アベノミクス相場は終焉へ | 太田忠の縦横無尽

アベノミクス相場は終焉へ

2016年も早1か月が経とうとしている。今年のマーケットは大発会から大荒れとなり、市場参加者の投資意欲を打ち砕く展開が続いている。さて、遅くなったが12月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。


12月のマーケットは日米市場ともに売られる展開となった。


米国市場は反落。11月の雇用統計が+21.1万人と予想の+20万人を上回ったため、FRBは金融危機後7年にわたり続きていたゼロ金利政策を解除して9年半ぶりに利上げを決定。FF金利を0.25%引き上げ、今後の利上げペースは緩やかとの認識を示す。一方、原油先物価格は一時34ドル割れと6年10か月ぶりの安値となり投資家心理を冷やす要因に。12月のNYダウは17425ドルと前月より294ドル下落し月間騰落率は-1.7%。ナスダックは5007となり101ポイント下落の-2.2%となった。2015年のNYダウは-2.2%と7年ぶりの下落、ナスダックは+5.7%と4年連続のプラスにて終了。


日本市場も反落。日経平均は12/1こそ8/20以来3ヶ月ぶりとなる20012円を付けたものの、その後は利益確定売りが優勢。ECBおよび日銀の不十分な金融緩和策による失望感、原油安、円高を受けて一時18769円まで売られる展開に。売買代金は2兆円割れの日が目立ち閑散。為替は123円レベルから120円台前半まで円高が進む。12月の日経平均は19033円で取引を終え、11月末の19747円から713円下落し月間騰落率は-3.6%。またTopixは-2.0%の下落となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-1.1%、マザーズ指数は+2.3%となった。


2015年の年間の市場別パフォーマンスを見ると、日経平均が+9.1%(昨年+7.1%)、Topixは+10.0%(同+8.1%)。小型株市場はジャスダック平均が+12.0%(同+15.1%)となったのに対して、マザーズは-2.5%(同-5.2%)と続落した。今年のマーケットは8月から9月にかけて大きな調整があったが、結果的には4年連続の上昇となった。


太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における12月のパフォーマンスは-2.3%となり、年初来は+1.9%(11月末+4.2%)、累計では+153.1%(11月末+159.0%)にて着地。保有株式のウェートは11月末の80%から74%へ低下。ヘッジ戦略をおこなっていないためネットロング比率は74%となった。


1月のマーケットは日経平均が19000円台で値固めできるかどうかがポイントであったが、大発会の日に582円安、そしてようやく7日目になって上昇するという前例のない動きとなった。そして1/21には直近安値であった9/29の16901円をあっさり下回り、16017円まで下落して年初からわずか13日目で3000円も下落した。急激にマーケット環境が変化したため、モデルポートフォリオの現在のネットロング比率はわずか22%まで低下している。


売られている背景は原油安、元安、中国株安などの外部要因であるが、なかなか反発しない一番の要因は17/3期の企業業績が減益になる可能性が濃くなっていることだ。それを織り込みにいっているため、簡単には反発しづらい状況が続いている。


長期的なチャート面では2007年2月に付けた日経平均18300円レベルを回復できない限り、今回のアベノミクス相場は昨年6/24の20838円がピークとなることが確定する。17/3期の業績はコンセンサスでは1ケタ台後半の増益であるが、いくら原油安効果があるとはいえ、世界経済の減速と円高によって打ち消されて減益になると私は考えている。


短期的には反発する日もあるが、リバウンドすると見せかけて勢いを失うということが多く、これは下落相場の典型的なパターンである。したがって、短期的な反発を期待しつつも、2016年は下げ相場を前提とした運用をおこなうのが賢明だろう。


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太田忠の縦横無尽 2016.1.28
「上昇基調を取り戻すマーケット」


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