写真は単眼鏡で覗く桜
一旦寒くならないと花が咲かないと言うのは
ひとつの経験的知識で
それを説明する論文もたくさんあるけど
DNAでする話が興味深い
例えば大寒から42日目が雛祭りぐらいで
つまり一番寒い日から6週間かけて
気温が上昇してくると花が咲き始めるのだが
ある特定の植物の研究では
FLC遺伝子が開花のブレーキをかける役目を負っていて
寒くなって来るとFLC遺伝子のブレーキがだんだんと
効かなくなってしまう
それが一番寒い日から6週間の目覚まし時計になっていて
開花システムの重要な歯車になっている
その6週間をどう測るかはある閾値の温度が
どのくらいあったかの総量で決めている
そうすると暖かい地方の桜が東京よりも
ずっと遅咲きになる事の説明も出来る
どの植物にもFLC遺伝子があるかはまだわかっていないけれど
以前の私の理解では蕾が一旦寒さを必要とする理由は
蕾の中に糖化が起こって開花するエネルギー源になる
例えば焼き芋はデンプン質がある高温域に達すると
甘い糖分に変化するのだが
同じ事がある低温域でも起きる
越冬する藪蚊は自分の体が糖化して凍らないようにしているが
植物にも似たようなシステムがあると言うわけで
桜が開花する時は糖分をエネルギーにして
折り畳み傘のようにスパイラル状にぐるぐると開く
植物遺伝子の研究はまだ始まったばかりなので
また数年後にはさらに不思議な事にも光があたると思われる
