テンバガー(10倍株)って、どんな株(前編) | 投資家リプリーの気まぐれブログ

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投資家なら一度は掴みたい「テンバガー」

 

株価が10倍に跳ね上がった株を、俗に「テンバガー」と呼びます。
「バガー」とは野球用語で「塁打」を意味し、1試合で計10塁打(例えば4打数で三塁打2回と二塁打2回)を打つような大活躍をイメージして、10倍になった株の事をテンバガーと呼ぶようになったそうです。

 

さて、東証に上場している企業の内、一般の投資家が売買できるのは 3月22日時点で 3,834社ですが、私が使っているSMBC日興証券のスクリーニングで出てきたのは 3,795社でした。

 

これら 3,795社のチャートを全てチェックし、2019年以降の安値から2024年3月22日までの5年と少しの間に株価が一度でも10倍以上になった銘柄を全てピックアップした所、72社ありました。全体の 2%足らずです。

 

未来のテンバガー候補を探すヒントを求めて、これら 72社に何か特徴的なものがないかと考え、次のような事を調べました。

(1) 株価はどのように動いたか?
 → 次の4つのパターンに分類し、業界、上昇前の動きや上昇スピード
  などで特徴的な動きがなかったか見てました;
  ① 上昇中の銘柄;
  ② 耐えてる銘柄;
  ③ 激下げ銘柄;
  ④ 復活銘柄;

(2) 上昇前の時価総額はどれくらいだったか?

(3) PERはどのように変わったか?

上記(2)〜(3)については、(1)記載の 4つのパターンで何か違いがなかったかも見てみました。

尚、データは 2024年3月22日までのものに基づいており、それ以降の株価の動きは反映していません。従い、それ以降にテンバガーになったものがあったとしても、ここには含まれていません。

 

結果は次の通りでした;

 

 

(1) 株価はどのように動いたか?

 ① 上昇中の銘柄; 18社

  最高値を記録後に調整に入っている所も含めています。

  3/22の終値が最高値の75%程度以上のものをこの分類にしました。

  
  具体的な銘柄は;


  18社中、8社が半導体や電子機器関連 (青色)。
  5社が海運/造船/部品を含めた船舶関連 (緑)。
  残り 5社は様々で、駐車場紹介、太陽光発電開発、
  水処理、家賃債務保証、中古車輸出、など。

  これらの月足チャートの代表例は次のような感じです;

  

  低迷 → 上昇開始 → 上昇加速 → 調整… という感じで推移してます。

  低迷期には上図ではフラットに見えますが、
  これは後年の上昇幅が大き過ぎるためにそう見えるだけで、
  低迷期だけを見るとそれなりに上下しています。
  中には 2倍以上になったり半値以下に下げたりしているものもあります。

  また、低迷期が 2〜3ヶ月と非常に短いものもあります(IPO後すぐ上昇など)。
  
  上昇期の長さは、短いもの(上昇カーブが非常に急)なものや、

  上図のように長い時間をかけて上昇していったものもあります。

  18社中 5社が 4年を超えて上昇を継続しており、その内の 4社が半導体/電子部品系でした。

  尚、この18社も「上昇中」としていますが、まだ調整が本格化してないだけで

  数ヶ月後には②や③の分類に入ってしまう銘柄もあるかもですが、

  取り敢えずは、3/22時点の数値に基づいて分類しました。


 ② 耐えてる銘柄;  22社

  3/22の終値が最高値の 30〜70%程度の所をこの分類にしました。


  具体的な銘柄は;

  半導体/電子部品系は 5社 (青色)。
  その他は多種多様ですが、敢えてグループ分けすると
  ソフト関連が 3社 (オレンジ)、業務支援関連が 3社 (緑)、
  昔ながらのインフラ/材料系が 3社 (黄色)、
  自動車関連が 2社 (ピンク)、残り 6社は様々です。
 
  月足チャートの代表例は次のような感じです;

  

  低迷 → 上昇 → 急落 → 上下… という感じで推移してます。
 
  低迷期の動きについては①と同様に多種多様。
  上昇期間も色々ですが、2年以内に急上昇したのが 13社と半数以上、
  4年超かけて上昇したのは 1社のみでした。

 

  この分類の銘柄も、特にこの1〜2ヶ月に最高値を記録した所は

  まだ調整が本格化してないだけで、これから更に落ちて数ヶ月後には

  ③に入る所もあるかもしれません。

  逆に、回復して④に入る所が出てくるかもしれません。


 ③  激下げ銘柄; 27銘柄

  3/22の終値が最高値の30%を切ってしまった所をこの分類にしました。


  具体的な銘柄は;

  業態は多種多様ですが、

  「ネット配信」「ネット販売」「サイト運営」「オンライン」など

  インターネット利用を中心に据えた比較的新しいタイプの業態の会社が

  11社ありました。

  それ以外はばらばらです。

 

  月足チャートの代表例は次のような感じです;

  

  低迷期の動きはやはり多種多様。
  上昇期間は 1年以下のものが 19社と 7割に上り、残りも全て、2年以内で急上昇しています。
  

 ④ 復活銘柄; 5社

  最高値記録後に半値近くかそれ以上下がったが、

  再度上昇して最高値の8割程度以上まで上昇した所です。

  内、4社は復活後に最高値を更新しています。


  具体的な銘柄は;

  業態はばらばらですが、半導体関連が 1社含まれています。

 

  月足チャートの代表例は次のような感じです;

  

  上図の様に低迷期からひしゃげたN字型になってるものの他、
  IPOで高い初値から急落してU字になったものもあります。

 

 

全72社を上昇期間の長さで分け、各々が上記⓵②③④のどのグループに属するかを調べたところ、下図の結果となりました。

 

1年以内の短い期間に急上昇した銘柄はその後に激落ちする可能性が高く、逆に4年超の長い期間をかけて上昇した銘柄はあまり下げずに上昇を継続する可能性が高いように見えます。

 



上記を纏めると;

 

(a) 上昇前の値動きは多種多様。
 従い、過去の値動きだけ見てその後の急上昇を予測するのは難しい。

 

(b) 半導体/電子部品や海運/船舶関連は業界の伸びに
 上手く乗って上昇した様に見える。
 そういう銘柄は、あまり下げていない。
 
(c) 上記以外は業界というよりも、各企業が個別に買われて上昇した模様。
 そういう所は、急上昇の後は激しく下げる所が多め。
 特に、ネット関連/サイト運営などの新しめの業界にこのタイプが多い。

(d) 短期間で急上昇した銘柄は、その後に激しく下げる可能性が高い。
 
という事かと思います。


(2) 上昇前の時価総額はどれくらいだったか?

 

各銘柄が上昇ステージに入る直前の株価に、その時点の発行株式数を乗じて当時も時価総額を算出しました。

結果は上図の通りで、約半数が 50億円未満でした。

100億円未満が合計で約2/3を占めました。

やはり、イメージ通り、時価総額の小さな銘柄ほど値が跳ね易いようです。
 
しかし、上述の①②③④の分類ごとに見ると少し異なる姿が見えてきます。

時価総額 50億未満も含めた100億未満に銘柄は、半数以上が上昇した後に激落ちしてしまったようです。

また、元々の時価総額が大きめの所が上昇した場合(上昇後の時価総額は更に大きくなっている訳ですが)、上昇後もあまり下げずにいる所が多いようです。

 

 

上記を纏めると;

 

(a) テンバガーとなる会社は、

 時価総額が100億円未満の小さい会社の方が数が多いが、

 時価総額の大きな所も意外にある。

 

(b) 時価総額の小さな銘柄は値が跳ねやすいが、反転急落もしやすい。
 
(c) 時価総額の大きな銘柄は、株価上昇後もあまり下げない所が多い。


(3) PERはどのように変わったか?
 
→ PERとは、株価が利益の何年分にあたるかを示した数値で、
 株価が割高か割安かを示す指標の一つです。
 日経新聞のデータによると、日経平均のPERは、昨年12月は 14.4〜14.9 程度でした。
 今年の 3月は 16.3〜17.4 辺りで推移しています。

 一般的に、重厚長大産業の大手企業は低めです。
 例えば日本製鉄は3/29現在で 7.1、トヨタは 11.3。
 逆に、高成長が期待されている企業は高めです。
 ユニクロのファーストリテイリングは 46.6、
 海外の例では アマゾンは 62.2です。
 

テンバガー銘柄の、株価が上昇する前の PER はどうだったのでしょう?
銘柄毎にチャートの上昇期間の最初の月の底値と、その時期の直近の短信に記載されていた通期利益見通しを一つ一つ拾って算出しました。
(見通しを開示してない所は直近通期実績値を使って算出)

 

結果は下図の通りでした;

10未満という割安な所が 3割超で、20未満のところが約半数を占めます。
しかし、20〜50の比較的割高な所も計 17%あり、
50以上の割高な所も5%ありました。
赤字や利益ゼロの会社も 3割もありました。
→ 現在の収益よりも将来の成長期待を重視して買われていったのでしょう。
 
しかし、上述の①②③④の分類ごとに見ると;

「上昇中の銘柄」は PER 10未満の割安な所からスタートしたものが非常に多く、
「激下げ銘柄」は赤字でスタートした所が多いようです。

 

では、最高値の時のPERはどうだったでしょうか?

全体的にPERは上昇しています。
→ 利益の増加より株価の上昇が先行した格好です。
 

①②③④の分類毎では;


「上昇中の銘柄」もさすがに 10未満はほとんどありません( 1社のみです)が、多くが 30以下に留まっています。
→ 株価の上昇には遅れているが、それでも利益が着実に増えている、という事でしょう。
 
「激落ち銘柄」では ほとんどが PER 50以上で、赤字の所も残っています。

図には記載していませんが、PER 50以上の会社数は 17社で、内訳は;
  50〜100; 4社
 100〜200;  6社
 200〜300; 3社
 300以上 ; 4社
とかなり割高になっていました。
→ 利益が株価に全然追いついておらず、だからこの後に激落ちしたのか、と思われます。

 

 

上記を纏めると;
 
(a) 急騰した株は、急騰前の PERは 20以下の平均レベル程度か

 それ以下のところが多めだが、PERが高めのものや赤字会社でも

 急騰するケースは結構ある。
 
(b) しかし、PERが高め所から株価が上がり始めた所や赤字会社は、

 急騰後に反転急落する可能性が高い。
 
という事かと思います。
 

 

ここまで調べてある程度の特徴は見えてきましたが、将来の新たなテンバガー候補を絞り込むにはまだまだ不十分です。
今回の記事ではここまでとし、「後編」で更に調べていきたいと思います。

(後編の記事掲載は1~2週間後を考えています)

 

尚、上記は筆者個人の考え方に基づいたもので、別の見方をされる方もおられるかもしれません。

また、数字や内容には筆者の下記間違いや勘違いが含まれているかもしれません。

 

いずれにせよ、この記事は投資を推奨するものではありません。

中身はご自分で検証の上、投資は自己責任でお願い致します。

 

以上です。

 

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