サンバイオに何が起こったか? | 投資家リプリーの気まぐれブログ

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本日6月20日、サンバイオの株価がストップ安となりました。

 

サンバイオに何が起こったか?

ホルダーの方や最近の乱高下に参戦してきた方などは

筆者より詳しくご存じだとは思いますが、殆ど把握されて

いない方もいるかと思い、ここしばらくの状況を整理してみます。

 

 

(1)サンバイオってどんな会社?

 

再生細胞薬を開発している会社、いわゆる「バイオ創薬」の

ベンチャー企業です。

決算期は 1月で、2021/1期以降の売上は4年連続ゼロで、

経費を垂れ流しながら新薬を開発しているのが実情です。

 

 

(2)バイオ創薬のプロセスはどんな感じ?

 

新薬を作るプロセスを非常にざっくり言うと...

 

まず研究、そして治験、そして良いデータが揃えば

厚労省に製造販売の承認を申請し、承認されたら製造販売を開始...

という流れになります。

 

研究 → 治験 → 承認申請 → 承認

 

ここにある「治験」は3段階に分けて行われますが、

3段階目のものに非常に長い時間がかかってしまいます。

→ 3段階目は、実際にその病気に罹った人を多数集め、

  その人達に「未承認の薬を使わして欲しい」と話して

  了解を得て行わねばなりません。

  そもそもその病気に罹った人がそう簡単にポンポン

  出てくるのか?(その病気の患者が集まるような有名な

  病院の協力が必要)

  その人達が未承認の薬を使う事を受け入れてくれるか?

  (まず医師が有効性に納得し、患者を説得してくれねば無理)

 

そこで、最近、「早期承認制度」というのが導入されました。

これにより、3段階目の治験をすっ飛ばして「条件付き承認」を

期限付きで出し、実際に市販して治療例を積み重ね、

大量のデータが集まったら正式な申請を出す...

というプロセスを取る事が可能になりました。

つまり;

 

研究 → 治験(短縮) → 条件付き承認

→ 市販しながらデータ収集 → 正式申請 → 正式承認

 

という流れになります。

 

今回話題になっているサンバイオの「アクーゴ」という薬は

この「早期承認制度」を利用しており、「条件付き承認」の

部分でもたついている訳です。

 

 

(3)何が問題か?

 

サンバイオが早期承認制度を利用し、「条件付き承認」の申請を

行ったのが2022年3月7日、2年以上前です。

 

それ以後、問題点が指摘され、サンバイオが追加データを提出し、

と進めてきたが、まだ問題が残っています。

それは;

 

「この薬が、治験に使われた薬と同等・同質かどうかが確認できない」

 

これに対し、サンバイオは追加データを提出し、審議会の議題に

乗るのを待っていたが、ついに 6/19の審議会の議題に乗る事が

わかり、これを6/12に公表。

→ 審議会の議題に乗れば承認される可能性があるので、

  市場での期待が膨らみ、株価が急騰。

 

しかし、6/19の審議の結果は次の通り;

①条件付きで承認する事は可能だがまだ出せない。

②治験品と市販製品と同等性・同質性を示すデータを

 もっと出して、一部変更申請を出して欲しい。

 その結果を見て承認が出るまでは市販品の出荷は禁止。

 → 製造は禁止していない。

 

これを各メディアが報道。

「同等性・同質性が認められるまで出荷禁止」という部分が

強調された内容(嘘ではないし)で、市場はこれを嫌気し

本日6/20、株価はストップ安となりました。

 

株価の動きは次の通りです;

 

これに対し、サンバイオは引け後にリリースを出し、

「速やかに製造を行って在庫を積み上げ、同等性・同質性を

確認して、来年2~4月の出荷開始を目指す」としています。

 

さて、明日の株価はどうなるでしょうか?

 

 

(4) 資金の問題

 

せっかくだから財務状況も見てみました。

このような売上ゼロのベンチャーの場合、利益率もくそも

ありませんが、最も注意すべき点は;

 

「資金がいつまでもつか?」

 

だと思います。

資金が足りなくなると資金調達に走る訳で、その場合は

新株予約権発行、特に投資家としては恐怖のMSワラントなどの

手を打ってくるかもしれません。

→ MSワラントとは、株価の変動に連動して行使価額が決まる

 タイプの新株予約権で、株価の強烈な下げ要因になります。

 

サンバイオの場合、ここ2年程の四半期毎の経費と現預金残高の

推移は次の通りです;

2023/1期はかなりの研究開発費を使ってましたが、2024/1期の下期からは

相当絞っています。これは、この頃からアクーゴの承認取得に集中し

それ以外の開発案件にはあまりお金をかけなかったためかと推察されます。

 

その他の経費は概ね安定しています。

 

という中で、現預金は着実に減ってきています。

現預金が時々増えているのは 2022/11に発行した新株予約権の

大量行使があった時で、それも2024/2に行使は完了しています。

 

2024/4末の現預金をQ1の経費+研究開発費(総経費)で割ると約5.9、

つまり、総経費がこのまま同レベルで推移するとすれば、

今の資金は約 1年半で枯渇する事になります。

 

サンバイオが考えるアクーゴの出荷開始は来年2〜4月、代金が

入り始めるのは丁度 2025/4末頃とすれば、その頃に残る資金は

総経費の半年分。綱渡りです。

 

この状況から推察すると、割と早い段階で新株予約権、

最悪はMSワラントの発行を発表するかもしれません。

(あくまでも個人的な意見です)

 

因みに、サンバイオが現在手掛けている案件リストは次の通りで、

アクーゴ(赤枠の部分)が商品化に最も近いです。

 

 

 

以上です。

上記の情報をとらえて今後の株価をどう読んでいくのかは、お任せします。

投資は自己責任でお願いします。

 

尚、この記事の内容には筆者の勘違いや計算ミスなどがあるかもですが、

あらかじめご了承下さい。

 

 

日差しが厳しくなってきました。

サンバイオならぬサンバイザーはいかがですか