本来なら医学的な内容は会員限定の記事にするのですが、夏休みが明けて熱を出すお子さんが急増しているので、熱に対する考え方について改めてまとめて起きます。
新米ママにとって子供の初めての熱は怖いものです。
そんなママ達に僕が毎日のように口酸っぱく言ってるのは、
「熱は怖くない」
です。
熱ってのは体内に感染した菌やウィルスを焼き殺すために脳からあえて指令を出して熱を出させてるわけですから、体にとって必要なものだと認識しましょう。
なので僕は子供とくに1歳未満の乳児には原則解熱剤は処方しません。
熱が高くたって何一つ困ることもなければ恐れる必要もないからです。
解熱剤は風邪を治す薬ではないので、使わなかったからと言って風邪が悪化することは絶対にありません。
大きい子や大人は熱で体が辛いので、それを緩和させるために使うだけであって、本来は使わないほうが早く治ります。
ひきつけを起こしたとしても怖くありません。
10分以内に治まるようであればそれは単純な熱性けいれんでおそれる必要は全くないです。
医学知識のない皆さんにとって、病気の子供の状態を数値化して評価できるおよそ唯一のツールが「熱」しかなかったりする。
だから熱が上がったり下がったりで一喜一憂するわけですが、そもそも熱そのものが前述のように体にとって必要なものだと思えば、ビビる必要はなくなります。
熱が42度以上になったって脳はバカになったりしません。
じゃあ何度になったらヤバいのか?と聞かれます。
結局皆さんにとって物事を評価するのが「熱」しかないからこういう質問が来るのでしょう。
でも熱以外にも重要で是非見てもらいたい観察項目はありますよ。
それは全身状態です。
たとえ熱が40度あっても、元気に走り回っていれば何の問題もない。
そこまでいかなくても水分が取れていて意識がしっかりしていれば問題ない。
ぐずって泣いていれば、泣くだけの元気があるってことなので問題ない。
こういった全身状態が良いかどうかが重要なんです。
40度あって元気な子は問題なく、37度でもぐったりしている子は重症なんです。
熱の有無・高い低いで物事を評価してはいけません。
僕ら小児科医だって数値だけじゃなく「子供が元気かどうか」っていう、わりとアナログな指標ってのも実は重視して診察をしているんですよ。
子供が夜熱を出しても落ち着いてクーリングと水分補給、まあ欲しがらなければ飲ませなくてもよいので、翌朝まで待ってかかりつけの小児科に行けばいいだけの事です。
間違っても「熱が高い」という理由だけで夜間救急に駆け込む真似だけはやめましょう。