NHK関西ニュースより | 多田野仁のブログ

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大阪に事務所がある整骨院グループの一部の店舗が、自治体などに事実と異なる療養費を請求していた疑いがある問題で、NHKの取材に対し、グループを運営する会社側がこうした請求を指示していたと元幹部や整骨院の従業員が証言しました。
大阪市は不正請求の疑いがあるとして調査を始めています。

NHKでは、大阪に事務所があり全国でおよそ100軒の整骨院を実質的に運営している「ギオン」グループの複数の店舗が、自治体などに療養費として請求した申請書=「レセプト」を入手し、マッサージをしただけの利用者にけがの治療を行ったと事実と異なる請求していた疑いがあることを報じました。
この問題をめぐって、グループの元幹部が取材に応じ、「こうした療養費の請求は会社側が主導していた」と証言しました。
元幹部によりますと、会社側は、新しく整骨院を開業したり柔道整復師を雇ったりした際に、事実と異なるレセプトの書き方を教えていたほか、整骨院に対してけがをした場所を加えるなどして請求金額を上げるよう指示していたということです。
取材に対し、グループに所属する複数の整骨院の従業員や元従業員も、会社側から同様の指示があったと話しています。
これに対しギオンは、「担当者に事実関係を確認するのでコメントは待ってほしい」としています。
大阪市は、税金から支払われる療養費が不正に請求された疑いがあるとして利用者への聞き取り調査を始めています。

【元幹部“会社が不正請求を主導”】
ギオングループの元幹部の男性がNHKの取材に対し、「不正な療養費の請求は会社側が主導していた」と証言し、その手口を告白しました。
かつてグループの経営に関わっていた男性は、整骨院が請求する金額は会社側が細かくチェックしていたと証言しました。
そのうえで、「例えば、今月の売り上げが200万円だったら『ちょっと落ちているから、けがをした部位を増やしなさい』などと指示を出していた」と手口を告白し「組織の方向性として、すべて不正請求だった」と述べました。
さらに、「新しい整骨院がオープンする際には、会社の人間を派遣して保険適用外のものも申請し、不正請求の流れを作る。保険を使ってマッサージが受けられると言って、客を呼び込んだ」と話しました。
また、柔道整復師を雇う際にも「これが本当のレセプトの打ち方だと言って、不正請求の方法を教え込んだ」と振り返っていました。

【従業員“グループの指示”】
グループの整骨院で働いている男性は、NHKの取材に対し「働き始める際にグループから、けがをしていなくても保険を適用して療養費を請求することや、申請時に不審がられないよう、けがの部位を定期的に変えるなど調整を指示された」と証言しました。
そのうえで、「けがをしていない人への保険の適用はしてはいけないことだと思ったのでやらなかったが、けがをした人の部位の調整はやっていた」と話していました。

【大阪府柔道整復師会 徳山会長“業界として遺憾”】。
療養費の不正請求はこれまで全国で相次いでいて、去年1月には長崎県の整骨院が、実際にはしていない治療を行ったとうその申請をしたとして警察に摘発されています。
今回の問題も受け、大阪府柔道整復師会の徳山健司会長は、「療養費をモラルやコンプライアンスなく請求されてしまうというのは、業界として非常に遺憾だ。国民の信頼を裏切ってはいけない」と述べました。
府柔道整復師会は、およそ1500軒の整骨院が任意で加盟している大阪府内最大の団体ですが、ギオングループは加盟していません。
会では、加盟している整骨院が提出する療養費の申請書をチェックしていて、相次ぐ不正請求を受け、特別にチームを作って内容を精査しているということです。
徳山会長は柔道整復師を養成する課程で、適切な申請方法をより丁寧に教えていかなければいけないとしたうえで、「業界としてしっかりと自浄作用を持ってやっていかなければならない」と述べました。