抗生物質を処方するかどうかは非常に議論が別れるところです。
というのも最近注目されている「耐性菌」の問題があるからです。
耐性菌とは、本来は抗生剤が効く菌だったのに、抗生剤を使い続けられていくうちに菌がパワーアップして、抗生剤が効かないタイプに変異してしまった菌のことです。
身近な例では、子供の風邪の一種である中耳炎や副鼻腔炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ桿菌(Hib)はほとんどが耐性菌です。
一部の先生が湯水のごとく抗生剤を使いまくったのが原因とも言われています。
我々小児科医は耐性菌のことを良く知ってますし警戒しているので、最近の小児科医はむやみに抗生剤を処方しなくなりました。
僕も、比較的抗生剤は良く使うほうですが、夏風邪など明らかにウィルス感染が多いこの時期はほとんど処方しません。
また処方する際にも、同一の抗生剤を使い続けると耐性菌が出現するので、いつも変えて処方します。
一つの菌に対して毎回攻める角度を変えることで菌の耐性化を予防できるからです。
なんでもかんでもとにかく抗生剤を毎回必ず処方する先生や、毎回アホみたいに同じ抗生剤しか出さない先生には注意しましょう。
また、最初からクラリスなどの強い抗生剤を出す先生にも注意しましょう。
(最初からクラリスを使うのはマイコプラズマくらいでしょう)
咳が出たら抗生剤。
鼻が出たら抗生剤。。
熱が出たら抗生剤。。。
・・・困りものです。
中には丁寧にも血液検査までしてウィルス感染が判明しているのにもかかわらず、どういう訳か抗生剤を処方する同業者がいたりしますが、呆れてしまいます。
ウィルスか菌かは血液検査で分かります。ウィルスには抗生剤は効きません。
そのことを知らないただの無能な医者なのか、検査をやりまくって処方もしてお金儲けを考えている医者なのか、どちらかでしょう。
お薬手帳を見てください。
毎回同じ抗生剤ばかり判で押したように処方されている場合、その先生は耐性菌のことを考えていない先生と言わざるをえません。
注意しましょう。