以前にも同じ内容の記事を書きました。
が、公費助成されて無料化されている川崎市でも接種率は低く、様々なネガティブな情報が散乱していて接種を躊躇してしまう方が多いようです。
(子宮頚癌ワクチンで不妊症になるとかいう事実無根な噂は信じないでください)
(「婦人科系ワクチン」と「婦人科疾患」を結び付けるあたり、稚拙だと思いません?)
このワクチンは、子宮頚癌の原因の大半を占めると言われるHPV(ヒトパピローマウィルス)への感染を防ぐためのものです。
HPVは性交渉をきっかけに感染しますから(男もウィルスを持ってるんです)、性体験をする前に接種しておく必要のあるワクチンです。
HPVに感染してしまってからでは遅いんですね。
最近子宮頚癌患者は急増しています。
そして顕著なのが30代の患者です。
若いうちのガンは進行が激烈に早く、見つかった時には手遅れ・・・ってことも良くあります。
先日、子宮頚癌ワクチンを接種した方に麻痺などが残る重篤な副作用が報じられました。
国が補償したということなので、おそらく因果関係が証明されたのでしょう。
それをマスコミは面白おかしく騒ぎたててます。
が、皆さんは踊らされないことです。
僕が普段から言っているように、世の中に100%安全なワクチンはありません。
何万人・何億人に1人の割合で、不幸なことが起こってしまうのです。
ここはもう現代医学の限界と言えるでしょう。
じゃあ、その何億分の一になるのが恐いからワクチンを接種しないという選択肢、皆さんはどう思われますか?
働き盛り・子育て盛りの30代の女性が子宮頚癌で命を失っているんです。
残された家族は?まだ小さいであろう子供の将来は??
ワクチンを受ける以上、何億分の一の確率で重大な副作用に当たってしまうことがあることは僕も認めましょう。
でも、それ以上にワクチンを受けなかったがために子宮頚癌になってしまう確率の方がはるかに高いのです。
(子宮頚癌がどれだけ多いか、どれだけ急増しているかは統計が示してます)
医学はすべてそうなのです。
どんなお薬・手術・検査・治療にだってデメリットがあります。
デメリットがない医学なんて存在しません。
でも、それが行われるのは何故かというと、デメリット以上にメリットの方が大きいからなんです。
皆さんが気軽に受けるレントゲンだってそうです。
非常に微量ではありますが放射線に被曝するわけです。
レントゲンごときの放射線量でなにか健康被害がでるわけがないのですが、可能性はゼロではないんです。
何億人に一人は、もしかするとレントゲン検査が原因で肺がんになってしまうかもしれません。
でも、そのデメリットとメリットを天秤にかけた時に、メリットの方が大きいと判断されるからこそ、レントゲン検査が行われるのです。
ワクチンだって同じです。
様々な愚かな反ワクチン団体が「ワクチンは体に毒を入れるからけしからん」とかぬかしてますが、それはある意味正しい面もあります。
ワクチンは人体に対して決して100%無害ではないからです。
でも我々医者は、それ以上にワクチンがもたらす恩恵の大きさがあるからこそ、少々のリスクを負ってでも接種してもらいたいと願うのです。
これからの人類の歴史は、ガンとの闘いだと思います。
様々な治療法が開発されています。
ガンはまだまだ未知な部分も多く、その原因は完全には解明されていません。
ただ、子宮頚癌は別です。
これはHPVが原因であると断言されている、原因がはっきりしている唯一のガンと言えましょう。
そして多くの若い女性の命を奪っているのが現状です。
お子さんの近い将来のためにも、このワクチンは絶対に接種すべきです!
当院でも接種を行っております。
小児科ですが高校生以上の方も可能ですので、是非接種しましょう。