「胃の検査では異常がないのに、ずっと胃がつらい」

 

そんな機能性ディスペプシア(FD)で悩む方の中には、子どもの頃から家族を支える役割を担ってきた方がいます。

 

近年、そのような方々は「ヤングケアラー」と呼ばれるようになりました。

 

ヤングケアラーとは、本来は大人が担う介護や看病、家事、きょうだいの世話などを日常的に行っている子どもや若者のことです。

 

本人にとっては当たり前の日常だったため、「自分は大変だった」と認識していない場合も少なくありません。

 

しかし、その生活は想像以上に大きな負担になっていた可能性があります。

 

家族の体調を気にする。

家のことを優先する。

自分の気持ちは後回しにする。

 

そんな生活が長く続くと、脳は常に緊張状態になります。

 

「自分がやらなければならない」

「迷惑をかけられない」

 

という思いが強くなり、休むことに罪悪感を感じる方もいます。

 

すると影響を受けるのが自律神経です。

 

本来、自律神経には活動モードと休息モードがあります。

 

しかし責任感や緊張が続くと、活動モードである交感神経が優位になりやすくなります。

 

その結果、

 

疲れが取れない

眠りが浅い

常に気が張っている

 

といった状態が続くことがあります。

 

ここで関係してくるのが脳腸相関です。

 

脳と胃腸は神経やホルモンを通じて密接につながっています。

 

脳がストレスを感じ続けると、その情報は胃へ伝わります。

 

胃の動きが低下したり、胃が過敏になったりすることで、

 

胃もたれ

吐き気

食欲低下

早期満腹感

みぞおちの痛み

 

などのFD症状につながる可能性があります。

 

また、ヤングケアラーだった方は、自分の感情を抑える習慣が身についていることがあります。

 

本当はつらい。

本当は助けてほしい。

本当は休みたい。

それでも我慢してしまう。

 

すると行き場を失ったストレスが身体症状として現れることがあります。

 

これを身体化と呼びます。

 

FDも身体化の一つの形として現れる場合があります。

 

大切なのは、「自分が弱いから症状が出た」と考えないことです。

 

むしろ長い間、周囲を支え続けてきた結果として身体が限界を知らせているのかもしれません。

 

改善のためには、自分自身にも目を向けることが大切です。

 

誰かを支えるだけでなく、自分も支えられてよい存在です。

 

休むこと。

頼ること。

助けを求めること。

 

それらは決して甘えではありません。

 

脳と胃はつながっています。

 

安心できる時間や環境が増えることで、自律神経や脳腸相関にも良い影響が期待できます。

 

あなたの症状は気のせいではありません。

 

回復は可能です。

 

焦らず、一歩ずつ寛解を目指していきましょう。