が散歩を待っているし、自転車も取りに行かねばならない。
まずはずっと辛抱していたであろう犬にリードをつけ(すでに待ちきれず、粗相していたようだが)、交番まで散歩をした。
表に犬を繋いで自転車を受け取り、ハンドルにリードをくくりつけて押しながら帰る。
道すがらコンビニへ寄り、お弁当を見たけれどめぼしいものは残っていない。
今から油っこい揚げ物もイヤだしなぁ。
そこで、おでんとちらし寿司の小さいのを買い、待ちくたびれていた犬にもおやつを買う。
かしこく待ってたんだし、今日は甘やかしてやろう。
尻尾を振る犬と一緒におやつを食べながら家に帰り、犬にご飯をやったあとワタシも晩酌だ。
深夜0時半。
空腹は納まっていたけれど、とりあえず食べておこう。っていうか、酒のアテ。そんな気分で冷めかけたおでんを頬張ると、ひどく惨めな気分になった。
残りを焼酎で流し込み、心底くたびれて布団に倒れこむ。
でも、目が冴えてなかなか眠れなかった。