ニアジョイのデビューミニアルバム「きっと、絶対、絶対」のオリコン初日売上が発表されて8万枚でした。

比較対象のノイミーのデビューミニアルバムがビルボード初週売上約3万枚なので初日で大幅に上回っています。このCD売上からニアジョイのビジネスモデルを考えるとニアジョイのデビュー前のプロモーションは大成功だったということになります。それについてコメントしてみます。


ニアジョイのプロモーションはイコラブファンやノイミーファンに対するアピールとアイドルファンに対するアピールでした。これはイコラブやノイミーのプロモーションと同じでした。


1 イコラブやノイミーのファンへのアピール

 ニアジョイはイコラブやノイミーとプロデューサーが同じ指原Pなのでファンの好みの共通点が多いはずです。従ってイコラブファンやノイミーファンにアピールするのは理にかなっています。ノイミーデビューの時もイコラブファンにアピールしていました。同じようにお姉さんグループにアピールしているのにCD売上が多い理由はお姉さんグループのファン数が増えているからと考えられます。ファン数とCD売上が比例する訳ではありませんがノイミーデビュー時のイコラブのシングルは「青春サブリミナル」でビルボード初週売上12.5万枚で直近のシングルは「ラストノートしか知らない」でビルボード初週売上25.7万枚なので約2倍になっています。単純にイコラブのファン数も2倍になっていると考えるとニアジョイに興味を持つイコラブファン数もノイミーデビュー時の2倍となります。これにさらにノイミーファンがプラスされます。


ニアジョイのイコラブファンやノイミーファンにアピールする方法はノイミーデビュー時と同じです。

まずCDのカップリング曲への採用です。これもイコラブとノイミーの双方のCDのカップリング曲の採用なのでノイミーデビューの時の2倍となります。そのおかげでニアジョイはデビュー前に7曲の持ち歌ができました。

次にイコノイジョイフェスへの参加です。2022年のイコノイジョイフェスではまだ顔見せ程度でしたが3グループ参加の「トリプルデート」の披露がありました。さらに2023年のイコノイジョイフェスではニアジョイの「超孤独ライオン」のパフォーマンスはフェスのハイライトのひとつになりました。Showroom配信では山本杏奈MCで「教えて、花便り」が始まり3グループからゲストを呼んでいたのでニアジョイのメンバーもゲストに呼ばれました。


2 アイドルファンへのアピール

 アイドルファンへのアピールはTIFなどのアイドルフェスへの参加でした。これもイコラブやノイミーと同じアピール方法です。特にTIFではステージもタイムテーブルも好位置でした。これはイコラブやノイミーの実績による忖度ですがニアジョイはさらに持ち歌を6曲公開していたのでTIF主催者も判断しやすかったと思います。その期待にニアジョイは応えました。イコノイジョイフェスでキラーコンテンツとなった「超孤独ライオン」を筆頭に流石のセットリストでした。カバー曲が今は無き欅坂やラストアイドルというのも指原Pの戦略を感じます。その結果、違法コピー比較ですがニアジョイがTIF2023の動画で最も再生回数が多いグループとなりました。この辺の評価が影響したのか、その後のアイドルフェスでもデビュー前ながらニアジョイはタイムテーブルの好位置を割り当てられました。アイドルファンに充分アピールできたと思われます。


3 楽曲の方向性

 イコラブやノイミーの楽曲の特徴のひとつが多様性があるということです。ニアジョイも様々なタイプの楽曲があり多様性を維持していますが恋愛ソングが無いという方向性があります。アイドルソングで恋愛ソングは定番なのでそれが無いという事は指原Pの最初からの戦略と考えられます。それは1stソングの「≒Joy」で「愛じゃなくて恋じゃなくて夢を歌え」と歌っているので確かでしょう。恋愛ソングが無いという制限の中の多様性としてカッコイイ曲の路線を確立したのはさすがだと思っています。「超孤独ライオン」はMV公開時にはそれほど話題にならなかったと記憶していますが、指原Pはライブで化けると判断してイコノイジョイフェスで披露して成功しました。その流れで夏のアイドルフェスは「超孤独ライオン」で乗り切りましたが、その時点で「その先はイグザルト」はレコーディングを終えてMVも作成されていたと考えられます。つまり「超孤独ライオン」が不発だった場合は「その先はイグザルト」を投入したと思われます。ニアジョイにカッコイイ曲の路線を確立される準備は万全だったのです。その結果、ミニアルバムのリード曲が「無謀人」となりそれが受け入れられました。


4 SNSの展開

 イコラブファンやノイミーファンやアイドルファンへアピールがメインですが一般層へのアピールにSNSを活用するのもイコラブのビジネスモデルと同じです。楽曲のMVは全てYoutubeで公開されたしメンバーにはTwitterのアカウントを与えてメンバー発信を許可しました。Showroomもオーディションで利用しましたが、利用可能としました。ニアジョイメンバーはデビュー前だったので積極的にSNSを活用しました。Showroomのイコノイジョイ賞の最優秀パフォーマーは瀧脇さんでしたが前評判では毎日アイドルの村山結香さんの名前も上がっていました。



ニアジョイのミニアルバムの好調なCD売上はイコラブファンやノイミーファンへのアピールでノイミーデビュー時の倍以上ファンにアピールできたのが最大の要因と思います。さらにアイドルファンへのアピールとしてフェスのタイムテーブルで好位置だったのはTIFの成功が大きかったと思われます。指原Pのあえて恋愛ソングを封印した戦略もイコラブやノイミーとの差別化として成功したのでしょう。



5 今後のニアジョイ   ソニーミュージックの判断

 今回のニアジョイのミニアルバムのCD売上で一番驚いたことはソニーミュージックが10万枚を出荷したことです。どうゆうマーケティング調査をすれば新人のニアジョイのミニアルバムで10万枚の製作判断が出来るのか分かりません。ニアジョイのミニアルバムは売れると思っていたのでファンがあげる店舗の売り場の写真で品切れがほとんどなかったのが不思議でしたが10万枚出荷すれば在庫はあったようです。最近のイコラブのシングルでも店頭品切れが発生しているのになんでニアジョイはそんなに強気だったのか不思議です。


 ソニーミュージックはニアジョイのデビュープロモーションで少し押すか大々的に押すかの選択肢があったはずですが少し押すを選択して今回の売上となりました。少し押すは広告や看板などのプロモーションです。ひょっとしたらCDTVの年越しSPへの出演に影響力を行使したかもしれません。新人アイドルグループに大規模なプロモーションをしてこれだけのCD売上を上げるのはなかなか難しいと思うので、コストを抑えた「少し押す」プロモーションを選択したソニーミュージックはさすがです。


 とにかくデビューミニアルバムでこれだけの売上があったのでこの勢いが続けばファーストシングルの売上は10数万枚レベルになります。そうなると一般層へのアピールが必要となってきます。そのことはソニーミュージックも分かっているのでファーストシングルリリース時にはニアジョイの音楽番組への出演などがあると思います。


シングル売上が10数万枚レベルだとイコラブの2年前、ノイミーの1年前の水準なのでニアジョイが一気に3年分詰めたことになります。イコラブのビジネスモデルは優秀ですが後続グループほどその恩恵を受けられるようです。