女性アイドルグループにおける女性ファンの位置づけをコメントします。イコラブのビジネスモデルにおいてはビジネスの成功度合いを大きくしている要素は女性ファンが多いという点だと思っています。


この話題については私の仮説を前提としているのでそれを先に紹介します。



1年以上前の記事ですがイコラブファンに女性ファンが多いことを考察をしていたら、そうではなく男性ファンも女性ファンも等しくカバーしているという結論になった記事です。


 CD売上の推論から現在アイドル推し活動している方の男女比は女性が多いとしました。男性アイドルのCD売上と女性アイドルのCD売上の比率は私調べで70:30なので、現在のアイドル市場での購買力は男性アイドルの方が大きいということです。 ここで男性アイドルファンが女性ファンで女性アイドルファンが男性ファンとすると男性ファンと女性ファンの比率が30:70となります。これをイコラブの男女ファンの比率35:65と比較して近い数字なのでイコラブは男性ファンからも女性ファンからも好かれていると判断しました。


1 ビジネス規模

 仮にイコラブが男性ファンだけならビジネス規模は1/3になるわけでCDの初週売上が6万枚でコンサートは5000人のホールを埋めることができているとなります。この規模でもアイドル活動は継続できるかもしれませんがコロナ禍で活動停止となったかもしれません。現在のビジネス規模があったからこそコロナ禍を乗り越えられたかもしれません。男性ファンと女性ファンの両方を取り込むことで従来の男性ファン中心のビジネスモデルの3倍のビジネス規模を獲得したといえます。さらにこの男女比はコンサートの観客動員にも有利に働いていると思われます。男性ファンも女性ファンも参加しやすいコンサートになっています。ただしこれはアーティストの場合では当たり前の話で女性ファンが多い女性アーティストのコンサートは普通にあるので従来のアイドルコンサートが特殊だったといえます。


2 経緯

 指原Pも最初から女性ファンを多くすることを狙っていたわけでは無いようです。イコラブの女性ファンの割合が65%となっていたと驚きのツイートをしています。イコラブが女性ファンが多くなっていった経緯は指原P自身が女性でありながら女性アイドル好きという経験によるものです。女性ファンとして嫌なことはしないという思いがイコラブのアイドル活動に反映されているからでしょう。その一方で指原PはAKB総選挙で4回トップとなった経験から男性ファンの心理も十分理解していると思われます。その結果イコラブは男性ファンにも女性ファンにも受け入れられるバランスの取れたアイドル活動ができたと思います。


3 男性アイドル

 もちろん女性アイドルが女性ファンを獲得するよりは男性アイドルが女性ファンを獲得する方が容易です。従って男性アイドル市場が女性アイドル市場よりビジネス規模が大きい状態は継続すると思われます。その大きな市場をジャニーズが独占していたのですがK-popアイドルが参入してきて独占が崩れ、更に性加害問題でジャニーズの活動が縮小して他の事務所の男性アイドルグループの活動余地が生まれました。男性アイドル市場が健全化することでビジネス規模は維持されると思います。

 イコラブも男性アイドルグループ同士の激しい競争から女性ファンを獲得する必要がありますが女性アイドルグループであるアドバンテージがあります。それは男性アイドルグループとの兼任が可能な点です。ある男性アイドルを応援しながら別の男性アイドルグループを応援するのは心理的なハードルが高いと思いますがこれが女性アイドルグループだと低くなると思われます。男性アイドルグループと共存できる点がメリットといえます。


4 K-popアイドル

 女性アイドルグループが女性ファンを多く持つことは日本より韓国の方が先行していました。韓国ではガールクラッシュ「女性が女性に憧れるグループ」というコンセプトの女性アイドルグループが生まれていました。転機となったのはBLACKPINKのビジネス的成功です。この成功によりガールクラッシュのアイドルグループがいろいろ誕生しました。そのアイドルグループのいくつかがビジネス成功したのでガールクラッシュが定着しました。その結果韓国の女性アイドルグループは男性ファンが多いグループから女性ファンが多いグループまで様々なグループが存在しています。グループ数が増えるに従ってガールクラッシュの定義も多様化していき単に強い女性イメージから自己肯定感が確かな女性も含まれるようになってきました。

 自己肯定感ではイコラブも「Be Selfish」という曲がありますがイコラブはガールクラッシュをコンセプトとしていないので「ラストノートしか知らない」のような曲も歌っています。曲のバリエーションとして自己肯定感が強い曲もあるという感じです。


5 最近のトレンド

 最近日本で話題となった女性アイドルグループは女性ファンを多く獲得しているように思います。

 番組オーディションから話題となるパターンがありNiziUがその代表例です。番組オーディションは男女ともに受け入れられる形式だったので女性ファンを多く獲得したと思われます。

 もうひとつのパターンはTiktokなどで曲がバズるパターンです。これも若い世代の男女に受け入れられるパターンなので女性ファンを多く獲得したと思われます。

 どちらのパターンも男性ファンと女性ファンの比率は50:50でなく女性ファンの比率が高くなっていると思われますがこれはアイドル推し活しているファンの男女比が女性ファンが多いためと思います。


6 なかよし

 女性ファンが多いことにより「グループの仲の良さ」が評価ポイントとなっていると思われます。例えばお笑いの世界では配信サービスにより収益を上げているところが多くありますがその女性ファンの選択ポイントが「面白い」と並んで「グループの仲の良さ」が評価されているようです。同様にアイドルグループでも「グループの仲の良さ」が求められているようです。

 イコラブは運良く仲が良いグループとなっています。もちろん指原Pの2期生の募集はしない選抜性を行わないという人間関係のトラブルが起きにくい運営としましたが、メンバー固定なので気の合わないメンバー同士がいたら揉めたと思われます。イコラブも内部では人間関係のトラブルがあると思いますが外に出るエピソードが圧倒的になかよしエピソードが多いので「グループの仲が良い」グループと認識されていると思います。

 逆に考えると坂道グループは選抜制があるので女性ファンの比率が3割止まりなのかもしれません。


7 女性ファンの獲得方法

 女性アイドルグループが女性ファンを獲得することはビジネスモデルとして有効であると認識されるようになってきていると思いますがその獲得手法については試行錯誤中と思われます。

 結果として女性ファンが多くなったイコラブのプロデューサーの指原Pも歌詞を書く際に私目線とするか僕目線とするか悩んでいるようです。男性ファンからも女性ファンからも受け入れられるバランスの維持は難しいようです。昔からの女性アイドルグループの運営は女性ファンの重要性はわかっていてもその運営方法の変更は難しいでしょう。

 男性アイドルの場合は女性ファンの市場が十分に大きいので男性ファンは意識せずにその点では従来の運営方法維持できますがストリーミングを意識したネット対応のための運営方法の変更が必要となるでしょう。



 たまたま指原Pが女性アイドルファンだったためイコラブの女性ファンが増えましたがこれはトレンドとマッチしていました。指原Pがどこまでこの状況を予見していたかは不明ですがビジネスモデルは結果で評価されることが多いのでイコラブのビジネスモデルは女性ファンの獲得という成功例となったといえます。