成瀬巳喜男監督、原節子、上原謙主演、「めし」を見る。非常に素晴らしかった。ちょっと泣きそうになるくらい素晴らしかった。成瀬巳喜男はもともと好きな監督。特に「浮雲」は圧倒的。「めし」は、「浮雲」とはまた異なるテイストながら、やはり男と女のなんとも微妙な愛情関係を描き出していて、思わず「あー、そうだよね」とうなずいてしまうような、ものすごい説得力がある傑作。


(以下、ネタバレあり)


原節子と上原謙は東京出身、いまは仕事の関係で大阪に暮らす夫婦。専業主婦としての毎日の生活に疲れた原節子は、東京の自分の実家に帰ってしまう。大阪に残してきた夫のことが気になりながらも手紙も出さない原節子の元に、出張で東京に来たという夫が現れる。「すぐに帰ってくると思ったから、僕からは手紙を書かなかったんだよ」という夫と、そんな夫のそばで生きていくことに幸せを見出す妻。そして二人は、一緒に大阪に帰っていく・・・


仕事をする夫のそばで暮らしていくことに「女の幸せ」を見出す、という考え方は、いまの時代にはちょっとそぐわないのかもしれない。ただ、言葉にしなくてもどこか通じ合っていられる、という夫婦像は、いまの時代でも受け入れられる気がする。このような夫婦像というのは、日本的なものなのかもしれない。


前のホストファミリーの母親が、別れそうな夫婦のよりを戻す、というボランティアをやっていた。この母親に教わった結婚生活のポイントは以下の二つ。


1) とにかくコミュニケーションをとる


日ごろからコミュニケーションをとり、「お互いにどういう結婚生活を理想としているのか」、「自分がどのような価値観を持っているのか」、「相手のどういうところに不満を感じているのか」、ということを確認しあっておくことが大切。日常のささいなすれ違いが、やがて大きな爆発を生み出す。そうなる前に、頻繁にコミュニケーションをとり、誤解の芽を摘んでおく。


ちなみに実際のカウンセリングでは、夫と妻を別々の場所に連れて行き、それぞれに対して「相手が理想としてる結婚生活は?」といった質問の答えを書かせる。その答えを後で一緒に確認することで、それまで自分がいかに相手のことを知らなかったか、ということが分かるらしい。


2) 相手を許すこと


結婚生活では許し(Pardon)がとても大切。相手が何か失敗をしたとき、そして二人の仲が険悪になったとき、その失敗を許してあげることで二人の仲はより強いものになる。(雨降って地固まる、ってやつ。)


とにかくまずは言葉にして、密にコミュニケーションをとって、そうすることで相手のことを理解しよう、という考え方は、とても西洋的な感じがする。日本の場合は、もう少し自然に二人の関係を熟成させる、というイメージもあるような気がする。だからと言って、日本の夫婦の間では言葉によるコミュニケーションがいらないのか、というと、もちろんそんなことはない。ただ日本には、「あうんの呼吸」と呼ばれる絶妙の間合いがある。でも、フランスの恋人たちにもそういうものはあるような気がする。でも、それでも日本とフランスの夫婦関係はやはりどこか違う気もする。こういうことは、一概には割り切れない?よく分からないものはよく分からない。