診断する上で検査は欠かせません。
ですが、診断とは医師の診察により下されるものであり、そこには医師の経験や知識に裏付けられた技量が要求されます。
そして検査はあくまで、その診断を手助けする一つのツールにすぎないと考えます。
検査だけして病名が分かるのであれば、医師免許など必要なく誰だってできます。
医師が医師であるのは、患者を診察して病名を見つけ、それに応じた治療法を提案する技術を有していることだと思います。
ところが世の中には検査大好きドクターがいたりします。
とにかく検査!
熱が出れば検査。
咳が出れば検査。。
下痢をすれば検査。。。
検査ばかりして患者を見ず、検査データしか見なかったりする・・・どうかと思います。
良い例としてアレルギー検査があります。
検査で卵アレルギーの反応が出ても、食べて平気な子はいます。そういったお子さんは卵を除去する必要はまったくありません。
ところが検査データしか見ない先生は、本当は食べても大丈夫なのに、その結果だけ見て「卵禁止」としてしまいます。
検査データはあくまで参考なので、そのデータだけですべてを決めるのは、あまりセンスある診療とは思いませんね。
検査ばかりすることを悪いとは言いません。
自分の診断に自信がなければ、それを確定するために検査を併用することは間違いではないでしょう。
僕のようにまだまだ未熟な若手ドクターなどは、自分の診断をより確実にするためにも、また自分の診断技術向上のためにも検査をすべきだという考え方もあります。
ですが検査も色々ありますが、少なからず痛みや苦痛を伴うもの。
お子さんに余計な苦痛を与えないというのが当院の大方針ですから、僕は必要以上に検査はしないことにしています。
検査せずに済ませられる方法があるのなら、そちらをチョイスするようにしています。
(それを「いかん!」おっしゃる先生もおられるでしょうし、出来るだけ検査をしてほしいママもおられることでしょうが、これが僕の診療ポリシーなのです)
大事なことは医師の目・耳・鼻そして知識や経験に裏付けられた勘。
そして何より患者と向き合って、患者自身を見るという真摯な心掛けだと思います。