今年のインフルエンザワクチンが新しくなったため流通量が普段より少なくなる、そこでみんなが接種しないような情報操作をしているのでは?と以前書きました。


すると先週、出て来ましたね~。

「今年のインフルは値上がりする」

といった報道。


確かに4価ワクチンになって原価が上がりましたから、どこのクリニックでも値上げしているようです。

ちなみに当院は元々高めに設定してあったため、今年は価格据え置きで接種しています。

(なぜ高め設定なのかは過去記事を探して下さい・・・)


で、今年から4価ワクチンになることは、下手すりゃ去年の段階で分かっていたことでして、それに伴い製造コストが上がって原価が上がることだって、今年の初旬頃には僕らは知っていました。


医者はみんな分かり切っていたことなんです。


なので今になって「今年のワクチンは値上がりした!」などと改まって報道したところで、僕らとしては「なんで今頃?」と思ってしまうわけです。



まあ、例によって僕の下衆の勘繰りを働かせれば、接種開始した10月過ぎたあたりでもういっしょ「接種抑制」をかけたろうという、報道側の意図が感じられます。

もちろんその報道側の背後にいるのは国なわけですが。



そんなことより報道してほしいのがこっちです。

皆さん、現在おたふくかぜワクチンが不足しているのはご存知でしょうか??


あまり報道されていないのですが、これは実は大問題だったりします・・・

報道されてもいませんから当然国民は知りません。


というのは、国がおたふくワクチンの検定をサボっていたからです。


ワクチンというのは、メーカーが製造したものを国立感染症研究所に提出し国家検定を受けなければなりません。

作られたロットすべてが国家検定を通っているわけです。

通らないと販売してはいけないのです。


で、その国家検定におたふくかぜワクチンのメーカー2社は毎月のように出していたわけですが、今年の4月以降検定がされていなかったのです。。。

そしてそれは今に至るわけで、したがって現在流通している4月以前に検定を通ったロットしか無く、それが切れたらおたふくかぜワクチンが在庫切れとなってしまうわけです。


国はあわてて検定を再開しているそうですが、検定してから現場にワクチンが届くまでに約3か月はかかると言われてます。

当院では現在ある在庫を最後にワクチンがなくなります。

空白期間が生じてしまう可能性が出てきているのです・・・


何故こんなことになってしまったのでしょうか??



ワクチンに何らかの不具合があり「欠品」してしまうことはよくあります。

でも今回の件は別に「欠品」しているわけではなく、単に国が検定をしていなかっただけなんです。


もちろんメーカーも再三にわたり検定するよう求めたそうです。


が、国の返答は「いま忙しいから」だったということ。


確かに4月以降も4種混合や肺炎球菌や水痘といった定期ワクチンは毎月のように検定されていました。

インフルエンザもしかり。

そのデータは国立感染症研究所のHPで見ることができます。

ところがおたふくについては、4月を最後にぱったり検定がされていない・・・


他の定期ワクチンの検定に忙しく、おたふくまで手がまらなかったと役人は弁明しているらしいのです。



ワクチンが何らかの理由で足りなくなると我々現場が怒鳴り込むのはメーカーです。

メーカーの担当者がクリニックまで足を運び頭を下げにきます。


でも今回はメーカーは悪くありません。


ただそうはいってもメーカーの営業さんたちは「いや国が悪いから」とは僕らにも言えません。

辛いところですよね・・・



で、国がこの件に関して何らかの弁明をするのかといえば、そういう気配はない・・・


メーカーが国に対して訴訟を起こすかどうかはまだ分かっていませんが、来年にも定期予防接種になるのではと言われているおたふくかぜワクチンの国家検定を「他が忙しいから」という理由で検定を後回しにしていたことが事実だとしたら、、、この国のワクチン後進国ぶりを象徴する出来事と言えましょう。


おたふくが何故定期ワクチンになるのかといえば、おたふくに伴う合併症をなくしたいからです。


定期になるのに備えて「おたふくは怖いですよ。必ずワクチンで予防しましょうね」と国民に呼びかけるべき国が、そのおたふくワクチンの検定をサボる・・・もう怒りを通り越して、呆れる、、、も通り越して笑ってしまいます。


もしそれを意図してやってたとすれば、、、いったい役人は何を考えているのか知りたいものです。


前述のインフルワクチンの件もそうだし、おたふくについても、国のワクチンに対する認識が低すぎることがすべての原因だと思えてなりません。

その国が指導する国民は当然ながら無知のまま。

我々医者がいかに声を上げても、相手は報道まで駆使して情報操作してきますから太刀打ちできません。


そんな国らしいですよ。


おたふくの件は報道してほしいけれど、国側に落ち度があるので報道されないでしょうねえ・・・



ちなみにおたふくかぜワクチンは10月下旬から11月上旬には再流通しはじめるそうなので、当院では通常通り予約を受け付けております。