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 ホアキン・デ・サン・アントニオ・ハビエルとアナ・ラ・サンタ・クルス・サンチェスには、マリア・デ・サン・アントニオ・ラ・サンタ・クルスという娘がいた。マリアが成人すると、二人は廃屋となった修道院を買い取って、マリアに住処として与えた。マリアが一人暮らしに慣れた頃、6月25日に、月から赤ん坊が、流れ星になって落ちて来た。その赤ん坊は銀のサークレットをつけていた。マリアは赤ん坊に、エル・セレニタと名前をつけた。

 9年後、マリアとセレニタの家の近くにある天文台に、アルベルシアノという名の天文学者がいた。彼がプレイアデス星団を見た時、それは赤くなっていた。彼は言った。

 「9年前、379.27光年離れた5.13等の原アステローペが分裂して、386.91光年離れた5.76等のアステローペIと、354.14光年離れた6.43等のアステローペIIになった。赤く変わったのはその分裂と関係あるのか?」
 セレニタは、外で遊んでいた時に大蛇に出会って、捕まえようとしたが、その背後から、ヘビに似た巨大なロボットが現れたので逃げ出した。その後を、ヘビのロボットが追った。その時、レーザー光線がヘビのロボットに当たった。セレニタが振り向いて見上げると、空にオタマジャクシ型の飛行物体があった。その飛行物体は、セレニタを収容した。それはセレニタの意のままに動いた。飛行物体は、ヘビのロボットをレーザー光線で撃って倒すと、セレニタの家に向かって飛んだ。操縦席には、冬眠したカエルが入った水槽があったので、セレニタはそれを持って飛行物体から下りた。すると、飛行物体は、ひとりでに何処かへ飛び去った。

 セレニタが家に入ると、マリアが「まあ、カエルを捕まえたの。カエルは動くものしか食べないわ」と言った。セレニタは部屋に入ると、そのカエルをドンブリに入れると、お湯を入れて砂時計をひっくり返した。それからカエルは冬眠から覚めて「熱ちちち!」と叫んでドンブリから飛び出した。そしてカエルはセレニタの銀のサークレットを見ると、二本足で立ち上がってお辞儀をして「我らの王子イノゴ8世様」と言った。さらにカエルは「私はあなたのしもべのカエサルと申します。あなたの本当の名前はイノゴ・マトゥサレン・ペドロファウノ8世でいらっしゃいます。そしてイノゴ・エノック・ガニメデス7世があなたの父でございます。我々の祖国が滅ぼされた時、あなたの父は我々を空に逃がしました」と言った。セレニタは「ぼくがヘビみたいなロボットに襲われてたら、オタマジャクシの形の飛行機に助けられたんだ」と言った。するとカエサルは「それはレナクァホという戦闘機だ。あなたの脳波で動きます」と言った。 

 セレニタは「おじいちゃんのホアキンはお婆ちゃんのアナと一緒にママのマリアを産んで、マリアはぼくを産んだ。だけどぼくにはパパがいない・・・」と言うと、マリアの部屋に行った。その時マリアはイチジクの皮を剥いて串に刺していた。彼女は彼に「あなたの好きな干しイチジクになるのよ」と言った。セレニタは「ぼくは本当の子供なの」と言った。するとマリアは「9年前に月から赤ちゃんが落ちてきたのよ。それでエル・セレニタと名前を付けたの。それがあなたよ」と言った。

 数日後の夜、天文学者のアルベルシアノは、プレイアデス星団が赤くなったのではなく、その方向から赤い彗星が接近して来ているという事に気が付いた。そして「あれは火の赤さではない。血の赤さだ」と言った。

 セレニタとカエサルがテレビを見ていたら、沢山の未確認飛行物体が、街を襲っているというニュースがあった。カエサルは「我々の祖国を滅ぼした敵が、この地球にも来ている」と言った。するとセレニタは、家を出ると、崖から跳び下りて「レナクァホー!」と叫んだ。するとレナクァホが飛んで来て、セレニタを収容した。そしてレナクァホはニュースに出ていた現場へと飛び立った。その時、緑色の、ネヌファルという名の空を飛ぶ円盤が近づいて来た。そして黒服の男がネヌファルに乗っていた。黒服の男はレナクァホに通信して来た。

 「あなたはイノゴ8世でございますか。私は地球ではエンディミオンと呼ばれているが、本名はクボ・メトゥサエル・プリンシペ6世でございます。」

 その時カエサルがセレニタに「彼は王室近衛兵の息子だ」と言った。それからセレニタは彼に「ぼくは地球ではエル・セレニタと呼ばれているけど本当の名前はイノゴ・マトゥサレン・ペドロファウノ8世だ」と言った。そしてエンディミオンが「敵が来た時、あなたの父君は我々を脱出させました。その後我々の星は爆発しました」と言ったそしてカエサルがエンディミオンに「あなたは一人だけなのか。仲間はいないのか」と言うと、エンディミオンは「最初は私と父と、父の仲間達、そして友人達その両親達と共に宇宙船に乗っておりました。しかしこの地球に来た時、私は残骸の中に一人でいました。」と言った。

 そして彼らは、飛行物体がいる現場に着くと、二手に分かれて、それぞれの視界に入った敵と戦い始めた。セレニタは三叉の鉾を見た。それが地面を刺すと地震が起こって地下水が吹き出した。カエサルが「あの三つ又の鉾はネプチューンだ」と言った。セレニタが「チャスキドー!」と叫ぶと、レナクァホはレーザー光線を撃って、ネプチューンを撃ち落とした。

 それから、風呂桶型ロボットが空中に現れた。それはアフロディーテという名であった。操縦士は裸であり、操縦席も風呂桶の形をしていた。操縦士は「9年前、我々はプレイアデス星団を征服出来なかった。しかし地球は今我々の支配下になるだろう」と言った。アフロディーテはシャワーからお湯を吹き出した。カエサルが「あの風呂桶はアフロディーテだ。浴槽を空にしたら炉が過熱して爆発するだろう」と言った。レナクァホはアフロディーテに近づこうとした。その時アフロディーテがお湯を発射した。レナクァホはお湯を避けた。それからレナクァホは再びアフロディーテに近づいて、チャスキドでアフロディーテの浴槽に穴を開けた。そしてその穴からお湯がこぼれ始めた。すると炉が過熱して、操縦席では警報音が鳴り始めた。アフロディーテの操縦士はレナクァホを見ると「やつはプレイアデス星団の王子だ! プレイアデスの王は我々を騙し討ちにした! 王は星を引き渡し、我々が着陸した時に星を爆発させた! そして我々は大きな被害を被ったんだ! 風呂の空焚きはNGだ!」と叫んだ。そしてアフロディーテはレナクァホに体当たりをして突き飛ばすと、落ちたレナクァホの上で弾み始めた。アフロディーテの操縦士は「私が爆死するのが先か、奴が圧死するのが先か」と叫んだ。そしてアフロディーテは空中で爆発した。

 そして全ての敵を倒すと、空中に燭台が現れた。燭台はロウソクの火からレーザー光線を発射して、町を火の海に変えた。その時カエサルが「あの燭台は赤い彗星の戦闘機だ。あれは手強いぞ」と言った。そしてエンディミオンが「合体してラナになれ」と言った。セレニタは「ラナー!」と叫んだ。するとレナクァホはウエボに変形して、ブストとガルバニと合体してラナになった。セレニタは「チョロ・デ・アグアー!」と叫んだ。するとラナの胸の装甲板が光ってレーザー光線を発射して、燭台の火をいくつか消した。ラナはまたそのチョロ・デ・アグアを発射した。同時に燭台がロウソクの火からレーザー光線を発射した。そして二つのビームが互いにぶつかり合ってはじけた。燭台はまた別のロウソクの火からレーザー光線を発射した。その時、ネヌファルがラナの前に来て、代わりにレーザー光線を浴びた後、不時着した。ラナはまた胸からチョロ・デ・アグアを発射して、燭台の火を全て消した。そしてセレニタは「エスパーダ・デ・ルス!」と叫んだ。するとラナが、 を持っていた。そしてラナはその剣で、燭台を真っ二つに切った。そしてセレニタは空を見上げた。すると赤い彗星が、地球のそばまで来ていて止まっていて、空一杯に広がっていた。

 その時エンディミオンがネヌファルから下りて「あの赤い彗星は進路上の星をことごとく征服していたんだ! 9年前にも我々のプレイアデス星団を滅ぼし、そして今地球を侵略しようとしている!」と言った。そしてセレニタはラナを操作した。するとラナの上半身、即ちブストが射出されて落ちた。そしてウエボがガルバニ、即ちラナの下半身から離脱してレナクァホに変形すると、彗星に向かって飛び立った。そして彗星の中に飛び込むと、赤いガスの中に巨大なシャンデリアがあった。カエサルが「あのシャンデリアが彗星の本体だ」と言った。そしてレナクァホはチャスキドを撃ち始めた。やがてシャンデリアは炎に包まれ、爆発し始めた。同時にレナクァホは逃げ始めた。そして幾つかの火柱がガスの外に飛び出した。その後彗星は消滅した。

 

 この第41話は、総集編というより、パラレルワールドで、本編とは違っています。レナクァホの武器のチャスキドとは、スペイン語でクリックという意味で、マッコウクジラが狩りをする際に、獲物を気絶させるのに使う、指向性の高い大音響です。ラナの武器のチョロ・デ・アグアとはスペイン語で水流という意味です。そして同じくラナの武器のエスパダ・デ・ルズとは、スペイン語で光の剣という意味です。このエスパダ・デ・ルスは、イノゴ8世を描き始める前にデザインした剣です。ゴッドマーズのマーズフラッシュの真似をして、RとNを組み合わせた形にしたんですが、形が難しくて描きにくいですから、ガンダムのビームサーベルみたいな形に変更しました。ちなみにチャスキドとチョロ・デ・アグアは、今回改めて作りました。ゴッドマーズは、合体前も、合体後も、ミサイルを発射しないので、どちらも光線にしました。