昨年から不活化ポリオワクチンの接種が始まり、予想通り大混乱。
川崎市などは市がワクチンを一括管理するという独自の方式で、それがために我々医療機関はワクチンの供給を受けられず困っています。
一番困っているのは患者さんですがね。
さて、この1年間余り、皆さんから非常に多くの質問をうけました。
僕としてはそれに対して出来るだけ丁寧に応じてきたつもりです。
それでも、そんなん考えればわかるやろ!といった当たり前のような質問や、どこかのサイトやたま○よとかで書かれているような誤った情報に惑わされて、結果素っ頓狂な質問をされることもあります。
正しい知識を持つことは大切ですね。
と同時に、あまり過敏にならないことが肝要だと思いました。
「不活化だと腸管免疫がつかないのでは??」
だとか、どこかでかじったような断片的な知識だけで物事に疑問を持つな!と言いたい。
細かい事は気にせず、疑問をあまり持たずにワクチンを接種してもらえればそれでいいと僕は思います。
ところで!
このブログでは皆さんに不安を与えるようなネガティブな情報はなるべく提供しないようにしていますが、この件に関して誰からも質問が来ないので、あえて取り上げてみたいと思います。
こういうことこそ疑問に持ってもらいたいことなんです。
4種混合って大丈夫なの??
すでに数万人が接種しています。
当院でも去年の8月生まれ以降のお子さんには4種混合を接種しています。
皆さん疑問をもつことなく接種しています。
もちろん安全なワクチンですから、問題なく接種して構わないのです。
「大丈夫なの??」などと書くと逆にワクチンを敬遠する方が増えるし、DPTと単独不活化ワクチン(イモバックス)の同時接種を希望する方が殺到することが懸念されます。
ただでさえ足りないイモバックスの需要がこれ以上増えることは避けねばなりません。
なのでどこの医療機関・医者も、このことをあえて(?)語らず淡々と4種混合を接種しています。
それでいいのです。本当は。
でも、持つべき疑問は持つべきだと思うんです。
1.4種混合は世界で初めて日本で導入されたワクチンである
一般に「4種混合ワクチン」というと、世界的にはDPTとヒブの混合ワクチンのことです。
DPTにポリオを混合した4種混合を初めて使うのは、驚くなかれ「ワクチン後進国」の日本なのです。
超短期間で開発・治験が進められたこのワクチン。世界中が注目しています。
ただでさえ新しいワクチンに対して抵抗を持つ傾向がある日本人が、よく平気で4種混合を接種しているなあ~。なんて僕は単純に思ってしまいます。
世界で例がないワクチンですから、どのような有害事象が起こるかも分かりません。これから明らかになっていくのです。
例えばDPTなどはこれまで世界中で累計数十億人が接種していますから、数十億人分のデータが蓄積されているわけです。
ところが4混はそういった裏付けデータが一切ありません。
危険なことだと思いません??
今後数年以内に何らかの事件が起こり、以前の日脳の時と同様にワクチンが中止となり大混乱が起こると今から予測しておきましょう。
2.ワクチンの株が違う
単独不活化ワクチン(イモバックス)を始め、5種混合や6種混合といった世界中で使われているワクチンは、「野生株ポリオ」から作られています。つまり流行地などで実際に悪さをしているポリオウィルスを元に作られたものです。
ところが日本の4混は「セービン株」というものが使われています。
これは日本が独自(?)に開発したワクチン株で、去年まで使われていた生ワクチンもそうでした。
野生株と微妙に違うんですね。
セービン株を元にワクチンを製造しているのは世界中で日本だけなのです。
生ワクチン時代から日本で何十年と使い続けられてきた株です。
野生株と異なるこのセービン株が、果たしてポリオが大流行した時に予防効果を発揮するかは不明です。
(当然ながら野生株ワクチンであれば予防効果はあります)
「でも今までセービンの生ワクチンでポリオは予防されてきたじゃないですか」
と思われるかもしれません。ゆえにセービン株でも予防効果はあるのではないかと。
でも以前から僕が書いてきたように、日本の衛生状態ではポリオは流行しません。
ワクチン(セービン)のおかげではなく、衛生状態の改善とともにたまたま自然にポリオがいなくなっただけなのかもしれません。
そこは何も明らかになっていないことなのです。
繰り返しますが、セービン株が実際に流行しているポリオに対して予防効果があるかは不明なのです。
ですから何故4混を製造する時に野生株を使わなかったのか、疑問です。
このように日本(厚労省)は、どういう訳か世界で例がない組み合わせの4種混合ワクチンを開発し、そしてそのポリオの株に世界標準でないゼーピン株を使っています。
日本がいつまでたっても生ワクチン(セービン)に固執し続けてきたのと関係があるとしか思えませんね。
セービンを生産しているメーカとの癒着。これしか考えられません。
世論がうるさくなってきたので仕方なく生ワクチンを切り捨てることになり、セービンとしては死活問題となりました。
野生株から新ワクチンを製造するなり、イモバックスや6種混合を大量輸入するなりすればよかったのに、日本が選んだ道はセービン。
セービン(を作るメーカー)から圧力があったかどうかは知りません。(たぶんあったでしょう)
で、結果的に日本は世界標準から外れた(しかも臨床データの一切ない)ワクチンを選んだのです。
・・・とまあ、この記事を読んで不安に思う方も多いでしょうが、繰り返しますが日本の衛生状態でポリオが蔓延することはありえないので、まあゼーピン株の4混でもいいでしょう。
僕も生まれたばかりの娘には4混を接種させました。
この記事を読んで困惑されないように。
今回は、野生株を使っているイモバックスを推奨する記事ではなく、皆さんの不安を煽るような記事でもなく、こういうことにこそ疑問をもちましょう!と言いたいのです。