■ベニクラゲ6回目の若返り成功

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 和歌山県白浜町臨海、京都大学瀬戸臨海実験所の久保田信准教授(58)は、「不老不死」の研究材料として注目されるベニクラゲの若返り実験で、世界記録を更新する6回目の若返りをこのほど成功させた。久保田准教授は「若返りのメカニズム解明に向け、今後もどんどん回数を重ねていきたい」と話している。この結果は、近く学会などで発表する。

 クラゲは通常、有性生殖した成体は死を迎えて溶け去るが、ベニクラゲは溶けずに肉団子状になり、再び走根を延ばしポリプ(刺胞動物の基本形)へと若返る。このポリプがクラゲ芽を形成し、やがて若いクラゲとして分離して泳ぎ出す。この一連のサイクルを無限に繰り返すことから「不老不死」と言われる。ベニクラゲの若返り現象は、1992年にイタリアの研究者が地中海産で初確認した。その後、久保田准教授らが日本産で世界第2例目として成功して以来、その回数を更新し続けている。

 久保田准教授は、昨年5月15日に沖縄で4個体の若いベニクラゲを捕獲。全個体が捕獲直後に退化し、5月18日前後に若い世代のポリプに1回目の若返りをした。その後、最も素早く若返った雌に焦点を当てて飼育実験している。その結果、7月上旬に2回目、8月上旬に3回目、9月下旬に4回目に成功した。冬場の寒さを乗り越えるため、ヒーターで水温を2025度まで温め、水流を起こしかき回すようにして、12月上旬に5回目に成功。今年3月23日には6回目のポリプへの若返りをした。その後も元気に生き続けており、さらなる若返りが期待できるという。

 久保田准教授は「予想通り若返りが連続して起こっている。将来は、再生から若返りへという人類の夢に一歩でも近づく材料にしたい」と話している。

2010520日 紀伊民報)