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 その夜、黒ずくめの男 がセレニタの家の前に来た。外から手が届く範囲内の麦がそのままだったので、男は麦を引き抜いて囓った。そして少し離れた所にある配水管の中に入って寝た。

 セレニタの家の近くの天文台 に、アルベルシアノという名の天文学者がいた。彼がプレイアデス星団を見た時、それは赤くなっていた。彼は言った。「9年前、379.27光年離れた5.13等の原アステローペが分裂して、386.91光年離れた5.76等のアステローペIと、354.14光年離れた6.43等のアステローペIIになった。赤く変わったのはその分裂 と関係あるのか?」

 セレニタはバス停でバスを待っていた。しかしバスがなかなか来ないので、彼はいらいらしていた。その時突然、世界中が赤くなった。そして次の瞬間、彼はベットの中にいた。それは夢であった。それからセレニタは家を出た。その時、昨日の黒服の男が彼の財布をひったくってそれを開けた。すると財布からカエルのカエサルが跳び出して黒服の男に噛み付き、セレニタの所に戻って行った。黒服の男は「おのれカエルに歯は無いはずだ!」と罵った。カエサルが跳ぶ時、目がアンテナの様に飛び出す ので、黒服の男は驚いて思った。あのカエルは見た事がある。そしてあの少年は誰かに似ている。そしてあの銀のサークレットは…。その時彼は驚いて叫んだ。「彼はイノゴ8世だ!」と。そして彼は財布から金を取らずにセレニタの足元に投げて隠れた。セレ二タがその財布を拾うと、黒服の男はセレニタの後を追い始めた。そしてセレニタは学校に行った。

 

 日本語の漫画では、単に明るかった原アステローペが二つの暗い星に分裂しただけという描写です。

 

 一つの恒星が二つに分裂する現象は有り得ませんので、英訳する際に、星の材質が光る水銀の様な物と仮定して、スペクトル型は無視して、絶対等級から質量を求めて、それらを合計して原アステローペの質量としました。

 

 次に物理シミュレーションソフトで、欠片の数は二つで吹っ飛ぶ角度は180度に設定して、二つの欠片が吹っ飛ぶ距離を求めました。

 

 次に天の北極からの距離と経度差を元に、球面三角法でアステローペIとアステローペIIの角距離を求めました。

 

 その次は、地球から二つの星までの距離と、二つの星の角距離を元に、平面三角法で二つの星同士の距離を求めて、その距離を吹っ飛ぶ距離と同じ割合で分けました。

 

 最後に、平面三角法で原アステローペの地球からの距離と、二つの星との角距離を求めて、その距離を元に実視等級を求めました。

 

 アルベルシアノとはスペイン語で「小惑星アルベルト人」という意味です。日本語の漫画では特に名前はありません。