ドーモ、皆=サン。タダノコレクターです。
 
今回は、船首の女神の金貨について、とめどなく溢れるパッションに任せ、とりとめのない事を書いていくことにする。
無駄話とか言ってはいけない。いいね?

 

船首の女神

 

さて、この船首の女神だが、3年間で4種類(4年号)のコインがある。
3年間なのに4年号? この疑問はもっともだが、それの答えが前のブログに書いたファシスト暦だ。
ファシスト暦はムッソリーニの首相就任を歴の数え初めとしたが、その日が西暦で言う1922年10月29日。
つまり西暦1922年10月29日=ファシスト歴1年1月1日。
なので西暦とファシスト歴はぴったり重ならず、ずれが生じる。そして1931年に発行されたコインはファシスト歴9年とファシスト歴10年の2種類発行された。つまり船首の女神の年号は以下の通り。
 
・1931R IX-E.F. 34,000枚
・1931R  X-E.F. 不明(11,540枚?)
・1932R  X-E.F. 9,081枚
・1933R XI-E.F. 6,464枚
 
なぜ1931年だけファシスト歴9年だけで収まらず、ファシスト歴10年も発行される事になったのか?
これはあくまで予想なのだが、時代がカギを握っているのではなかろうか。
この時代の大きな出来事と言えば、1929~33年の間に世界中を襲った大恐慌。
不況を乗り越える為には、今も昔もお金をばらまいて経済活動を活発にさせるしかない!
紙幣や卑金属のコインならまだしも、金は量が限られており、掘り出すにしても鉱山が限られているため急に増やせるわけはない。
そこで、古代ローマから伝わる(?)昔ながらの方法、額面を変えずに品位を落とすかコインを小さくして発行数を増やすという方法がとられる。
今回は品位は変えず(90%のまま)、コインを小さくする方法がとられた。(32.258g → 8.799g)
(※なお、この時代にコインを小さくしたのはイタリアに限らず複数の国で実行された。)
そして恐らく初めに多く発行して後で調整しようとしたのではないか?
ファシスト歴9年で多く発行したが、それでも足りず、1931年中のファシスト歴10年も追加発行したのではないのだろうか。
そしてそれ以降は目途がついたのか、発行枚数を抑えている。
 
これは50リレ金貨でも同様で、1931年のファシスト歴9年が発行枚数が最も多く、同じ1931年のファシスト歴10年も発行され、1932年、1933年は発行枚数が減っている。
 
さて、今度はレア度について。
発行枚数からある程度は予測初くと思うが、ざっくりとは以下の通り。
・1931R IX-E.F. :並年
・1931R  X-E.F. :最特年?
・1932R  X-E.F. :特年
・1933R XI-E.F. :特年
 
ここでひっかかるのはまたも1931R、X-E.F.(1931年、ファシスト歴10年)の年号だ。
NGCでは発行枚数未記載だが、CoinFactsWikiによれば、11,540枚。(元の出典はイタリア硬貨のカタログらしい。)
CoinFactsWikiの記載を信じるなら、11,540枚あったずだが、滅多にお目にかかれない!(アイエエエ!ナンデ出てこない?ナンデ!?)
1度だけ目にしたことがあったが、一番発行数が少ないはずの1933年のコインなんて目じゃないほど高値で売られていた。
 
残存枚数が少ないのか、CoinFactsWikiの記載誤りか、はたまたどこかに眠っているのかわからないが、このおかげで全年号揃えるという私の野望はとうの昔についえてしまったのだ。グワーッ!
現在(2020/8/8時点)の状況では、NGCの鑑定数は12枚、PCGSの鑑定数は7枚なので、数は少ないが全くないという訳ではないのだけれど。
 

最難関の年号がなかなか出てこないのはどうしようもないとして、並年のファシスト歴9年のコインはどうだろう。買う価値はないのか?
否!断じて否!! 状態の悪いコインでなければ、地金価格より高値で取引されている事が何よりも価値を示す証拠だ。
さらに言えば、『過小評価されているのでは?』と、私タダノコレクターは訝しんでいるぐらいだ。
 
それは、同じ時代のフランス、ウィングヘッド100フランと比べてみよう!
ウィングヘッドの並年、1935年と、船首の女神の初年号の比較結果は以下の通り。

 

純度:
 どちらも90%
重量:
 ウィングヘッド : 6.5500g 
 船首の女神   : 8.7990g
発行枚数:
 ウィングヘッド1935年 : 6,102,000枚
 船首の女神初年号   :   34,000枚
 
以上のように、どちらかと言うと船首の女神初年号の方が価値が高いように感じるが、実際の価格はウィングヘッドの方がやや高い傾向がある。
コインについては発行枚数や重量だけが価格を決める訳ではないので、仕方ないと言えば仕方ないが。
 
ともかく、もっと評価されてもおかしくないコインだという事を訴えつつ今回はこの辺で。
サヨナラ!