「最上のわざ」

 この世の最上のわざは何?

 楽しい心で年をとり、働きたいけれども休み、しゃべりたいけれども黙り、失望しそうなときに希望し、従順に、平静に、おのれの十字架をになう。

 若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見ても、ねたまず、人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり、弱って、もはや人のために役だたずとも、親切で柔和であること。

 老いの重荷は神の賜物、古びた心に、これで最後のみがきをかける。

 まことのふるさとへ行くために。

 おのれをこの世につなぐ鎖を少しずつ外ずしていくのは、真にえらい仕事。

 こうして何もできなくなれば、それを謙虚に承諾するのだ。

 神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。

 それは祈りだ。

 手は何もできない。

 けれども最後まで合掌できる。

 愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために。

 すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。

「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と。

*『人生の秋に』 ヘルマン・ホイヴェルス著より