小児科クリニックをやってますが、「ついでに私も具合が悪いので」と、ママの診察をすることも多いです。

もっとも僕は内科専門医ではないので、風邪程度しか診ることができませんが。


お子さんが風邪でママも風邪をもらってしまうというケースは多いものです。

そこを「うちは小児科だから大人は内科に行け」などと断ることはできないので、僕に出来る範囲のことはして差し上げます。


で風邪薬を処方するわけですが、

「今授乳中なんですが大丈夫でしょうか」

と、よく聞かれます。


当然ながら授乳に影響のないお薬しか処方しませんので、安心して使用していただくよう説明します。



さて、この日本にあるほとんどの薬剤は授乳中に使っても問題がありません

ごく一部の抗がん剤とか向精神薬などといった例外は当然あります

が、風邪薬・抗生剤・解熱鎮痛剤・胃腸薬など、ほとんど問題なく服用できます。


製薬会社は慎重(というより「なにかあって責任問題になったらこまるから」と考えている)なので、お薬の説明文には「授乳中は使用注意」と必ず書きます。

これは裏を返せば「注意さえしていただければ服用して問題ないです」ということです。

ただ、「注意」と表記しておかないと何かトラブルがあった時に言い逃れができないので、わざわざこう記載しているんですね。


僕は米国で出されている世界で最も信頼できる母乳と薬剤に関する文献をもとに診療をしています。

Drugs in Pregnancy and Lactation Gerald G. Briggs BPharm FCCP、Roger K. Freeman MD、 Sumner J. Yaffe MD


結果、市販薬を含めてほとんどの日本の風邪薬程度の薬剤は授乳中でも問題なく使用できることが証明されています。


こう言った最新かつ信頼できる情報を知らずに、単に授乳中だから薬は出せません、自力で治すしかない、と簡単に断る医者が日本にはまだまだ多いです。

ただでさえ育児が大変なのに風邪で苦しんでいるママに対して、なんとかしてあげたいと思わないのでしょうか。

ちょっと海外の文献を読めば分かることです。

もっと勉強せえ!と言いたくなりますが。



ちなみに妊娠中の薬剤は別です。

妊娠中は風邪薬など多くの薬剤が制限されてしまいます。

今回の話は授乳中の話ですので、ご注意を。