なんのこっちゃ?と思われることでしょう。


梅雨が明けて夏真っ盛りになるこの時期、喘息のお子さんがお薬から「卒業」する時期です。


僕は基本的にシングレアやキプレス、IPDといった新しい薬を使います。

そして基本は内服オンリーでコントロールします。

当院では数百人の喘息の子をフォローしていますが、内服だけでコントロールがつかずステロイド吸入に治療が進んだお子さんはこれまでえに10人足らずしかいません。

ほとんどが内服で完治しています。


いまだにオノンなどの古いお薬で治療されている方がいましたら、(もしそれで治る気配がみられなければ)治療法を見直した方がいいと思いますよ。

喘息の治療は日進月歩です。つねに新しい知識を勉強していないと我々小児アレルギーの専門家は置き去りにされてしまいます。


そんな内服治療を頑張って続けてきて、喘息の発作や咳がまったく出ない状態が数カ月維持できて、喘息がでやすい梅雨のシーズンを乗り切ったお子さんは、梅雨明けのこの時期に服薬から晴れて「卒業」するわけです。

梅雨があけてから1週間以上たちますが、これまで20人ほどのお子さんが「卒業」しています。

今後も続々と卒業していくことお子さんが出るでしょう。


喘息の治療は、小学生までに終わらせることが重要です。

小学生以降まで治らないと、その後完治する可能性が低くなってきます。

小学生以降も続くようだと、年間2000人ほどの死亡者がでる成人喘息の仲間入りということになり、我々小児科医はなんとしてもそれを阻止しなければならないわけです。

なるべく早期に発見して診断をつけ、早々にシングレアの内服を始めてしまい、そしてしっかりと継続させることがポイントです。


ほとんどの喘息の子がだいたい半年~1年くらいの服薬で喘息を完全に克服できます。


ただ今回のタイトル「卒業」としましたが、お薬を止める日が本当の卒業ではありません

喘息の治療のゴールは、「薬なしでも咳や発作が出ないことが確認できた時」です。


つまり服薬を終了するのは一つの区切りに過ぎず、その後薬なしの状態でどうなるかを、さらにフォローしていかねばなりません。

よく「じゃあこれでシングレアを止めてみましょう」と言うと、さもこれで終わり!と勘違いされるママがおられるので、

「これが終わりじゃありませんからね」

と釘をさします。


実際、内服を止めると喘息が再発してしまう子も結構いるのです。

内服中は薬によって抑えられていただけで分からないもので、本当に喘息が完治したかどうかは薬をやめてみないと分かりません


止めてみて何事もないことを確認されたとき、喘息を克服したということになります。



長期にわたる内服生活から「卒業」できる子が多いというのは嬉しいことです。

そして喘息を克服したというママにとっては大きな安心と満足につながります。

1日1回とはいえ、ママが医師の言いつけを守りちゃんと服薬を守ってきたからですよ。


こうやってちゃんとした正しい治療を行えば喘息は治すことができるのです。


願わくば、不適切な治療をされ続けて治らず、小学生以降まで喘息を引きずるお子さんが減ることを祈るばかりです。


そして、喘息は完治する病気であるということを実感していただきたいです。