「頑張っているのに、自信が持てない…」その心の緊張が胃に影響しているのかもしれません

 

「仕事では評価されているのに、自分では『たまたまうまくいっただけ』と思ってしまう。」

「周りから褒められても、『本当の自分は大したことがない』と感じてしまう。」

「いつか実力がないことがバレてしまう気がして、安心できない。」

 

このような気持ちを抱え続けている方はいませんか?

 

この状態は、「インポスター症候群」と呼ばれることがあります。

 

病気の診断名ではありませんが、自分の能力や努力を正しく評価できず、常に不安や緊張を抱えてしまう心の状態を表す言葉です。

 

実は、このような心の緊張が長く続くことは、機能性ディスペプシア(FD)の症状にも影響している可能性があります。

 

FDは、胃カメラなどの検査では大きな異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれや早期満腹感、みぞおちの痛み、吐き気などが続く病気です。

 

近年では、胃だけの問題ではなく、「脳腸相関(のうちょうそうかん)」と呼ばれる脳と胃のつながりが深く関係していることが分かってきました。

 

私たちの脳は、安心しているときには身体を休ませる自律神経が働きやすくなります。

 

しかし、「失敗してはいけない」「もっと頑張らなければ」と緊張が続くと、交感神経という活動モードが優位になりやすくなります。

 

すると、胃の動きや消化の働きにも影響が及び、胃もたれや食欲低下などの症状が現れたり、長引いたりすることがあります。

 

また、胃の症状が続くと、「ちゃんと仕事をしなければ」「迷惑をかけてはいけない」と無理を重ねてしまい、さらに心身の負担が増えるという悪循環に陥ることも少なくありません。

 

インポスター症候群の方は、とても真面目で責任感が強い傾向があります。

 

だからこそ、人から褒められても素直に受け取れず、「もっと努力しなければ」と自分を追い込み続けてしまいます。

 

その状態が長く続くと、自分でも気づかないうちに心の負担が身体の症状として現れる「身体化」が起こる可能性があります。

 

身体化は、決して心が弱いから起こるものではありません。

 

むしろ、頑張り続けてきた心と身体が、「少し休んでほしい」と伝えてくれているサインなのかもしれません。

では、どうすればよいのでしょうか。

 

大切なのは、「もっと頑張る」ことではなく、「今まで十分頑張ってきた自分」を少しずつ認めることです。

 

例えば、

 

「今日はここまでできた。」

「完璧ではなくても大丈夫。」

 

そんな言葉を、自分自身にかけてみてください。

 

最初は違和感があるかもしれません。

 

それでも、その小さな積み重ねが脳に「安心しても大丈夫」という新しい経験を教えてくれます。

 

脳には「可塑性(かそせい)」という、経験によって変化する力があります。

 

安心できる経験を繰り返すことで、自律神経の働きも少しずつ整い、脳腸相関にも良い影響を与える可能性があります。

 

その結果、胃の症状が和らぎ、機能性ディスペプシアの改善や寛解につながることも期待されています。

 

もし今、「自分には価値がないのではないか」「もっと頑張らなければ」と感じ続けているなら、その思いを一人で抱え込まないでください。

 

あなたが今まで努力してきたことは、決して偶然ではありません。

 

そして、休むことも、自分を認めることも、回復への大切な一歩です。

 

機能性ディスペプシアは、胃だけでなく、心・脳・身体を一緒に整えていくことで、寛解を目指せる可能性があります。