H25年12月4日(水)一般質問

◎自然災害について

【質問】 

 昭和58年6月に発生した日本海中部地震、そして平成23年3月11日に発生した東日本大震災は予知できなかった災害であり、いずれも津波により多くの犠牲者を出したことは痛恨のきわみであった。また、関東大震災から90年が経過したこともあり、日本列島はいつ、どこで大地震が発生するか予知し得ない状況でもあります。

 そこで、避難所の開設を想定した訓練についてお尋ねします。市内では各地域で地震が発生したことを想定して、学校の校庭や近隣の公園に避難し、そこで起震車体験や炊き出し訓練、初期消火訓練などといった地震発生の初期段階に行うべき内容の訓練が多く行われています。こうした訓練を継続して行うことも大切ですが、さらに中長期的な視野に立ち、避難所が開設され、その運営を行うことを想定した訓練を行うことも重要であり、現実的なものであります。

 東日本大震災では、震災発生から長いところでは10ヵ月以上にもわたって避難所が開設され、その運営も住民に委ねられた場所が非常に多いと聞いています。避難所となる学校と地域、行政が連携して訓練を行い、防災倉庫の備蓄品の見学や避難所のレイアウト、それぞれの役割分担などを確認、課題を見つけ出す訓練も今後必要ではないかと思います。

 そこで、このような避難所が開設されたことを想定した訓練の実施状況と今後の取り組みについてお聞かせいただきたい。

【答弁】

 既に一部の地域では地域と学校、行政に加えて、児童、生徒が参加した避難所開設訓練を行っている事例もある。避難所となる学校は、日ごろから地域と顔の見える関係を構築しておくことが重要であることから、避難所開設部署とも連携しながら、御提案いただいた訓練を全市的に広めていきたいと考えている。




【質問】

災害発生時の心得帳の配布について、広報はちおうじには数回にわたり災害発生時の心得が掲載されていたが、それをどれだけの市民が読み、記憶に残っているのか疑問であります。そこで、地震や風水害などへの災害発生時の心得や対応の仕方など詳しく記載した冊子を全市民に配布することを要望したい。

その心得帳に家族構成や血液型、かかりつけの病院なども記入できるようにすれば、救急措置を行う場合にも有効であると思うので、こうした災害全般に対応できる心得帳の配布についての考えを伺いたい。

【答弁】

現在、市内では東京都による土砂災害警戒区域等の調査、指定が進捗しており、区域指定に伴って土砂災害ハザードマップを作成、配布しているところである。御提案の心得帳に関しては、土砂災害ハザードマップの作成が完了した後に、本市で想定される災害全般に対応できる総合的な防災の手引き、ハンドブックを作成していきたいと考えています。




【質問】 

 大規模公園や大学のキャンパスと同じく、小中学校の校庭も避難所に指定されています。市民は災害が発生したら、避難所に集まることは理解していますが、その先をどのようにしたらよいのか理解できていないと思う。市民が避難所に集まった後の行動について、行政のほうで何か指針のようなものを作成しているのか、お尋ねしたい。

 また、東京都のホームページでは、中山小学校の体育館から校庭まで土砂災害危険箇所の印がついている。これをどのようにとらえ、対策は考えているのか、あわせてお尋ねします。

【答弁】

広域避難場所、一時避難場所は災害時の情報収集と火災の煙や火から身を守るために、一時的に参集する場所として位置づけてある。そこに滞在する時間も数時間から半日程度であると考えており、火災が一定程度落ち着いた段階で、被害を受けなかった方は自宅に戻ることになるが、その後、この場所を地域の自主防災組織の活動拠点として利用することも想定している。

 また、中山小学校を含む地域における土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定は、東京都による調査が平成25年度から開始され、27年度に指定される予定であるというふうに聞いている。今後の東京都の調査結果を踏まえ、他の学校も含め関係機関からさまざまな情報を集約し、対応について検討していきたい。




【質問】 

緊急避難セットとして、乾パン、飲料水といった携行食品、懐中電灯、携帯トイレなどをセットにしたものが市販されているが、できれば全世帯で常備しておいて欲しいと考える。そこで、市民がこのような緊急避難セットを購入する際、その費用の一部を助成することについての考えをお聞きしたい。

【答弁】

 非常持ち出し品は各家庭に見合ったものを自助として備えていただくものであると考えている。本市では自主防災組織に配布する資機材のメニューの中に非常食や飲料水、照明器具、医薬品セットなども用意し、地域の共助体制の強化を目的とした助成を行っているところであり、この制度を利用して各世帯で行う備えを補完していただきたいと考えている。




【質問】

 大地震発生時における学校の対応について、どのように児童、生徒を安全に下校させるのか。本市の学校は、学校選択制を導入しているため、必ずしも近くに実際に通っているわけでなく、バスなど公共交通を使用し通学している児童や生徒もいます。大きな災害の際は通信などの使用が難しく、公共交通もどのようになるかわからない状況であります。そういった方々にどのような対応をするのかお伺いしたい。

 また、生徒の保護者などが帰宅困難な場合、生徒は下校できません。その場合の食料、毛布等の必需品の確保などはどのようになっているのか、学校は避難所となる場合が多く考えられるため、それ以外に生徒たち専用に確保できておるのか、お伺いします。また、それらを含めた学校防災マニュアルなどはどうなっているのか、お伺いしたい。

【答弁】

 指定校以外の学校に通学している児童、生徒もいる中で、下校時の安全確保は重要であると考えております。公共交通機関の不通や保護者が帰宅困難となる場合も含め、児童、生徒の安全確保を最優先し、保護者が迎えに来るまでは学校で児童、生徒を安全に保護することとしています。また、迎えに来た際は、あらかじめ保護者が用意しているカードにて保護者等の確認をした上で引き渡しを行います。

次に、食料については、避難者用に加えて25年度から児童、生徒用としても順次備蓄する計画を進めています。また、各学校の防災倉庫にある毛布等の備品につきましても、災害時、学校長の判断により避難者同様、児童、生徒も使用できることとしています。

 次に、学校全体の防災マニュアルについてですが、保護者による児童、生徒の保護や学校にとどめ置く場合の対応、また学校の防災対策や災害教育などを盛り込んだ学校危機管理マニュアルを策定しているところです。このマニュアルを活用するためにも、災害時を想定した教職員の参集訓練や図上訓練を実施し、さらに児童、生徒だけでなく地域の皆様と合同で行う防災訓練についても複数の学校が取り組んでいるところです。




【質問】 災害が発生した際の行政の対応策についてどのように備えているかについてお伺いをいたします。

 昨年4月に東京都が新たに首都直下地震による東京都の被害想定を公表しました。災害が発生したとき、まずは自分の命は自分で守る自助が一番大切なことは言うまでもありませんが、市民は行政の素早い対応も期待をしているところです。救急車や消防自動車などが通行するために道路交通はどのように確保するのか、飲料水や食料はどうやって供給していくのか、災害情報の収集と市民への情報発信はどのように行うのかなど災害発生直後の初動応急から、復旧、復興まで行政には多岐にわたる対応が求められます。

 こうした対応を的確に行うためには、市の職員も平時からさまざまなシミュレーションに基づいた訓練を実施しておく必要があります。現在、地域防災計画の見直しを行っていると聞いていますが、膨大な業務を計画どおりに行うことができるのかといったことを確認しておくことが大切です。

 そこで、災害時に的確な対応を行うための市の職員に対する研修や訓練はどのように取り組んでおるのか、お聞かせください。

【答弁】

市職員に対する研修や訓練についてですが、職員研修につきましては、地域防災計画の見直し時期等に合わせ、全職員を対象とした研修を随時行っているところです。また訓練については、大地震発生を想定した抜き打ちの職員参集訓練や災害対策を行う上で生じる課題抽出や、対応手順等を確認することを目的とした図上訓練を毎年実施し、職員の災害対応力の向上を図っているところです。




【質問】

 次に、本市では地震だけではなく、土砂災害による被害も想定されており、首都直下型地震が起きたときには、大きな被害となることが容易に想像できます。こうした場合、本市は被災支援を行う側ではなく、他の自治体から支援を受ける立場になるわけですが、八王子市に支援に来てくれた人たちを受け入れる体制はどのようになっているのか、地域防災計画にその点は規定されているのか、お聞かせください。

 また、今回の台風による伊豆大島の土砂災害から1ヵ月以上たった11月5日、政府は今回の被害を激甚災害に指定することを決めましたが、本格的な復旧にはまだ時間がかかる見通しです。雨や台風でたびたび捜索活動や復旧作業の中断が余儀なくされましたが、現在ではどのようになっているのでしょうか。

 また、土砂災害で出た土砂を含む瓦れきは約11万トン、家屋や流木だけでも約3万トンもあります。大島町では、島内では処理できない流木などを島から持ち出して処理する方向で都と協議し、具体的なスケジュールは今後調整すると伝えられております。八王子市も同じ東京都の仲間としてどのような対応ができるのか、またどのような支援をされているのかお聞きをいたします。

【答弁】

本市が被災した場合の受援体制について、地域防災計画の見直しを行う中で、東日本大震災の教訓から大規模広域災害発生時の支援体制とともに、本市が支援を受ける側となった場合の受援対策に関して初めて計画に盛り込んだところです。今後この計画に基づいて、物資や資機材の受け入れ体制、職員の宿泊場所や結集拠点の確保など受援体制の構築を進めていくことを考えているところです。

次に、伊豆大島への支援についてお答えします。大島町の復興に向けた支援につきましては、同じ東京都の自治体同士でもありますので、発災後、速やかに関連部長を集め、それぞれに集約した情報をもとに協議をし、まずは市施設への義援金募金箱の設置を決定しました。なお、社会福祉協議会では、災害ボランティアリーダー養成助成金の交付対象を大島町にまで拡大したところであります。その一方で、市長会あるいは東社協の要請を受けて、税務部職員、社会福祉協議会職員を大島町に派遣しております。

 なお、当初はさらなる支援活動も検討いたしたところでありますけれども、その時点では入手先によって情報がさくそうしている部分もたくさんあったことから、派遣職員に現地の実情をつぶさに確認するなど、引き続き情報収集に努めていくこととしたところです。

 現在、東京都と大島町が全力で復旧、復興作業を進めているところであり、本市としましては今後も市長会等の要請に積極的に応じていくとともに、引き続き情報収集を図り、本市としてできる支援活動を実施してまいりたい、そのように考えております。




【質問】

市長は本市消防団OBです。私も二十数年消防団員として活動を続けさせていただきました。自然災害に対して十分な備えをしておくことが重要であり、冒頭申し上げた備えあれば憂いなしにつながるものであると考えています。

 そこで最後に市長にお伺いをいたします。自然災害に対する備えについて、市長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

【答弁】

自然災害に対する備えに関する御質問ですが、地震や台風、ゲリラ豪雨など自然災害につきましては、その発生自体を止めることはできませんが、市民と行政が一体となって事前の備えを行っておくことで必ず被害が軽減できると確信をしております。

 現在、市民の御意見も聞きながら地域防災計画の見直しを行っているところですが、その中では、特に事前対策に重点を置き、減災の考え方を前面に出した修正を行っています。今後地域防災計画に掲げた各種施策を着実に実行し、全力で市民の生命、財産を守っていきます。