クラッシュ | Catch at straws

Catch at straws

日々、感じたことを書いていきます。
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クラッシュ [DVD]
評価: ---東宝
¥ 1,596
(2006-07-28)








2006年のアカデミー作品賞を獲った作品です。
何となく評判は聞いていましたが、人から勧められた事もなく、見逃していました。
いやぁ~こんなに良い作品だったとは…
色んなエピソードが集まった作品なので、ストーリーの説明が難しいのですが…

とある交通事故現場から物語がスタートします。

汚職事件を捜査している黒人刑事ブラハム。アル中の母親の面倒を見ながら、行方不明の弟を探している彼。乗っている車が、渋滞でブレーキをかけた所に追突される。
追突した車との交渉はパートナーに任せて、車から降りてみると殺人事件の検分が行われていた。殺された被害者とは…?


遡って事件の前日…
ペルシャ系移民のファハドは銃器販売店に来ていた。英語が話せず、疑心暗鬼になっていた彼は護身用に銃が欲しかったのだが、店の男と口論になってしまう。近隣ともトラブルになっていた彼。通訳に連れて来た娘が話をつけ、何とか銃を手に入れる事ができた。

場面は変わり、黒人の不良アンソニーは白人の人種差別を妄想に近い程過剰に憎んでいた。相棒のピーターと組んで、白人夫婦に銃をつきつけて車を強盗する。強盗した車を転売するつもりが、途中でアジア系の男を轢いてしまう。

車を奪われた白人検事の妻ジーンは神経過敏になっていた。家中の鍵交換を依頼したが、交換に来た錠前屋ダニエルがペルシャ系で刺青もあった為、偏見から不安を感じ、つい本人の前で暴言を吐く。

それとほぼ同時刻、人種差別主義者の白人警官ライアンは、父の介護でストレスが溜まっていた。強盗にあった車と同車種の車に黒人夫婦が乗っているのを見つけ、職務質問の形をとって嫌がらせを始める。

職務質問に大人しく従う黒人TVディレクターのキャメロン。しかし目の前で妻の身体をライアンに弄られ、それでも我慢し通した彼。妻は社会的地位を優先した夫をなじり、彼自身も社会に対する憤りを抑えきれずにいた。

銃を手に入れたファハドが営む小売店の鍵が壊れた。夜中に錠前屋ダニエルが修理に来たのだが、鍵ではなくドアの建てつけが問題で鍵がかからない。そう説明しても聞く耳を持たないファハド。結局ケンカ別れになってしまい、鍵はかからないまま。
翌朝、店は強盗に荒らされてしまい、ダニエルを怨んだファハドは、銃を持ち出して…。


他にもたくさんの登場人物やエピソードがあるのですが、
それらが少しずつ繋がって、冒頭の交通事故現場で交差します。
偏見や差別、誤解により、様々な憎しみが生まれ、その憎しみが他人へ連鎖し、更なる偏見、差別、憎しみを生んでいきます。

見かけと違って優しいダニエル。彼の幼い娘が父を庇って撃たれるシーン。
涙が止まりませんでした。
警察に辱めを受けたキャメロンの妻が交通事故に遭って助けを求めるシーン。
さらに号泣でした。

主要な登場人物達に根っからの悪人はいません。
憎しみは人の本質ではなく、偏見によって生まれているんだという事実が見えてきます。
微かな希望はあります。
しかし、その上で誤解は消えず、取り返しのつかない殺人事件は起こってしまいます。

悲惨な現実と、大きな課題と、かすかな希望…
衝撃と感動とユーモアを織り交ぜて描いた、奥の深い、素晴らしい映画でした。
超お勧めです。