夕食の後、ホストファミリーの父親とビールと飲みながら二人でいろいろと話す。以前にも書いたとおり、このひとはベテランのコンサルタント。この父親と話しているのがいちばん面白い。今日の話題は仕事のこと、そしてやはりコミュニケーションの大切さ。
まずは仕事について。今日はコンサルティングがどんなことしているのかについて教えてもらった。これはわざわざ改めて書くことでもないのかもしれないが、一つ目は顧客である企業に生産性をもたらすこと、二つ目は企業内部の問題(従業員が抱える仕事上の悩み、恐れなど)をシステムの面から改善していくこと。一つ目の課題に関しては、先日読んだ『コア・コンピタンス経営』が訴えていたこととかなり重なる部分があったように思う。つまり、数年後に何を達成していたいのかを正確に見極め、それを実現するための最短のルートを見出し、それを確実に実行に移していくということ。二つ目の課題は、なかなか一筋縄ではいかない問題、しかし同時にとてもやりがいのある仕事(と、僕は感じた)。それは、企業を実際に観察し、またそこで働く人々の声を聞いていくなかで、従業員(Acteurという表現を使っていた)が抱えている悩み - 十分な情報が与えられていないことに対する恐れがあるのか、あるいは組織の急激な変化に対する恐れがあるのか、など - を分析していくこと、さらに、分析によって洗い出された問題に対してしかるべき対応をとっていくということ。こういった仕事は、もちろん論理性や説得的な証拠といったものも必要とはされるが、だからと言ってそれだけでうまく行くものでもない。相手は人間なのだから、すべてが合理性で片付くわけでもない。
つぎにコミュニケーションの大切さについて。例えばフランスの企業が日本や中国に進出しようとする場合、そこで問題になるのはいかにして現地の従業員、あるいは顧客とコミュニケーションを取るか、ということである。現地の声を吸い上げようとしてアンケート調査を行う場合でも、フランス国内の形式をそのまま日本や中国で使っていては、有効な結果を得ることはできない。そこでは、日本や中国に合わせた調査方式というものが採用されなければならない。西洋と東洋では考え方、仕事のとらえ方そのものに違いがあるのだから、真に必要な情報を手に入れるためのアプローチも、それに応じて変えていかなければならないのである。
結局、僕の大学での研究、また僕がフランスに来てから考え続けている課題というのも、このコミュニケーションの問題に帰着するのだと思う。フランスにいる間は、日本人という「マイノリティ」の視点から西洋をとらえなおし、それを改めて西洋人に伝えるということで自分のアドバンテージを維持していくことができる。だがこれからは、それでは日本に帰った後、フランスに住んでいた、西洋的なまなざしを学んだという経験をどのような形で日本人に伝え、自分の強みにしていくか、ということも考えていかなければならない。そんなことを話していたら、フランスでコミュニケーションについて勉強していたということをアピールして、日本にあるフランス系の会社とかにアプライしてみたら?そういうのは必要とされているはずだから、というアドバイスをもらった。成功するかどうかは置いておいて、なかなか魅力的な提案ではある。
'08/11/04(夜)