斎藤槙の『社会起業家』(岩波新書, 2004)を読む。以下、簡単なまとめと感想。
1. 社会起業家は企業とNPOの中間に位置する。彼ら、彼女らは環境・人権といった地球規模の問題、また地域社会が抱える問題の解決に使命感をもち、同時にビジネステクニックを駆使することで経済的に自立した事業を展開していく。それは企業のようなNPOの場合もあれば、NPOのような企業の場合もある。
2. 社会起業家が生まれた背景として、企業の社会化、またNPOのビジネス化が挙げられる。企業の社会責任に対する消費者の意識の高まりと共に、積極的に社会貢献をしていったほうが長期的には競争力が上がるという判断を企業が下す。これにより企業の社会化がすすむ。同時に、困難な資金集めを改善するためにNPOもビジネス化をすすめる。また、資金のみならずビジネスインフラまでも提供する寄付団体の存在もNPOのビジネス化を促進する。
3. 社会起業家をサポートする諸団体、社会起業家への投資コミュニティー、社会起業家を生み出す教育機関の存在が彼ら、彼女らの躍進を後押ししている。
4. 社会起業家に共通する特徴として、仕事を自己実現の場としてとらえているということが挙げられる。彼ら、彼女らにとって事業は楽しみであり、自己表現の手段である。
感想。仕事のモチベーションが私利私欲ではなく他人、あるいは社会への貢献であるというところに共感する。自分の行動が誰かの役に立っているという確信は、自分自身の価値の再発見でもあるのだろう。社会への貢献という理想を、経済的な視点を導入したうえで現実的な力に変えているところに感心する。どれだけすばらしいヴィジョンであっても、実際に金が動かない限りは社会に浸透していかない。
社会起業家というくくりには収まりきらないけれど、原丈人のバングラディッシュでの試みなんかも地球規模の問題とビジネスの融合という意味では同じような方向性をもつのだろう。また著者も指摘しているが、これからの日本では高齢者介護の分野に社会起業家の大きな可能性を見出せると思う。
関連リンク : ほぼ日刊イトイ新聞 「とんでもない、原丈人さん。」