第10回Willy-Nilly ご報告
今回は各地から20名近い参加者の皆さんをスクリーン上にお迎えして、"Mr. Gumpy's Outing" by John Burningham についてあれやこれや話しました。いつものように、一人読みをした後3~4人のグループに分かれて気軽なおしゃべりをしたら、今度は参加者全員で、こんな話が出ましたよと報告するスタイルです。
気軽なおしゃべりだからこそ、ワクワク心は表表紙の絵も見逃しません。「ガンピーさんの家の周りの様子が見られますね、このお話が意外に狭い範囲で繰り広げられているのがわかります」、という具合にそれはそれはたくさんのお話が聞けました。今回もイベント後のアンケートでは様々な感想が寄せられており、いつものように企画メンバーたちで一緒に読み上げながら当日を振り返りました。「心癒される温かい時間」「刺激をもらえる時間」「ワクワクの時間」「スッキリの時間」 そしてやはり、「同じ絵本なのに、今まで自分が受けていたものとは全く違う発見がありました」というコメントが目立ちます。Willy-Nilly10回目にして "自由気ままに絵本についておしゃべりをする場" としての存在感が感じられてとっても嬉しいです
Johnさんの絵力
まずはなんと言ってもJohn Burninghamさんの画力、語らずにはおれません。お手元に絵本をお持ちでしたら是非ご覧になりながら今一度ご堪能ください。
本を開くと、左側は物語の進行がモノトーンの線画で表現されている「動」のページ、太陽の位置や陰影で時間の経過がわかります。その右側には登場する生き物たちの姿が様々な筆使いで表現され、ひとつずつ大きく切り取られている「静」のページ、この組み合わせを見開きに配して、みんなが船に乗り込むところまで読者を運んでくれます。全員が乗り込んだところまで行くと、線画の "ぎゅうぎゅう舟" は燦々と輝る太陽ですこーしだけ色づき始めています。何やら騒がしくなってきた "ぎゅうぎゅう舟" を頼もしく漕ぐガンピーさん、かっこいい ページをめくると、見開きいっぱいに描かれた舟はみんなと照らす太陽の光を撒き散らしてバッシャーン‼︎ ここで線画は満を持してフルカラーに!臨場感がすごいです。 そのあとみんなは乾かすために土手に上がりますが、その先の原っぱを一列に並んで家路を辿るその一行の背景には、爽やかな風を感じさせる大きな樹が描かれていて、眺めているだけなのにとても気持ちが良いのです。
おしゃべり♪
そんな豊かな表現力を持ったJohnさんの絵本を楽しんだ後、参加者の皆さんはガンピーさん考察をしたり、お茶の時間の絵を見てキャラクターたちの心情を読んだり、「ところでガンピーさんのお家の玄関はどっち?」などと、自由に心に浮かんだことを言葉にして共有しました。中には「舟あそびでひっくり返るのは毎度のことで、実は『さて果たして今日もひっくり返るのでしょうかっ』とまるでドリフのタライ状態なんじゃないかな」というのがあったり、「ガンピーさん、小林一茶だね」とも。ウクライナ民話の"手袋"を思い出したという声も何人からか聞きました。
英語文にも自然と関心がいきます。「ボートに乗せて欲しいと伝える言い方が色々あって面白い」というのも複数人から出ました。馴染みのない英語表現がいくつも出てきて調べたくなるという話が出た場面で、「絵本の言葉は辞書を引いてもなかなかしっくりはわからなかったりするんですよね」というやりとりもありました。
ガンピーさんの深い懐
そして皆さんからの強い印象として上がったのが、やはり "ガンピーさんの深い懐" について。
舟がひっくり返っても怒らない、「これはやらないでね」と言われてもやってしまったみんなを受け止めてくれるガンピーさん。そもそも、「これはやらないでね」というのは、「みんなが舟に乗れるようにここは我慢しようね」とガンピーさんがみんなを乗せるために出したささやかな条件。それさえも我慢できなかったのは、それがそれぞれの性分というもので故意にやっているものではない、どうしようもなかったのかも知れません。それでも「みんなで同じ舟に乗る」ためにはちょっと頑張らなきゃね、とガンピーさんは伝えたかった。でも舟はひっくり返るわけです。しかしそこで、「何やってんだーっ‼︎」、とはならずに、、、「じゃあお日様に当たって帰ろう。帰ったらお茶の時間だよ。」と優しくリードしてくれるガンピーさんにみんなで惚れ惚れしたのでした
他にも、こんな学校があったらいいのに、と学校に行けないお友達と一緒に読んだという方がいらっしゃいました。このお話はその子のお気に入りだったそう。
・・・・・・・・・・・・・・・・以上、お喋りされていた沢山のお話をクルッとまとめて包括ご報告でした(笑)
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最後に
実は皆さんの発言をほぼ漏れなく書き留めておりましたが、いざそれを文字に起こしてみるとなんか違う。現場で受け取った空気には程遠く、ワクワク感が色褪せてしまいました。これは実際に参加して頂くしかないようです。
ということで、初めての方もそうでない方もご都合が合えば第11回Willy-Nillyへどうぞお越しください。 そんなに絵本好きでなくても案外楽しめます。むしろそういう方が発掘されて(笑)ご一緒できればお互いの世界が広がってまた楽しいのではと期待してお待ち申し上げております。
次回は、12月5日(木) 10時開催、お申し込みのご案内は後日各SNSにて。 どうぞよろしくお願いします
文:toyoko
神奈川県 川崎市