よくB型肝炎の接種について聞かれるのが
「うちの子はもう○○歳なので、もう接種しても遅いでしょうか」
といった質問。
以前に何度も書いてきたように、B型肝炎は「性病」として認識すべき病気です。
感染経路の7割は性交渉であることが分かっています。
したがって、すべての年齢層の人間が接種する必要のあるワクチンです。
生後2カ月から始められるワクチンですが、3歳だろうが10歳だろうが大人だろうが、未接種であれば接種を始めるべきです。
ところがここで一つ問題が生じます。
それは、ワクチンは年齢が高くなるほど抗体が出来にくくなる、ということ。
これは全てのワクチンに一概に言える事ではないのですが、例えばB型肝炎ワクチンだと、
0歳時に接種すれば95%以上で抗体が獲得できます。
そして年齢が上がるにつれて抗体獲得率が下がっていき、20代になると30%くらいにまで下がってしまいます。
かくいう僕も、医者になってからB型肝炎ワクチンを接種しました。
医療従事者は接種しなければならないからです。
ところが抗体はつきません。
毎年接種するのですが、検査すると抗体はないんです・・・
よく医者や看護師さんの間で、
「自分は毎年接種しているのに抗体がつかない・・・」
といった話がよくあがります。
医療従事者でなくても、ママからも「自分には抗体がつかない」といった相談をよく受けます。
それは決して「抗体ができにくい体質」だからではなく、予防接種というのは年齢が上がるほど抗体ができにくいという性質によるものなのです。
B型肝炎ワクチンに関しては上に書いたような年齢別の抗体獲得率がデータとして出ていますが、他のワクチンではデータがなく分からないものもあります。
例えば風疹。
現在ありえないくらいの大流行で、抗体をもたない大人たちがこぞってワクチンを接種しています。
現在使われているMRワクチンは、通常1歳と就学前の2回接種です。
で、MRは1歳児の接種で95%以上が抗体を獲得することが分かっています。
したがって1歳の時にMRワクチンを接種しているお子さんは、ほとんどが風疹の抗体を持っていると考えてよいでしょう。
問題は大人です。
抗体がない大人が今MRワクチンを接種して、いったいどれくらいの抗体獲得率があるのか。
接種対象となっている20~30代の大人へのMRワクチンの抗体獲得率に関して、僕が調べる限りデータはありません。
(あったらごめんなさい・・・)
万が一20~30代のMRワクチンの抗体獲得率が、B型肝炎と同様に30%程度だとしたら・・・
そう考えると僕は夜も寝れなくなります。
話を戻しますが、B型肝炎はどの年齢でも接種可能だし、三種混合・四種混合は7歳半まで接種可能、ヒブ・肺炎球菌は5歳まで接種可能となっています。
じゃあその期間のどこでもいいじゃん、ではないということを強調しておきます。
B型肝炎のデータが示すように、年齢が上がれば抗体はつきにくくなります。
したがってワクチンは、小さいうちに接種可能月齢になった瞬間に即始める必要があるってことです。