風の噂で聞いた話ではあるが、とあるトレイルランニングの大会の走行路整備に名乗りをあげた、登山道の整備を目的とする、その山域にそれまで行ったこともないような、非ローカルの団体の方々が、その地域の方の了解なく、その山域のシンボルであるシャクナゲの木を切り刻んだそうである。これは非常に残念な話であり、あってはならない事件だという認識で間違い無いと思う。そもそもシャクナゲの群生といえば、どんな山域においても、開花のシーズンとなるとその山を彩り、登山者を和ませ、楽しませ、拠り所的な存在として守られているものである。高山植物など、山の植物に疎い筆者でさえ知っている、かなりメジャーな山の植物である。そんな貴重な植物を切り刻むような、山の知識、常識が皆無な者が、登山道の整備をしている現実に愕然としてしまう。この団体の方々の目的は、一体何なのでしょうか。登山道を整備して、みんなの為になりたいのでしょうか。ヒーローになりたいのでしょうか。評価されて、承認欲求を満たしたいのでしょうか。トレイルランナーの地位を向上させたいのでしょうか。地位を向上させるような一見良い事をして、他のランナーから崇められたいのでしょうか。
筆者はアウトドアショップで働き始めて8年ほどにはなるが、トレイルランニングを始めたいのですが…というお客さんは大抵ロード出身者。そのような方が、山の事情を知らないのは当然であり、初期段階で間違いを犯すのは致し方ない事ではある。
一方、登山道の整備を謳っている団体がシャクナゲを切る、そんな有様で果たしてこの業界の将来はあるのでしょうか。その方には、今一度、山の勉強をしていただきたい。いや、小学校の授業を受け直してもらいたい。切に願うばかりである。
ここで言いたいのは、トレイルランナーは、実は特別な存在ではない、という事。山を歩くか走るか、その違い。人によっては歩くスピードは違うし、走るスピードも違う。早く行動するか、ゆっくり行動するか、その違いであり、その楽しみ方も様々。ゆっくり歩いて、草花を愛で、景色を楽しむ登山者もいれば、修行僧のように黙々と歩く人もいる。走って行動する方も全く同じ。要するに、山を楽しむという目的は同じである。
重要なのは、走ろうが歩こうが、山に入る以上、山の常識を知り、その山の文化を知るという事。山にゴミを捨てない、不要な自然破壊はしない、最低限の、人間としての常識を知り、節度ある行動をすれば、何も問題は起こらないはずである。何かをしたければ、独りよがりな行動は慎むべきで、上記の常識を全て把握した上で、その山に寄り添い、活動すべきである。
トレイルランナーを受け入れさせる、ではなく、
「自分たちが、そのフィールドへ馴染む」
その努力をする。これが大事であると思う。
自分達が主役ではない。山が主役である。自分たちがすごいのではない。自然が素晴らしいのである。
その自然への感謝、敬意を忘れずに、どんどん挑み、どんどん楽しめば良い。ただそれだけだと思う。
以上
