ファン獲得はどのアイドルグループでも活動目標としてることです。

イコラブのファン獲得の戦略は「無料コンテンツを充実されてファンを増やし、それによりCDを購入したりコンサートに行ったりするコアなファンを増やす」というものです。この戦略のポイントはファンの各レベルで顧客満足度を満たすようにしている事だと考えます。


 ここでは仮にファンを「コンサートに行くファン」と「CDを購入するファン」と「無料コンテンツを楽しむファン」に分けて説明します。ファンをレベル毎に分ける考え方は実際に指原Pも行っているかもしれません。指原PはHKT時代に雑誌の企画でAKB総選挙を解説したことがあります。その際にファンを普通のファンとライトなファンとコアなファンに分けて説明していました。AKBグループの後輩に説明するかのようにAKB総選挙でランキングに入るにはどの層のファンにアピールするべきかを解説しました。最終的に選抜入りするなら全ての階層のファンにアピールする必要があるとしていました。


1 コンサートに行くファン

 イコラブのコンサートに行くファンは1番コアなファンと言えます。このファンの顧客満足度を満たすには魅力的なコンサートを提供することです。そもそもイコラブのビジネスモデルはコンサートを行うこと自体が最終目標となっています。ビジネスモデルの様々な要素は魅力的コンサートを行うために構成されています。

 イコラブのビジネスモデルの特徴のひとつが1年以上のレッスン期間の設定です。このこのレッスン期間の長さはコンサートでパフォーマンス出来るようになるための時間と言えます。イコラブは幸いなことにすぐにデビューしてCDを出せましたがファーストコンサートはそれより後の開催となりました。それはCD作成のための歌ってレコーディングすることやMVのダンスシーンを踊ることが合格でもコンサート開催にはまだスキル不足ということです。これは当たり前のことでレコーディングはベストの部分を繋ぎ合わす事ができますし、ダンスシーンも同様にベストの撮影を使用することができます。それに対してコンサートでは同時に歌って踊るパフォーマンスを生本番で披露する必要があります。さらに20曲程度連続しての披露となります。このようにCD作成より高いスキルが要求されます。コンサートではCD音源を超えるパフォーマンスを披露することをメンバーは求められています。

 実際のイコラブのコンサートの評判は好評です。コンサートでのパフォーマンスはCD音源を超えていると求められているレベルを満たしています。このコンサートの出来でコンサートに行くファンの顧客満足は満たされてリピーターが増えています。これは毎年コンサート会場の規模が拡大していることで確認できます。


2 CDを購入するファン

 CDを購入するファンに対しての報酬はお話会の権利です。権利のないCDでは特典映像がついています。このビジネスモデルは坂道グループやAKBグループと類似のシステムでイコラブの特別な仕組みはありません。そのためCD販売に伴う長所と短所を引き継いでいます。このシステムで一定数のファンを確保できますがファンが増加する訳では無いようです。それはこのシステムを採用している坂道グループやAKBグループのCD売上が様々な要因で上下しているからです。それに対してイコラブではCD売上は右肩上がりで増加しています。

 これは次に説明する無料コンテンツを楽しんでいるファンの一定数がコンサートに行くファンやCDを購入するファンになっているからだと考えられます。


3 無料コンテンツを楽しむファン

 無料コンテンツだけを楽しんでいるファンはコンサートに行かずCDも買わないのでビジネスモデルとして売上がありません。そういうファン層をイコラブのビジネスモデルで取り込んでいるのは無料コンテンツのファン層を土台としてコンサートに行ったりCDを購入したりするコアなファンが生まれるとしているからです。無料コンテンツが充実していることはイコラブの特徴のひとつです。実際CD売上が右肩上がりに増えていることは無料コンテンツのファンが増えていることで説明できます。

 イコラブの無料コンテンツとしてはSNS、MV公開、カメコ容認などがありますがそれぞれ設定の経緯があります。


4 SNSの展開

 イコラブはツイッター(X)やShowroomで個人配信しています。これはイコラブが音楽番組になかなか出演できないことの補完となっています。指原Pはイコラブが音楽番組にあまり出られないことは予想していてイコラブ結成時に「長い時間を掛けて彼女たちをトップに導く」と発言したことは有名なエピソードです。SNSを主なアピールの場所としたことによるメリットもありました。まず指原PがSNSの申し子と言えるような達人でメンバーの指導役として適していることが挙げられます。イコラブ結成時に指原PからメンバーにSNSへの対応を記した長文のLINEが届いたそうです。そのせいかイコラブのSNSはメンバー発信ですがあまりトラブルは起きていません。またイコラブのファン層の若者はテレビを見ないでネットで動画を見るようになってきました。音楽番組にあまり出られずにSNSメインでしたが幸いなことにイコラブは観客動員もCD売上も順調に増えています。時代のトレンドに上手く乗れたといえます。


5 MV公開

 イコラブは全曲MV作成してYoutubeで公開しています。これは指原Pのコンサートにかける思いが起源となっています。指原PはAKB時代にコンサートで劇場公演曲を行うと会場が盛り下がるということを経験しました。これは劇場に来ていない方は劇場公演曲に馴染みがなく知らない曲だったためでした。それで指原Pはイコラブのコンサートでコンサートの熱を覚まさないために使用する曲を予め公開しておこうと考えたようです。全曲MV公開はイコラブ結成当初から考えていたようですが最初のうちは予算不足で上手く行きませんでした。一般的にCDの表題曲はレーベルの費用負担ですがカップリング曲のMVを作るなら運営負担となります。初期はリップシーンのみのMVなど予算を抑えたMVが作られました。最近は運営側もMVなどの無料コンテンツがファン獲得に役立っていることが理解されているようでカップリング曲のMVもかなり予算がかけられるようになっています。この全曲MV公開はイコラブの特徴となっています。


6 カメコ容認

 イコラブのコンサートではカメコ席がありカメコタイムがあります。その時間はカメラでの撮影が許可されています。さらに撮影された映像のSNSでの公開を容認しています。このカメコ制度は当初からあったものでなく指原PがAKBチーム8のカメコを見て気に入って導入したシステムです。それが上手く機能したので現在も継続しています。この仕組みのファン獲得の貢献はコンサートの雰囲気を無料で公開している点です。カメコさんとの暗黙の了解で変な写真は公開しないようになっているのでコンサートの良い部分の写真の公開となっています。


7 外仕事

 アイドル用語で運営が用意した以外の仕事を外仕事と呼んでいます。テレビ出演やCMなどです。最近イコラブはバラエティー番組に出演したりネットCMに出たり企業コラボに参加したりしていますがそれらが外仕事です。イコラブは今は一般層に知って貰う時期になっているので外仕事はファン獲得に重要な仕事となっています。熱心なイコラブファンはそのことを理解しているので外仕事について積極的にツイートして話題作りに貢献しています。



イコラブのビジネスモデルはコンサート重視や無料コンテンツの充実などの方針で様々な経緯で今の体制となり上手く機能してファン獲得に成功しています。観客動員とCD売上が共に増加する理想的な形になっています。