『今日の出先は何時くらい?』

本日出先のペアのご担当である
事務所の優しい彼が
私に聞いてきた。

「今日は早いですよ!
と言っても何事も無ければの
話ですけど…」と答えた私に

『じゃあ時間あるな。
ちょっと付き合ってくれる?
給油じゃないよ(笑)』

と言った彼。

「どこかへお出かけですか?」
と聞くと彼はちょっと市場調査に
と言ってニッコリ。

そんなワケで
いつもの時間より早めに
出先の仕事を片付けた後
彼が言っていた
市場調査(店舗視察)という名の
寄り道(お買い物)へ。

この場合
行き先が出先のルートから
それ程外れてもいなく
彼が改めて出直すよりも
私を乗せたまま行った方が
効率的でもあるし
私としてもお昼休みの時間帯を
当てているとすれば
何ら問題はないワケで。

と言いつつも
ちょっとしたデート気分で
駐車場に車を停めて
彼と一緒に目的のお店へ。

そして数メートル
歩き出した所で私の前を
歩いていた彼が
急に立ち止まった。

彼の大きな背中で
視界を遮られている私には
とっさに何が起こったのか
わからなかったが
すぐに彼が誰かと
挨拶を交わす声が聞こえた。

こんな所で
どうしたんですか的な話を
されていた彼は
ちょっとウチの事務員さんと
市場調査を兼ねた店舗視察にね~
と正当な理由を
告げていたにもかかわらず
私を連れているのは明らかに
不自然に見えたに違いない。

『あ、俺サイフ車に忘れてきた』

と言って駐車場へ戻った彼の後に
取り残された私とその相手の方。

事務所の優しい彼よりも
ちょっと若い感じの
営業マン風なその男性と
お互いに会釈を交わして
私は先に店内へ入った。

どこの誰かはわからないけれど
明らかに興味津々な視線が
何度もチラ見された感で
充分私には伝わっていた。

後から店内にやってきた
事務所の優しい彼は
先ほどの男性と
少し立ち話をしてから
私の方に来てくれたので
誰ですか?と小声で訪ねると
うちの店に出入りしてる
バイヤーさんとの事。
彼の隣には並ばずに
付かず離れずでやり過ごした。

そんなこんなで帰る際
車に乗り込んだ私はすぐに
「こんな普段絶対に
来ないような場所でも
偶然知り合いに会うって
どーゆーコトですかぁ!?」
と投げかけると彼は

『だから言ってるでしょー。
これでみつ葉ちゃんが
私服だったら
後から突っ込まれてるからね俺!
店長オンナ連れだった!とか
アレ誰だよ!?ってなるから(笑)』

「イヤ制服にしたって
ヘンでしょー(苦笑)
店の制服とも違うんだし
どうしてこの場に事務員だよ!?
な状態には違いないですよ…。
てか何だか上から下まで
見られてたんですけどーあせる

と訴える私に車を運転しながら
笑っているだけの彼。

この度の件ではまさに
どこで誰に会うかわからない!?
を痛感してしまった。

しかも私が知らない相手で
彼が気づかない場合も
あるワケで。
どこからどう伝わるのか
わからない可能性があるコトも
改めて身を持って思い知る
機会であった。

そんな話を彼としながら
先ほど彼が買ってくれた
チョコ菓子でも食べますか~
と彼にもおススメ。

運転中の彼の口に放り込んで
束の間のドライブデート。

別に悪いコトを
してるワケじゃないんだから。
そこまで過敏になるコトでも
ないでしょう。

以前からちょっとだけ
お気楽にも思っていた私だけど
今はもう違う。

絶対に絶対!!
特に職場内で彼との仲は
誰にも知られたくない。
悟られたくはない。
勘ぐられたくもない。
今は切実に思っている。

あの日
とある話を聞かされてからは…。