プレイアデス星団の、アステローぺIとアステローぺIIが分裂する前の、原アステローぺの周りを、惑星ゲロイアが回っていた。ゲロイア星は、海が無くて、星全体が砂漠で覆われていた。人々は、人工の、大きな河を作って、その河の傍に町を作っていた。その星では、灌漑工事をするロボットが多数作られていた。それらは、照る照る坊主型で、逆様になって、スカートの中から特殊な音波を出して、上空の雲や水蒸気を雨に変えるロボットであり、風呂桶の形で、水を運んで、シャワーで畑に水を撒くロボットであり、フォークのような形で、地面を突いて、地下水を噴き出させるロボットであった。そして水がある場所に住んでて、人間と同様に尻尾が無くて、脚が長いカエルは、神の使いとされて、神像はカエルの顔をしていたが、カエルの足では二本足で立てないので、無理やりカエルの足で直立させた像と、足が人間の足に似ている像と、足が鳥の足に似ている像が混在していた。そして、最強のロボット兵器も、しばしばカエルの顔に作られていた。

 

 王朝の軍隊は、地上戦艦を主力とし、地上戦闘機と呼ばれる一人乗りの小型戦車を多数積んでいた。地上戦闘機は空を飛べないが、砂漠と道路を高速で走った。また、地上戦艦は砂漠と道路しか走れないので、岩場ではキンズバーン戦車が使われた。キンズバーン戦車は、胴体の四隅から脚が一本ずつ生えていて、前部からは砲塔である頭部が生えていた。砂漠と道路では、姿勢を低くするために、屋根の四隅から脚を生やしてクモのように歩き、岩場では、胴体を上下逆に回転させて、底面から生えた脚で、犬や馬のように歩いた。

 

 イノゴ・ハレッド・ベレロフォンテ6世が王であった時に、テロリストが、アンドリアスというロボットに乗って反乱を起こした。アンドリアスは、イモリが二本脚で立って直立したような姿であった。地上で走る時は、アルファベットのTのような姿勢であり、ステムは脚部、右のアームは尻尾、左のアームは頭部と胴体であった。地上で歩く時や立ってるだけの時は、胴体を上に起こして、首を曲げて頭部を前方に向けるので、アルファベットのFのステムが胴体と脚部、バーが尻尾、アームが左にずれて逆向きになったのが頭部という姿勢であった。そして水中で移動する時は、首を真っ直ぐにして、胴体と頭部を前方に向けて、脚部を後方に向けるので、ハイフンの右半分が尻尾と脚部、左半分が頭部と胴体という姿勢であった。二足歩行をするロボットは、当時としては画期的であったが、オートバランサーの性能が不十分であったので、長い尻尾でバランスをとっていた。それらは背中に二基の、イモリの幼生に似た形のポンプジェットを付けていて、運河の中で潜水して、高速で移動していたので神出鬼没であり、10数メートルの身長しか無かったにもかかわらず、陸上でも、小回りが利くので、王朝の主戦力であった地上戦艦よりも強力であった。王朝は、最初は押されていたが、鹵獲したアンドリアスの頭の上に、高性能のオートバランサーを搭載したオタマジャクシ型のパーツを付けて、必要が無くなった尻尾を取り外して、アニューリー・ディプロセファルスと名付け、それはやがて、単にアニューリーと呼ばれるようになった。それは、頭部がオタマジャクシで、胸がカエルの顔のような姿であった。そしてアニューリーを複製して量産し始め、騎士達はアニューリーに乗ると、アンドリアスと互角に戦って押し返し始めた。そんな時に、まだ少年であったイノゴ・エノック・ガニメデス7世は、独自の設計でラナの実験機を四体作った。ラナは、カエルの顔をした人間のような姿であった。一体目は顎の下が銀色で、それ以外は紺色で、四週間中の一週間目に機能を停止して、自動で自己メンテナンスをするように出来ていて、テストパイロットとしてオリゲンが乗り込んだ。二体目は、顎の下と腹部と上腕部と腿が銀で、それ以外が黒に塗られ、意味も無く胸が赤い板で飾られていて、四週間中の二週間目に機能を停止して自動で自己メンテナンスをするように出来ていて、テストパイロットとしてエヴァグリィが乗り込んだ。三体目は、顎の下と腹部と上腕部と腿が銀色で、頭は赤、胸と足は上半分が赤で下半分が濃い青で、それ以外は濃い青で、所々に黄色い突起や飾りがあって、四週間中の三週間目に機能を停止して自動で自己メンテナンスをするように出来ていて、テストパイロットとしてディディムが乗り込んだ。四体目は顎の下と腹部と腕と腰と脚が白で、胸は明るい青で、足は上半分が白で下半分が赤くて、コクピットハッチも赤くて、所々に黄色い飾りと突起が着いていて、四週間中の四週間目に機能を停止して自動で自己メンテナンスをするようになってて、テストパイロットとしてキリルが乗り込んだ。そしてイノゴ7世自身も、フライシュマンガラスガエルに似た姿の、外装が透明なプラスチックで出来ていて、中の機械が見えていて、背中には、中に埋まって見えない機械の動きと連動して光るランプが付いていた。そしてデータを充分に集めると、完成品のラナを作って、オルドアと名付けた。オルドアは全身が黄色に塗られて、モウドクフキヤガエルに似ていた。そしてそのオルドアに乗って、アンドリアスと戦い始めた。オルドアはアンドリアスよりも強力だったので、騎士達も、アニューリーから、量産されてラナと名付けられたオルドアに乗り換えて戦い始めた。ラナは陸戦専門であったので、アニューリー達は、アニューリーIIに改装された。アニューリーIIは、身体各所に、オタマジャクシ型の飛行ユニットが配置されて、空を飛ぶ事が可能であったが、潜水が出来なくなったので、王朝製のアンドリアスも作られるようになった。こうして、ラナは地上でアンドリアスと戦い、空中からアニューリーIIが支援し、運河では王朝製アンドリアスが敵のアンドリアスと戦った。その年の7月に、テロリストは強力な爆弾で、町の一つを消滅させた。その後、8月になる前にスタフュレーが新月になった。そして8月に、1年は365日になり、スタフュレーの朔望月は29日14時間16分12と37分の36秒に変わっている事が判明して、9月と11月は29日にする事が決まった。翌年に売り出されたカレンダーは、1月と3月と5月と7月と8月と10月と12月が30日で、2月と4月と6月と9月と11月が29日になっていて、年号が3の倍数である年には30日の13月を付け足す事が書かれていた。そして2月に、テロリストの反乱を完全に鎮圧したので、3年に一回の13月は、2月と3月の間に置かれる事になった。

 これは戦争中の物語である。アンドリアスはイモリが二本足で立ったような格好で、量産機は黒と赤で塗り分けられていたが、一機だけ全身がピンクで、左右の頬に三本ずつの、枝が生えた棒のような形のラジエーターを付けて、体内に三基のジェネレーターを搭載した機体が、凄い速さで走り回っていた。

 それは、 フェジェルヴァリィア・カンクリヴォラが、水中に入れるラナ・カンクリヴォラを開発して、水中に潜水が出来るラナ・カンクリヴォラの部隊が、運河の底に潜んでいる超巨大潜水艦に攻撃を仕掛けようとした時であった。ラナ・カンクリヴォラはカニクイガエルに似ていたが、ピンク色のアンドリアスのような大きさの物体が、魚雷のようなスピードで迫って来て、ラナ・カンクリヴォラ達のコクピットハッチ付近を蹴って浸水させた。それは顔の横に三対の棒が生えたアンドリアスであった。生き残ったラナ・カンクリヴォラ達は命からがら陸に上がったが、ピンクのアンドリアスは、アンドリアスとしては有り得ない速度で水面から空高く飛び上がって、そのまま地上に着地すると、地上ではラナの方が強いにも拘わらず、その場にいたラナ達を素早い動きで片っ端から殴り倒してから、戦略拠点である塔に向かって、凄いスピードで走り出した。そして進路上にいたラナを何体か殴り倒して、塔の壁を破って中に入ると、銃火器を乱射して壁や天井を壊した。そして壁を破って飛び出して運河へと向かってジャンプした際、偶々そこにいたラナが跳び上がってヒート剣で右腕を切り落とした。しかしピンクのアンドリアスはそれを無視してそのまま水の中に飛び込んだ。その時、塔が崩れ始めたので、追跡どころではなく、その場にいたラナ達は避難して、ピンクのアンドリアスは逃げてしまった。進路にいたラナのパイロットはこう語った。「あの赤い奴は俺が撃ったミサイルを全部避けやがった」と。

 その数日後に、修理を済ませたピンクのアンドリアスは、運河から遠く離れた戦場に現れて、高速で走って地上戦艦を翻弄して、一人で何隻も沈めた。

 その他のワンオフ機としては、イベリアトゲイモリに似た機体が、その背中から無数の剣を突き出し、背後の敵を穴だらけにした。

 それからアニューリーは、顔がオタマジャクシで胸がカエルの顔で、ラナはカエルが二本脚で立ったような姿であった。戦後、アンドリアスを改良した、サイレンという水中バスが作られた。それは運河の中を通って、港から港へと渡り、両手で港のボラードを掴んだが、陸には上がらないので、脚は無かった。胴体は客席に改造されていて、乗客は、口から乗降をした。

 

 ゲロイア(Geloia)とは、ギリシャ語で「ひょうきんな」とか「笑うべきもの」という意味です。キンズバーン戦車は、マーセル・キンズバーンの古代生物がモデルです。化石が未発見なので、仮説でしかないですけど、首を180度捻って脊椎動物の先祖になって、錐体交叉の原因になりました。