前<< 英語 >>次

 マトゥサラはエノス書を読み終わると、プロメテウスに「地球中心説と、太陽中心はどっちが正しいのかしら」と言った。プロメテウスは「太陽中心説が正しい。太陽中心説では、地球と惑星達は太陽の周りを回っていて、月は地球の周りを回っているので、地球中心説よりも単純なのだ」と言った。マトゥサラは「それじゃあ逆に、猫中心説は、三つの要素が増えるから、地球中心説よりも複雑ね。その三つは地球の旋回角と、地球の傾斜角と、地球の距離なのよ。地球の旋回角というのは、地球の垂直線は、頻繁に予測不可能な回転をするの。地球の傾斜角というのは、地球は大抵、猫の下で不規則にふらふらしているんだけど、時々猫の上に来るわ。それも予測不可能よ。そして地球の距離と言うのは、猫と地球の中心を結ぶ垂直線は、数メートルほど、予測不可能な伸縮をするわ。エノス書に記されている小さい星の一つは、一度も見た事が無いわ。その星が何か知ってる?」と言った。プロメテウスは「それは土星よりも遠い惑星だ。名は天王星と言う。天王星の公転周期はおよそ三万七百八日二十三時間三十三分三十秒くらい、離心率はおよそ〇点〇四三五四六くらい、軌道傾斜角はおよそ四十六分二十四秒くらい、遠地点の公転周期はおよそ一億七千四百三十二万三千六十一日十三時間十分三十四秒くらい、昇公天の公転周期はおよそマイナス千三百二万九千九百十七日十七時間四十三分十八秒くらいだ。天地創造の時、天王星の遠地点は宝瓶宮二十度三十五分四十五秒にあり、昇交点は巨蟹宮十四度五十分4秒にあり、そして天王星自体は太陽から見て双魚宮二十五度一分二十七秒・・・」と言った。そこまで言った時、マトゥサラは立ち上がって外に跳び出して、西の方を向くと射手座を見上げた。その時プロメテウスが双眼鏡を持って来た。そこでマトゥサラはその双眼鏡で見た。すると、五点七等の、エノス書に記されていない星 が見えた。その星には視直径があり、恒星には似ていなかった。マトゥサラは「私が生まれた時、天王星はサイデリアル占星術では双児宮一度三十二分四十六秒にあって、トロピカル占星術では白羊宮十三度二十三分五十四秒にあって、十四星座占星術では金牛宮三十五度十七分〇秒にあったのね。天王星、つまりウラノスは最初の全能神で、土星、つまりクロノスは二代全能神で、木星、つまりゼウスは三代全能神で、その内側の惑星達は、ゼウスの子供達ね。月はアルテミスで、水星はヘルメスで、金星はアフロディテで、太陽はアポロンで、火星はアレスで、地球はアレツで、メティデスはアベルね」と言った。するとプロメテウスは「今何と言ったんだ。アレツはヘブライ語で地球の事だろう。ギリシア神話とは関係無い」と言った。それから彼は「我々が生まれた時、宇宙はすでに存在していた」と続けた。その時マトゥサラはブルーシュートヘアの猫と、白いロングヘアの猫を見つけて駆け寄り「キリコ! イプシロン!」と言って抱き上げた。するとその猫達はうなり声をあげて、互いに叩き合って地面に落ちた。それから彼らはフギャーと言って、喧嘩を始めた。するとバトラーチェが「またかよ。あいつは猫におかしな名前をつけるのが好きなんだよ」と言った。プロメテウスは「猫は単独で生活するんだよ」と言った。そして3人はプロメテウスの家に入って行った。その時トバルは、マトゥサラはディオの飼い主ではないと考えた。そして「あの猫は危険だ」と言った。