先日「ミヤネ屋」で当院を取り上げていただきました。


放映直後から当院に電話が殺到・・・

ポリオに関する説明はHPで最低限掲載しているのに、それをろくに読みもせず電話してくる人々だらけ。

この激烈な状況なので現在新規患者さんの予約は中止しているのですが、例によってこれに対して理不尽な文句を言ってくる輩も多数。

必死な気持ちはよくわかりますが、それでももっと大人らしい行動をしていただきたいものです。


同時に当院HPのサーバーが一時的にダウンしました。

皆さんが一気にググったのでアクセスが集中したんでしょう。

結局この日のアクセス数は通常の20倍をたたき出しました。


あの時間帯って、他局は韓流ドラマとかやってて一番つまらない時間帯ですよね。

だけど主婦の1日の中で一番落ち着くのがあの時間帯。

皆さんミヤネ屋を観ておられるんでしょうね。

あの影響力たるや絶大だと感じました。


さて、そんな影響力の大きい番組でしたが、やはり僕の意図とはちょっとずれた報じ方だったですね。

帰ってから録画を観たのですが、問題点は多かったです。


あとから出てきたコナン先生「人種差の違いが・・・」だとかいう根拠のない発言は論外です。

そもそも日本はこれまで他のワクチンだって欧米に右へならえで同じ方法をサルまねのようにしてきた訳ですから、ポリオだけ例外というのはおかしな話です。

(しかもあのコナン先生、ちゃっかり自分の子供には不活化を使ってるし)

共働きで生の接種に行けなかった」というのは言い訳にしか聞こえませんよ)



さて、中国でポリオが発生したから日本に持ち込まれる可能性がある、というのが今接種を急がせるための理由に使われていますが、以前の記事「中国でポリオ発生?」 で書いたように日本でポリオが流行することに関しては僕は否定的です。


そもそも、接種控えを解消すべく危険性が分かりきっている生ワクチンを推奨するというのはナンセンス極まりないと思います。

「今は生ワクチンを飲みなさい」と生を勧める厚労省のお偉いさんたちは、自分の子供や孫にはしっかりと不活化ワクチンを接種させているのです。(コナン先生と一緒)

そんな中どこかの感染症研究機関のお偉いさんが「自分の孫には生を飲ませた!」などと誇らしげに語ってましたが、なんだか風評被害を抑えるために記者会見で水を飲むパフォーマンスをしたあれとダブって見えて、片腹痛しでしたね。

本当に国民目線をまったく持たない人たちで、呆れるばかりです。


日本での流行を本当に危惧しているのであれば、すぐに輸入ワクチンを承認すべきです。


これが一番良い方法だと誰もが分かっているのに、やろうとしない。

「薬事法の要件を満たしていないから」というのが厚労省の言い分でしたが、3年前の新型インフル騒ぎの時、厚労省はこの薬事法を破ってワクチンを海外から緊急輸入したじゃないですかと言いたい。



一方で神奈川県知事がまるで英雄のような扱いになっていますが、これも彎曲された報道だと考えます。

厚労大臣があのようなお人なのはもう救いようがありませんが、県知事も50歩100歩って感じです。


「神奈川県は輸入ワクチンを使います!」

「誰が何と言おうとやります。すごいでしょ!!」

でも補償はないからあしからず・・・」


これはイコール、「何かあっても責任もたないよ」ということです。

医療者たるもの、自分が提供する医療に関して責任を持たなければなりません。

承認されていないワクチンを使っている我々数少ない小児科医は、何かあった場合には自分が自腹を切ってでも責任をとる覚悟を持って不活化ワクチンの接種を行っているのです。

それを「責任もちません」と平然と言い放つ知事の倫理観には閉口してしまいますし、殺到する患者やクレーマーに苦しみながらなおかつ自腹を切る覚悟でやっている我々小児科医は「じゃあ俺達はなんなんだよ・・・」と思ってしまいます。


方法はいくらでもあると思います。

1回5000円くらいの料金をとるのだから、それを数万人に接種すれば何億もの県の増収があるはずです。

じゃあそれを基金にして患者の補償に充てればいいじゃないですか。

僕が知事だったらそうしますね。


昨日のニュースで神奈川県が不活化を開始するとありました。

まず1200本を輸入したとか・・・1200?

当院では半年で2000本以上消費しましたが、県がたった1200??

でもって希望者は郵便はがきによる抽選だとか。

とんでもない高倍率になり大混乱必至ですね・・・これでは当院などの取り扱い医療機関の慢性的は殺到解消にはほど遠いです。

この輸入本数から見ても、県知事が本気で県民全員に不活化ワクチンを提供する気がなく、単なる話題集めのパフォーマンスだったと推測できます。



こちらの記事 などで僕がさかんに警鐘を鳴らしてきた大混乱がついに起こり始めました。

こうなることは分かりきっていたのにあえて混乱を招いた国や県には、もっと賢くあってほしいと思うだけです。