翌日。ワタシは朝から来客の予定があり、その続きに仕事の用事で出かけねばならなかった。
だからいつもより早めに起きる
オットは、まだ寝ていた。昨日もほとんど寝ていたし、落ちているときはいつもよく寝る
顔を洗って身支度をし、来客との用事を終える。そしてようやく起きてきたオットが知らん顔をしているので、出かけるまでに
犬の散歩を済ませた。ま、たまにはワタシも散歩に行かないといけないんだけど、よりによってバタバタしてるときなのが辛い。
あたふたと戻ってまた外出。
昼の１時に戻ると、オットは昼食を食べたあとだった。
ワタシが２階に上がって仕事をしていると、３時ごろ何も言わず出て行ったオット。
行き先は、わかっている。
昨日あれだけ落ちていたのに、やっぱりヘルスへ行くんだろう。
ワタシは午後６時から習い事のある日だったけれど、その時間になってもオットは帰ってこない。だから
携帯に電話してみた。
ものすごく機嫌の良い声で出る、オット。
おそらくは風俗嬢と酒を飲んでるんじゃないか。上機嫌である
「行ってらっしゃ～い。オレもそんなに遅くならないから」
そう言って、電話は切れた。
ワタシが８時過ぎに戻ると、オットはすでに入浴を済ませて本を読んでいた。機嫌は元に戻っている。つまり、落ちたまま。はいはい、私の顔を見たとたん、機嫌が悪くなるんっすね。
もちろん食事の用意など、何もしてない。オットはキュウリ事件以来、まったく夕食の支度はしなくなっている。手伝ってと言ったところで、どうせ「お前が文句を言うから」と言うに決まってるだろうから黙って準備した。
そしてワタシが並べた食事をモクモクと食べ、早々に自分の茶碗だけ片付けて寝室へ上がったオット。とはいえ今日は下地が入ってるんだろう。いつもより食欲がない。
「今日はどこへ行ってたの
」
わざと聞いてみる。オットは、一拍の間をおいて(この、わずかな間合いがウソをついてる証拠なんだよねぇ)
「デパートへ。ちょっと見たいものがあって。そのあと久しぶりに、
飲み屋へ寄って軽くやってきた」
ふーーーーーーーん。そうですか。
行動は、割れてんだけどね
オットが寝ている間に、オットの財布を覗いてみた。
案の定、ヘルスのメンバーズカードには今日の日付で新しいハンコが増えている。
そして、とある店の17000円の領収書。これはきっと、風俗嬢への
プレゼントを買ったんだろう。
ここでワタシは不思議になる。このごろ仕事もあんまりしていないし、どこから
お金が入ってくるのか。ケガでおりた保険金だろうか。それなら、今はあっても近い将来に底をつくはず。だからこそ、できる間に仕事をして備えるべきなのに・・・・。そう思って銀行の通帳を覗くと、昨年から毎月とあるキャッシング会社の引き落としがあった。昨秋からの借金とは別の物だ。いったい、いくら借りているんだろう。いつまで返済の予定なんだろう。
ますます不安になる
現実から目を背け、風俗嬢にうわべだけ耳あたりの良い言葉を言ってもらい、癒されるオット。
そりゃ商売なんだから、お金を貰ったらいくらでも優しい言葉やサービスはかけてもらえるだろう。しかも商行為の上に、プレゼント付き、飲食付きで。
きっと今日も、「昨日はきついこと言ってごめんね。イヤな客にからまれて困ってたのよぉ」とか甘い声でささやかれ、ニヤついてたんじゃないだろうか。あくまでも、憶測だが。
ワタシは、たぶん真っ当なことを言って逆ギレされ、落ち込まれ。
その一方で、商売女にほいほいいい顔をするオットが情けない
腹が立つを通り越して、気の毒だ。
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